玉木雄一郎代表(オンライン)記者会見

2020年5月20日(水)14時15分~15時03分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/rfeOgCX7oAk


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○新型肺炎 「緊急事態宣言」追加解除について

【代表】
 それでは、国民民主党代表会見を行いたいと思います。
 まず私からですが、政府はあした、「緊急事態宣言」が続いている8都道府県について、追加的な解除を行う方向で調整を行っていると聞いていますが、解除された場合は感染防止と社会経済活動の両立にさらに対策を講じていかなければいけないと思います。
 その意味で、我々は100兆円規模の追加対策を提案し、きのうも対策本部、きょうは役員会でもその話をしましたので、党としての考え方をまとめていきたいと思います。

○新型肺炎 持続化給付金の要件緩和について

【代表】
 その追加の対策と同時に、1次補正で講じられた各種支援金、持続化給付金については要件がやはり厳しすぎるということを予算委員会でも指摘をし、(「事業所得」以外で申告している)フリーランスの方とか、あるいは50%以上減少しなければならないとか、あるいはことし設立した会社は対象にならない、こういったことについては中小企業庁において、今、見直しを行ってもらっていますので、早ければあすにも新しい基準が示されると思いますので、できるだけ多くの方が救われるようにさらにプッシュしていきたいと思います。

○マイナンバーの改善・利活用に関する法案の検討を指示

【代表】
 あわせて、10万円の定額給付金のオンライン申請についてでありますが、昨日、私の地元の高松市がオンライン申請をもうやめるということを発表しました。高松市だけではなくて、各市町村においてもマイナンバーカードを使ったオンライン申請はかえって手間がかかるということで大変な混乱が生じております。
 いろいろな問題があるのですが、一つはマイナンバーの4情報、住所・氏名・年齢・性別、この情報と各自治体が持っている住民基本台帳のデータがリンクしていないので、結局、申請は電子で行われますが、受け取った市町村の側ではプリントアウトしてそれを住民基本台帳とつき合わせるという、なんちゃってオンライン申請になっているということが明らかになって、非常に混乱が生じておりますので、これは第2弾・第3弾とやる必要があると我々は考えておりますので、このマイナンバーの問題についてはより円滑に、特に世帯ではなく個人に対してしっかりと給付ができる政策インフラとして見直しを行うことが必要だろうということで、このマイナンバーの利活用を推進する、あるいはおかしなところを改めていく法案を、泉健太政調会長に検討をきょう指示しました。

○経済安全保障に関する法案の検討を指示

【代表】
 あわせて、前から申し上げている、海外からの買収を防ぐための対策として、上場企業については対象になっていますが、中小・中堅企業については外為法の規制の対象に入っていません。ですから、WTOとの関係も考慮しながら、時限を区切って暫定措置として、コロナの影響がおさまるまでの間は、上場企業に限らず重要な技術等を持っている中小・中堅企業についても規制の対象にする、こういった法案についてもあわせて検討を指示しました。
 もう一つ、中小・中堅企業に対して支援していくことも大事なのですが、これから、タイの航空が破綻したように、航空会社、鉄道、あるいは他の基幹産業もそうなのですが、相当厳しくなってくることが予想されますので、かつてあったような産業再生機構のような、債権の買い取り、出資、あるいはデット・エクイティ・スワップ、債務を資本にかえるような、そういったさまざまな政策手段が講じられる、そういった新産業再生機構をつくるような法案についてもあわせて検討するようにきょうは指示をいたしました。
 いずれにしても、我々としては万全の財政対策と、そして、それを支える法律をしっかりと提出をし、成立を図り、日本経済の底が抜けないように、そして国際競争力が落ちないように、万全の対策を講じていきたい。そう考えています。


■質疑

○黒川検事長「賭けマージャン」報道について(1)

【朝日新聞・山下記者】
 検察官の定年延長の問題にも絡む話だと思うが、黒川(東京高検)検事長が、コロナの問題が起きているこの状況で、3密の状態で賭けマージャンをやっていたという問題がきょう話題になっており、委員会審議でも取り上げられていたりするが、この問題に絡んで黒川氏の辞任を求める声も一部出ている。この一連の、賭けマージャン、黒川さんの辞任を求める声について、代表としてのお考えを伺いたい。

【代表】
 一部週刊誌で報道されたことは承知をしておりますので、もし事実であれば、賭けマージャンですから、刑法185条の賭博罪に当たりますし、報道が正しければ、ハイヤー代を出してもらっているということであれば公務員倫理規程違反なので、いずれにしてもこれは事実関係を明らかにした上で説明責任をしっかり果たしてもらわなければならないと思います。
 検事総長になれるかどうかという話がありますが、それ以前に、現在の検事長としてのポストにとどまることが適切なのかどうなのかということが、報道が事実であれば問われている話ですから、それはしっかりと何らかの形で、国会か、記者会見を開くか、説明責任をしっかり果たしていただかないと、今のポストにとどまること自体が適切かどうかという疑いがかかっているわけですから、しっかりとご自身の口で説明をしてもらいたいと思います。

【朝日新聞・山下記者】
 確認だが、関連で、もし報道が事実であるならば、今のポストにとどまることはもちろん、検事総長にするということも到底あり得ないことだということになってくるという理解でよろしいか。

【代表】
 常識的に考えて、あり得ないと思いますね。法を正しく執行する最高責任者になる方が法令違反を犯しているということであれば、それは到底国民の納得できるところでもないと思いますし、しっかりとそこは、まず、事実と確定したわけではありませんので、しっかりとした説明責任を果たしていただきたい。それができないのであれば、やはり任にあらずということにならざるを得ないと思います。

○新型肺炎 政調会長会談について

【フリーランス・宮崎記者】
 きのう、自民党の岸田政調会長と立憲民主党の逢坂政調会長の2人の、2次補正に向けた常任委員長室での会談が急遽延期になった。この動きに関して何か聞いていらっしゃるか。また、2次補正に関して、自民の政調会長と立憲の政調会長が2人だけで話をしていくというようなことに関しては今後どうお考えになるか。

【代表】
 きのうの2人の会談が流れたことについては承知をしておりませんでした。
 いろいろな経緯で岸田政調会長と逢坂政調会長がお会いになっているということですが、逢坂政調会長が会う際には、その前後において他の野党の政調会長とも話す場を設けて、野党全体としての、会派全体としての意見を伝えるという、そういう形にはなっているようですので、我々としても、岸田政調会長と会う場合においても我が党の意見もしっかりと反映できるように、逢坂政調会長には泉政調会長から伝えることにしております。
 幾つか、岸田政調会長がおっしゃっている政策の中で、2次補正について、13兆円ぐらいと言われていますが、全然足りません。かつ、家賃補助に至っては、もう倒れそうだと言って我々が4月28日に法案を出してから、どうでしょう、もう何週間たっているんだということで、店を潰す気かというふうに私は怒りを持って言いたいですよね。だから、そこは逆に逢坂さんからも厳しく言ってもらいたいと思いますし、変に妥協をして、支援にならないような支援で妥協しないでいただきたいということは泉政調会長からも強く申し上げております。

○マイナンバーの改善・利活用に関する法案の検討について(1)

【朝日新聞・小泉記者】
 マイナンバーの利活用推進に関して法案の検討を指示されたということだが、このマイナンバーの活用については、例えば共産党などは活用自体に反対しており、野党の中でもいろいろ考え方がある。その点をどのように考えるかというのが一点と、現状のマイナンバーについてどのような点で問題があるのか、法案ではどのようなことをやろうとされているのか伺いたい。

【代表】
 まず、これまで個人情報の問題で非常にこれに慎重な方が特に野党の中にいらっしゃることはよく承知しております。我々も、与党時代も含めて、そういった声にも耳を傾けてきました。
 ただ、今回明らかになったのは、アメリカだとソーシャル・セキュリティ・ナンバーがあって、1200ドル、日本円でいうと13万円ぐらいの、我々でいうと10万円の給付が、申請なくできるのです。口座に振り込まれている。ものすごく早いわけで、かつ、今回マイナンバーの一つの限界は、マイナンバーであっても世帯管理でしか給付ができない。DVの被害者であるとか、あるいは、いろいろな事情があって高葛藤の家庭などは、その困っている人に直接行かないということが明らかになったので、いわゆる人権とかリベラルという趣旨でおっしゃっていた方にこそ、このマイナンバーの必要性を理解していただいて、やはり一人ひとりを助けるという観点から、もう一回マイナンバーについてはそれをうまく活用するような方向にぜひ持っていかなければいけないと思うし、そういう理解を求めていきたいと思います。
 ポイントは二つあって、一つは、今、マイナンバーは法律上、税、社会保障、災害、この3分野にしか使えないことになっています。これを今回の感染症に伴う支援策など3分野以外にも活用を広げていくということがまず一点です。
 それと、今回マイナンバーでわかったのは、幾ら国で情報をちゃんと集めても、その情報と地方が持っている住民基本台帳のデータとのリンクがなされていないので、結局それをいちいち紙を介在して、人間を介在させて、目視で同一性を確認するようなことが起きているので、地方公共団体が持っている住民基本台帳のデータとのリンク、これを進められるような方策が必要だと思います。
 こういう方向でまず議論したいと思いますが、ただ、余りにもこのマイナンバーはややこしくなり過ぎて、ここからさらにまた改良を加えるとお金ばかりかかるというのであれば、もうマイナンバーは一旦、サンクコストというか、一回諦めて、ゼロから一から新たなものをつくったほうが早くて安くできるのではないかということをおっしゃる専門家もいらっしゃるので、基本的には現行のマイナンバーをまず直していくことを法律でも後押ししていきたいと思いますが、これからのIT社会において、ずっとこの積み上げてきたマイナンバーを改善するという方策だけでいいのかということも含めて検討したいと思います。

○国民投票法改正案について

【共同通信・中田記者】
 きのう自民党と公明党が、憲法改正に関して、国民投票法改正案の今国会での成立方針を二幹二国で確認している。これに関して、野党のほうは、今国会での成立方針を撤回しない限りは衆参両院の憲法審での審議に応じないと表明されている。代表は、コロナで大変なときに、国民投票法や憲法の審議を急ぐ与党の姿勢に対してどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 国民投票法は、我々もう既に対案を出していますから、去年から。だから、国民投票法の成立を目指すということの意味ですよ。公職選挙法並びの7項目だけを機械的にいじるのだったら急がないし、そんなに、今国会で本当にやるのかということだと思いますが、やるのだったら、これは公明党さんもおっしゃっていますが、やはりCM・広告規制、特にネットCMの広告規制は入れないとやはり適切な国民投票ができないのではないかというのは海外の視察の中からも学んでこられた一つの成果だと思いますので、我々は既にネット広告規制を入れた国民投票法案を提出していますから。あと、外国人の寄附規制なども入れて、憲法改正に外国勢力の影響が及ばないような対策も講じていますので、我々の案をしっかり議論して丸のみしていただけるのであれば幾らでも議論には応じますが、何か7項目だけ食い逃げするような話であれば、そもそも不要不急ですし、何か議論を進めると言いながら我々の対案を一切無視してご都合主義の憲法審の開催ということになって、納得が得られないのではないですかね。ぜひ我が党の、国民民主党の国民投票法改正法案を俎上にのせて議論していただきたい。そう改めて求めたいと思います。

○マイナンバーの改善・利活用に関する法案の検討について(2)

【NHK・米津記者】
 マイナンバーについてさらに詳しく伺いたい。自民党は今回10万円給付の際に取得した口座情報を今後別の現金給付でも使えるようにということで議員立法の制定を目指そうとしているが、これについては国民民主党は活用を推進すべきという立場でどのようにかかわっていけるとお考えか。また、先ほど主に二つの点で問題があるとおっしゃっていたマイナンバーの活用法案について、これはいずれも法改正で可能にしていこうというお考えか。また、その場合、議員立法ということでよろしいか伺いたい。

【代表】
 ぜひ我が党としての案をまとめたいと思いますし、それを会派の案としてまとめていきたいと思いますが、ぜひこれも与野党協議をしっかりやらせてもらいたいと思います。そんなに目指す方向は違わないと思いますが、ただ、自民党案をあまり詳しく存じ上げていませんが、あらゆる口座とあらゆる資産も含めて把握しようと思うと、これまた膨大になるし時間がかかるので、我々はまず一つ口座を新規につくっていただいても結構なので、こうした政府からのさまざまな給付金を受け取れる口座をつくっていただいて、あるいは既にあるのでもいいのですが、それとマイナンバーとを紐づけして、国民にとって非常に利便性が高まる形での改善ということを提案するほうが現実的だし早いと思います。税務に役立てようと思っても、ありとあらゆる口座を全部紐づけしようと思うと、あまり欲張らないほうがいいと思っていて、それだとちょっと時間がかかると思うので、とにかく今回の給付に役立つような形の紐づけであるとか、あるいは3分野以外への活用ということに限定して速やかに法案を通したほうがいいと思います。
 二つの課題の、少なくとも前者については法改正が必要だという認識です。

○経済安全保障に関する法案の検討について

【フリーランス・安積記者】
 先ほど、中小企業の対策について限時法でやりたいとおっしゃっていたが、中小企業の問題というのはコロナの問題だけではなく、それ以前から黒字倒産の問題、早期廃業の問題などがあり、極めて日本経済の弱体化の原因となっている。これからコロナの問題を契機に米中の経済戦争がかなり激化していくと思うが、これについて乗り越えるためには、大企業はもちろんだが、中小企業の、全部とは言わないが、やはり優秀な技術を持っている、コア技術を持っているところは残していくべきであると。そういう対策を、コロナということで何年かの対策ではなく、10年、50年、100年というような見通しをつけてやっていかないといけないと思うが、そのあたりの気持ちというのはどうか伺いたい。

【代表】
 おっしゃるとおりで、先ほど大企業の話をしましたが、もちろん大企業ではなくても、そもそも私の11日の予算委員会に出したパネルの中にも、中小・中堅企業に対しては10兆円ぐらいの枠をつくって、それで産業の再生と再編をやはりある程度サポートしていかなければならないと思っています。やはりポストコロナの経済社会というのは大きく変わりますから、やはりある程度M&Aとか産業全体の再編ということも進めていかざるを得ないと思いますから、そういう観点から、業界再編や、その意味では産業全体の再生につながっていくような形の支援を講じていくことが必要だと思いますので、今、REVIC(地域経済活性化支援機構)がそういう役割を果たすようにはなっておりますが、さらにそういった機能を強化して、既存の銀行債務の整理であるとか、先ほど言ったように貸付けを出資にかえるデット・エクイティ・スワップのようなものを中小企業にも入れて債務負担を軽くしながら再生を支援していく、そういうことが中小企業にも必要だと思います。
 その観点でいうと、まず、NSCというか経済安全保障の観点から、本当に守らなければいけない技術とか企業が一体どこにどのように存在しているのかということを国はまだ全体像を把握していないと思います。上場企業でさえなかなかわからないところがあるので、まず、国として、どういう技術をどういう企業が持っていて、本当に守らなければいけない技術は何なんだということの整理を国において速やかに行うことをまずは求めたいと思いますし、やってもらわなければ困りますね。

○新型肺炎 緊急事態措置の実効性を確保する法案の検討について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 1波、2波、3波、秋以降に来たときにはウイルスが変異していると思うが、そういうことを含めたらやはり何がしか強制力のある制度というのは必要なのではないかと思うが、きのうの会議でそういうのをつくる、「ロックダウン法」というのかどうかわからないが、そういうお考えが固まったということか。

【代表】
 既存の、既に出している3本の法案に加えて、特措法の改正、少し予算委員会でもやりましたが、北風と太陽をともに強めていこうと。つまり、単なるお願いではなくて、少し命令、あるいは命令違反に対しては罰則ということを導入するような措置と、それと外出規制あるいは営業規制を守ってくれたところには経済的補償をしっかり行っていくと。この北風政策と太陽政策を入れ込んだ特措法改正については既に党内で議論が始まっておりますし、かなり、もう要綱の形にもなりつつあります。
 ですから、これは新しく指示したというよりも、今の議論を加速化してほしいということをきのう指示し、あわせて3本、先ほど申し上げたような、マイナンバーの法案、外国(資本)による買収防止の法案、新しい産業再生機構のような法案、この三つを新たに議論・検討してほしいと。既に出している、学生支援、家賃、児童扶養手当の増額・倍増、この3本とも合わせて全部で7本ですね。これからの、「緊急事態宣言」が解除された後も対応していかなければいけない法体系として我々からしっかり示していきたいと思っています。

○黒川検事長「賭けマージャン」報道について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この緊急事態下で黒川氏と賭けマージャンをやっているのが新聞社の幹部3人だと。産経さんと朝日さんですか。国民に対して自粛せよというふうに報じているメディアが、これはやはりメディアの自殺というのか、世界では日本は報道の自由がどんどん下がっているというが、実はメディアが腐っているんだというのが改めて見えたように思う。権力をチェックするという意味では、黒川氏よりもそちらのほうが本当は問われているのではないか。それが日本の今のだめな状況なのではないかと思うが、情けないと思う。その辺は、言いにくいかもしれないが、これはやはりメディアの自殺ではないか。

【代表】
 これも事実関係を明らかにしていく必要があると思います。少なくとも、A記者・B記者は産経新聞と言われていますし、C記者は朝日新聞ということですから、産経・朝日さんにはそれぞれ回答を拒否することなく、本人か、あるいはしかるべき立場の人間が、事の経緯についてきちんと説明することがメディアの責任ではないでしょうか。

○国家公務員法改正案について

【時事通信・近藤記者】
 国家公務員法改正案について、自民党の世耕参院幹事長が、国家公務員の定年を引き上げる同改正案について、雇用環境が厳しくなる中で公務員の定年延長ということに疑問を呈した。こういった論点について代表の考えを伺いたいのと、少し前まで採決の構えだったのに、継続審議となった途端に、閣議決定して政府が提出した法案について自民党幹部が問題視するということについて伺いたい。

【代表】
 私は、世耕さんがおっしゃったとおりだと思いますよ。であれば、自民党は、自分が提出した閣法に欠陥があるということですから、取り下げていただきたいと思います。
 一部自民党の中からもあったように、定年を引き上げる際に60歳になったら7割の給料になると、これ確実に7割が自動的に保証されるのはおかしいという意見もありますし、法案の中にも、そういう意見があって、人事評価については施行までに検討を行って必要な措置を講じるということが書いてあるわけです。これ検察庁法改正の部分と同じで、施行までに人事評価について検討して措置を講じるのではなくて、これ延びたわけだから、どういう人事評価の仕組みにするのかをきちんと示した上で出すことがやはり必要になってきたと思います。これはもう施行までやりますというのではだめだというふうに、検察官のほうも言われたわけだから。
 人事評価のシステム仕組みをしっかり入れないと、単に年齢が上がっていくだけだと、若い人にものすごくしわ寄せが来ますよ。だって、その分、退職する人が減るわけだから、新規採用も抑えられたり、あるいは、能力もないのに単なる年功でずっととどまっていたら、若い人は報われませんから。
 だから、世耕さんが、参議院の自民党の幹部がそうおっしゃるのであれば、もう欠陥法案だと、つまり検察官の定年延長の部分以外も問題だということを明言されたわけだから、自民党の責任において取り下げて、もう一回党内議論をしっかりしていただいて、よりよいものを出し直してもらいたい。もう問題があるということを、こうやって認めておられるわけだから。
 我々としても、まさにそういった若い人の勤務環境とか、特に人事制度ですね。能力・実績主義等々、この人事評価について検討をしっかり行うということを言っているわけだから、その具体的な案とセットで出し直してほしい。
 いずれにしても、継続審議ではなくて、全体として諦めていただくということにしたほうが、世耕さんがおっしゃっていることと整合性がとれるのではないですか。

○東京都知事選挙について

【産経新聞・千田記者】
 代表はおとといのぶら下がり取材で、都知事選に関連して、最前線で取り組む知事を応援はしても、足を引っ張るようなことはやっていいのかと発言されているが、これは小池氏に対する対抗馬擁立は見送るべきだという趣旨だったのか。また、改めて、都知事選に対して国民民主党としてどのように挑むか。この2点を伺いたい。

【代表】
 今の時点では未定ですが、ただ、我々独自に、国民民主党として独自に候補者を立てるということは、我々の今のこの東京における政治的な体力を考えたときには現実的ではないと思います。ですから、まず野党第1党がどうされるのかということはよく相談をしていかなければなりませんが、ただ、一般論で申し上げると、そもそも「緊急事態宣言」が継続している中で正常な民意の発露が担保されるのかという観点から、そもそも今、選挙をしていいのかという問題意識は、前から申し上げているように、あります。その上で、これも一般論で申し上げると、今、感染症対策に「緊急事態宣言」下で一生懸命取り組んでいる首長さんの足を引っ張るようなことはやはり望ましくないというのが今の考えです。

○種苗法改正案について

【日本経済新聞・児玉記者】
 種苗法改正案について伺いたい。きょう午前中の与野党国対委員長会談で、野党側から、拙速に結論を出すのは難しいと与党側に伝えたと明らかにされた。この法案に対する評価と、今後の国会での審議のあり方について伺いたい。

【代表】
 一部、もう今国会での成立を諦めたという話も出てきていますので、そこはまず与党側の方針を改めて確認したいと思います。
 種苗法に関しては、これは冷静に議論すべきだと思います。さまざまな、外資による種の支配とか、いろいろなことが言われますが、一般の種についてはそれほど大きな規制がかかっていませんし、かつ、シャインマスカットが典型ですが、やはり知的財産としての種を保護しなければいけないという要請もありますので、そこのバランスがきちんととれているのかどうかということをやはり冷静に見極めていくことが大事だと思います。
 ただ、非常に懸念が国民の中にあることも事実なので、そこは丁寧な国会審議をやるべきだと思いますし、あと、不要不急だと思いますので、もし与党の皆さんが急がないということであれば、今国会での成立を目指すということは諦めていただいたほうがいいのではないか。今はコロナに全ての力を傾注すべきではないかと思います。

○新型肺炎 緊急事態措置の実効性を確保する法案の検討について(2)

【読売新聞・天野記者】
 代表が先ほど言及された、特措法の改正案についてお尋ねしたい。今、事業者などへの罰則規定のところで、共同会派の中で意見の集約が難航しているが、この法案、会派としてどのように納得させていくのか。または、会派としての了承が得られない場合は、国民民主党単独で法案を提出するお考えがあるのか。もしくは、北風の部分、罰則の部分を削ることも選択肢として考えていらっしゃるのか。そのあたりを伺いたい。

【代表】
 今、会派内で調整が続行しているという認識でおりますので、ぜひ皆が納得できるところに着地してもらいたいと思っています。
 私は、個人の外出規制についても行政罰ぐらいならかけられるのではないかということで検討をお願いしていましたが、やはり個人については行政罰であってもなかなかかけるのは難しいというのが今の会派内での議論だと聞いております。ただ、施設の利用規制や事業者に対する規制については、今の「要請」「指示」からさらに踏み込んだ「命令」、あるいは命令違反に対する罰則、こういったものがどこまでできるのかというところを今ぎりぎり詰めているところだと思いますので、ぜひ会派の合意がとれるようにさらなる努力をお願いしたいと思います。
 これも先ほどのマイナンバーとも関係するのですが、やはり法律上しっかり明確にしたほうが、結局自粛でやると「自粛警察」みたいな民間同士のリンチみたいのが起こるので、それはやはりよくない。やはり違反したら国家として国家の責任で何らかの罰があるということで、悪役を国が引き受けることをしないと、私人間のある種のリンチが横行するので、不明確な基準でだらだらと権利を制限するようなことのほうがやはり問題であって、法律での規制、それは言ってみれば民主的な統制をしっかりきかせる形で、そういった自粛や休業を実効性あるものにしていくことが大事だと思います。第2波・第3波に備える法体系はやはり必要だと思います。

○マイナンバーの改善・利活用に関する法案の検討について(3)

【フリーランス・宮崎記者】
 先ほどのマイナンバーの続きで伺いたいが、こういった特別定額給付金を国税庁が振り込むというようなことも念頭に置かれているか。今、総務省と市町村が大変混乱しているが、国税庁はこれまでもあまり手間がかかる仕事を自分からしたくないところがあったのではないか。税金なども、金額が大きいところだけ税務調査などに行ったりして、例えば今だったら所得税非課税の1500万ぐらいの世帯があるが、こういったところも銀行口座番号を得て、そこに振り込むとなると、仮に国税庁がやると、また国税庁にとっては新しい仕事になる。マインバーの法案の続きとしては、今後こういったときに国税庁が振り込むということもお考えになるか。

【代表】
 そこは今後の制度設計だと思います。現在の仕組みでいうと、総務省が地方公共団体にお願いするのでこういう形になっていますが、ある意味、本来徴収すべき税金をとらないという形で10万円なり20万円を渡すということになれば、ある種これは減税措置なので、そうなると国税を経由してやるというのも一つ考え方としてはあると思います。それは我々が言っている給付付き税額控除に非常に近いものになっていくのだなと思いますが、ただ、いずれにしても今は急ぐので、この総務省・自治体を通じたやり方を今は維持しつつも、先ほど申し上げたようなマイナンバーと住民基本台帳のデータのリンク、そしてそのマイナンバーの4情報を3分野以外にも使えるようにしていくということは、やはり今回最低でもやっておく必要があるのではないかと思います。

○「9月入学・9月新学期」案について

【NHK・米津記者】
 「9月入学」について伺いたい。文科省が、来年9月に入学する対象の児童について、満6歳となっている全ての子どもが一斉入学するパターンと、そうではなく段階的に実施しようというパターンと、二つのパターンを示した。いずれも、特定の学年の人数がふえるとか、さまざま懸念点があると思うが、いち早く「9月入学」を提案した党として、今出ている案と懸念点へのお考えをお聞きしたい。

【代表】
 どんな制度にしてもメリット・デメリットがありますね。きのう出た二つの案についても、どれぐらいの期間を経て、いわゆる「9月入学」というところに至るのかということがありますし、どうしても今の学年が真っ二つに分かれたり、あるいは一部、本来なら同じ学年という人が分かれてしまったり、いろいろな問題が出てくるのは、もうこれは制度を変えるときは仕方がないと思います。我々としても今、メリット・デメリット、党内でも改めて整理をしておりますし、あしたネットを使ったシンポジウムをやろうかなと思っていますので、そういった声もよく聞きながら、これ賛否が分かれていますので、よくいろいろな方のご意見を聞きながら合意形成をしていきたいと思います。
 ただ、もともとこれを提案したのは、やはり学びに穴があいていて、何とかこれを一回揃えないといけないという観点からこの「9月入学」ということを提案させていただいたので、デジタルのオンライン教育の推進を初めとした、とにかくこの9月からはコロナの収束状況がいかなる形であろうと全ての子どもたちが等しく優れた教育を受ける環境を、やはり期限を区切ってやっていくんだということはいずれにしてもやらなければいけないと思っていますので、我々としても「9月入学」については引き続き積極的に取り上げていきたいと思いますし、論点の整理、関係者からいろいろ話を聞いて、取りまとめを深めていきたいと思います。

○新型肺炎 緊急事態措置の実効性を確保する法案の検討について(3)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 「ロックダウン」の話だが、いわゆる経済封鎖みたいなことばかりではなくて、いわゆる介護施設などを考えると、そこで働く人には例えば定期的にPCR検査を行ったりして、ある意味で圧倒的に死亡率が高いような場所についてはどういうふうに守るかとか、同じ個人に罰則をかけるにしても、本当に命を守るという意味では、当初のとにかく「ロックダウン」してしまうのではなくて、秋以降、何か起こったときでも一番死亡率が高いところに何をするかとか、そういうきめの細かいことを考えていただけたらと思う。要するに世代別にある程度規制をかけていくような、フランスなどはそっちの方向に行っているが、全体が「ロックダウン」で経済がどうだというよりは、死亡率が高いところ、危ないところ、それからPCR検査を含めて、どういう形で規制をかけていくか。そういう日本型「ロックダウン」法にしていただけたらと思うが、その辺のことはどうお考えか伺いたい。

【代表】
 そういったことも含めて検討していかなければならないと思います。
 あともう一つ大事なのは、国がどこまでやるのか、地方の首長さんがどこまでするのか。あるいは、どこまで国が基準をつくって、地方が基準をつくるのかというところの整理も、今回、改めて必要だなと思いました。
 それと、解除をしていくときの大まかな基準はやはり法令で定めておく必要があるのかなと。例えば、「緊急事態宣言」をするときには政令で大きく二つか三つの要件が定められていますが、解除するときもやはり何らかの大きな基準、大きくは二つあると思います。新規感染者の減少傾向が確認されるということと、医療提供体制が逼迫していないこと。少なくともこの二つは要件として満たさなければいけないと思いますから、例えば政令で定める基準を満たして十分な医療提供体制が回復したこととか、こういった基準である程度の解除の基準についても、法令、政令レベル以下だと思いますが、そういったことも今回のことを教訓に定めていく必要があるのではないかと思っております。

○黒川検事長「賭けマージャン」報道について(3)

【フリーランス・安積記者】
 黒川検事長の件について伺いたい。今回、5月に賭けマージャンの件が出てきたわけだが、これ常習だったら、1月の閣議決定の根拠というか、黒川さんでないとできないからといって特別に任期を延長したわけだが、これ閣議決定した政府の責任というのはどういうふうになるとお考えか。

【代表】
 当然、これ閣議決定したわけですから、閣議にサインした全ての、総理大臣以下閣僚の責任ですよ。大型プロジェクトを継続するなど、その人をもってしかできないというような理由でやっているわけですよね。その人が刑法犯、あるいはそのおそれがあるなんていうのは、あり得ないと思います。ですから、やはりこれはしっかりと、しかも5月1日と5月13日でしょう、言われているのは。まさに国民の多くには、「緊急事態宣言」が発出されて、ゴールデンウィーク、あるいはそれを終わった後も、なるべく行動を自粛してくれと言っている中でこういうことが行われているわけで、しかも、やっている行為が刑法違反あるいは国家公務員倫理規程違反と。これが事実だったとしたら、とても検事長として定年を延長してまで認めるような方とは言いがたいですね。ですから、まずはしっかりとこれが事実かどうか、新聞社2社も含めて説明責任をしっかりと果たしてもらいたいと思います。