玉木雄一郎代表(オンライン)記者会見

2020年5月27日(水)14時05分~14時58分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/UUUnWl-E8rg


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第2次補正予算案の閣議決定を受けて

【代表】
 きょう、第2次補正予算案が閣議決定されました。まだ必ずしも全体像が伝わってきておりませんが、聞くところによると31兆9114億円の内容だということだと思いますが、そのうち約3分の1の10兆円が使い道の決まっていない予備費ということで、異例の予算になっていると思います。私たちは国民民主党として、きょう正式に総務会でも決定されますが、真水の100兆円の対策を講ずるべきだということでこれまでも提案してきましたが、真水100兆円にはほど遠い内容だと言わざるを得ません。特に、この使い道の決まっていない10兆円を除けば実質は22兆円弱ということです。これも今まで言われてきたような、例えば地方創生臨時交付金の増額であるとか、家賃支援とか、そういったものを足し合わせてもなかなかこの20兆の規模にならないので、一体どういう形でこの20兆を計算しているのか、さらに検討を加えて精査していきたいと思います。  その上で、一番今回の予算に欠けているのは、非常にコロナの影響で経済が打撃を受けているわけです。特に今一番やらなければいけないのは失われた所得の補償だと思います。特に家計所得が大きく失われていて、これはもう戻ってこないので、そこをしっかり補うことが必要なのと、たぶんこの夏のボーナスもいつもと同じようにもらえる企業はもうほとんどないと思います。ですから、所得のいかんにかかわらず、通常よりみんな所得が落ちるというところをしっかりと補わないと、安心して物を買うことができない。つまり、消費する力が落ちてしまっているので、そこを補わなければいけないのに、そこを補う予算が入っていません。私たちは10万円の一律給付をもう一回やるべきだということを主張しておりますが、そういった10万円の定額給付金の追加給付ということが政府・与党の中では十分検討された形跡さえないというのは、今の経済状況の深刻さと原因を正しく捉えていない証左だと思いますので、こういう予算ではこれからの日本経済の再生を確かなものにすることができないと思っています。やはり政府の、この新型コロナによる経済ショックに対する認識の甘さということが出た予算の中身ではないかと思っております。
 さらにこれから中身は精査をしていきたいと思いますが、引き続き我が党として、これがベストだという、真水100兆円の我々としての政策をさらに訴えていきたいと思っています。

○ネット上での誹謗中傷に対する規制強化の議論について(1)

【代表】
 もう一点。先般、ツイッター上の誹謗中傷を受けて、若い女子プロレスラーの方が亡くなられました。改めて、本当に残念だったし悔しかったと思います。心からご冥福をお祈りしたいと思います。
 これに関して、ネット上の誹謗中傷を制限するさまざまな法改正などが議論されていますが、一方で表現の自由ということに対する慎重な配慮も必要だと思っておりますので、拙速に単に規制を強化すればいいという話でもないと思いますので、そこはしっかりと丁寧な議論を積み重ねていきたいと思います。やはり正当な批判を封じることになるという可能性もあります。特に今回、検察庁法の改正に関してはSNS上のさまざまな声が大きな力となったと思います。こういったちょっとした政権批判も含めて誹謗中傷だということで規制がかかってしまうと、これは表現の自由、そして健全な民主主義の発展のためにもマイナスになってしまいますので、SNSでの誹謗中傷や差別などは許されてはなりませんが、その点のバランスをしっかりとりながら議論していくことが必要だと思います。
 あわせて、海外の例を見ても、今回のようないわゆるショー的な、リアリティショーのようなものに出演した若い男女が、アメリカでも、そしてイギリスでも、みずから命を絶つということが報告をされております。今回の女子プロレスラーの自死案件について、ネット上の誹謗中傷ということも要因の一つでしょうけれども、その根本の原因となったこういったテレビの制作や演出のあり方、こういったことについてもあわせて検証していかなければならない。多層的な原因で今回の自死案件が発生したとすれば、そこは単にネットの規制ということにとどまらず、真の原因をしっかりと分析をして再発を防止していかなければならない。そう思っています。


■質疑

○第2次補正予算案について(1)

【フリーランス・安積記者】
 きょう第2次補正が閣議決定されたが、これで足りるのかどうなのかちょっとまだわからないということと、その中身について、予備費が10兆円もされているということで、官邸としても中身についてはちゃんと精査していないような感じがするが、一方で、6月になったら国会が一応会期末を迎えるが、このまま会期末を迎えてしまっていいのかどうなのか。黒川問題もまだ不透明な部分がやはりあって、これについての事実の解明もまだ全然されていない状態だ。国会延長について、代表はどういうふうにお考えか。

【代表】
 まず予算についてでありますが、先ほど申し上げたように、これはまだまだ中身を精査しないと、普通、事業規模を大きくして経済対策を大きく見せるということはするのですが、今回いわゆる真水というか財政支出の部分についても、今言われてきたような政策を足してもなかなか32兆円あるいは22兆円にならないので、そこも膨らませているのではないのかと思って、どういう内容になっているのか早く精査をしてみたいと思っております。よく天ぷらの衣を非常に大きく事業規模を見せるのですが、身だと思っていた身にも実は衣がいっぱいついていたという、二重の衣になっているのではないかという気がします。
 大事なことは、家計にしても企業にしても、今回のコロナで困窮した個人や法人に対して直接幾ら給付されるのか。GDPの直接の寄与としてカウントできるものがどれだけあるのか。少なくとも使い道の決まっていない予備費は今の時点ではGDPにはカウントされませんので、その意味ではいわゆる純粋な真水ではありませんから、どんなに見積もっても22兆円ということなので、これは非常に少ないなという印象ですし、その中身も本当に国民や困っている企業に届くものなのかどうか、これはしっかりと精査していきたいと思います。
 国会延長に関して言えば、これはしっかりと会期の中で法案を通すという前提で与党・政府はやってきているはずですから、きっちりと、会期内でしっかりとおさめてもらいたいし、そこでどうしてもできないものは廃案にするということで対応してもらいたいと思います。
 一方で、黒川検事長の問題、特に賭けマージャンをしたことに対する処分については多くの人が疑問を持っているわけです。きのうもきょうも法務委員会で議論されていますが、とても納得できるものではない。森法務大臣の説明も、最初は内閣が決めたと言っておきながら、その後、追及されたら、つじつま合わせのように、法務省や検事総長が決めたと、最高検が決めたということになっていて、非常に答弁が二転三転しているのと、かつ、やはり懲戒処分がなぜないのか。自衛隊の過去の同じような例と比べても処分が甘いということについての十分な説明がなされていないという点については、やはりそれは引き続き国会の中で明らかにしてもらわなければなりませんし、さらに予算委員会などを開いて安倍総理自身の説明も求めていきたいと思います。

○「沖縄県議選」「憲法審査会」について

【朝日新聞・山下記者】
 2点伺いたい。
 まず1点目は、沖縄県議選が金曜日に告示される。辺野古移設が争点の一つになると思うが、支援されている候補をどのように支援していくのか。こういう状況なのでなかなか厳しいと思うが、党幹部の方が現地入りの予定があるのかどうかというのが一つ。
 あした久しぶりに衆院の憲法審査会が開かれる。党としてどのような主張をされて、代表としてもどういう発言をされていくのか伺いたい。

【代表】
 沖縄県議選ですが、我々として10名の候補に推薦を出しております。全員の当選に向けてしっかりと応援していきたいと思いますが、ただ、一方で、6月19日まで東京から他県への移動というものは制限されているという認識ですから、なかなか現地に入って応援をするということはちょっと難しいのかなというのが現時点での考えです。ただ、ネットを使ったり、いろいろな形で応援を、しっかりと党を挙げてやっていきたいと思っております。
 憲法審査会ですが、あした久しぶりに開催されます。私もメンバーの一人なので出ていきたいと思いますが、問題は国民投票法改正案です。与党は7項目の公選法並びの、ショッピングセンターなどで投票ができるようにするという、こういう技術的な7項目だけを通そうということでやっておられますが、根本的な問題は、やはりCM・広告規制ということを入れなければいけないのではないのか。特にネットの広告ということが、今、テレビの広告を上回るようになってきていますから、資金の多寡によって、そういった賛否の勧誘であるとか、意見表明が影響を受けるようなことがあってはならないと思います。公平・公正な国民投票を実現し、国民の正しく選択して投票できる権利を確実にするためにも、我々としてはネットを含めた広告規制というものをしっかりと主張していきたいと思います。あわせて、外国人の寄附が、国民投票運動を行う団体に対して、今、全く規制なくできるということになっています。ただ、国の基本法である憲法の改正に関して外国人の影響を受けるようなことがあってはならないし、先ほど申し上げたようなネットを使った世論工作というのが世界的にも行われていて、ブレグジットのときもそうでしたし、フランスの大統領選挙のときもそうでしたし、例えばトランプ大統領が戦った大統領選挙でローマ法王に関するフェイクニュースが流されたり、そういった背景にケンブリッジ・アナリティカのような、政治広告、(世論)操作会社のようなものが介在することがもう当たり前のようになってきているので、こういう現状をしっかりと示しながら、現代に合わせた法規制・法改正ということが不可欠なんだということを中心にあすは申し上げていきたいと思います。

【朝日新聞・山下記者】
 沖縄県議選の関連で一点。辺野古移設の是非について、改めて現時点でのお考えを伺いたい。

【代表】
 無理ですね。無理というのは、やはり軟弱地盤が発見されて、計画変更の申請が出されていますが、これは沖縄県としては認めない。そうすると訴訟になっていきますが、こういったことにまず時間がかかるということと、あと、ただでさえ完成までにこれから13年、15年かかると。さらに2兆円ぐらいお金がかかるというふうに言われていますので、工費も完成時期もわからないようなものにお金を投じていくことが、これは安全保障の観点からも本当にいいのかということは一度冷静に考えたほうがいいのではないかと思います。
 ドローンを使った、あるいは無人機を使った攻撃のような、攻撃の形態も新しくなっている中で、海兵隊の特にヘリコプターの訓練用に予定された、その機能として考えられている辺野古崎の基地が、設計当初の目的を15年後に果たせるのかどうかということも含めて、いずれにしても一回立ちどまって議論すべきだと思いますし、これまで、従来のやり方で強引に工事を進めることはもうあり得ないのではないか。安全保障の観点からもあり得ないのではないかと思いますから、これは大きな争点にしていきたいと思います。

○「ネット上での誹謗中傷規制に関する議論」「9月入学案」について

【NHK・米津記者】
 最初の代表の発言であった、SNSでの誹謗中傷について、リアリティショーという形で出演したということが根本原因の一つではないかという見解を示されたと思うが、では、どういう形で、例えばドラマということであればいいとか、何かその辺、代表として今のご認識を伺いたいのと、党として、あるいは会派として、どのような形で検討していこうとお考えか。PTを設けるなり、どのような形か伺いたい。
 もう一点、「9月入学」について、自民党は慎重な意見が相次いでいて、きょう作業チームで提言の骨子案を示すが、6月初旬には国民民主党としても「9月入学」のあり方について考えをまとめるとお聞きしている。こうやって政府・与党側がちょっと慎重な姿勢になっている中で、早くから「9月入学」について主張されていた玉木代表として今どのようにお考えかということと、夏休みや土日も返上して子どもたちに学習させようという流れについてどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 まず、リアリティショーに関して言えば、そこに過度な演出、ヤラセとは言いませんが、そういったものがあったのかなかったのか。そこはやはりフジテレビさん、制作されたところが、やはりこれは人が亡くなっているわけですから、検証して、それは公表するなりすべきだと私は思います。リアリティショーと言っていますから、まさにショーなので、何らかのリアリティなところとショーの部分が重なり合っている、そういった演出の部分がまたおもしろいということかもしれませんが、ある意味、それが誹謗中傷の対象になったということであれば、やはりそういった過度な演出ということをどう考えるのかということは、やはり制作をしたテレビ局としても考えていかなければならないのではないかと思います。
 ネットの規制に関して言えば、先ほど申し上げたように、表現の自由であるとか、あるいは正当なそういった批判のようなものが抑制・抑圧されることがあってはならないと思いますので、基本的に慎重な検討が必要だと私は思っております。ただ、今、プロバイダ責任法、プロ責法というのがありますが、この4条の情報開示について、もう少し対象を広げたり、それを簡素化することができないかということは議論をしていけばいいと思います。
 具体的に言うと、SMS情報。今、省令指定で対象になっていないSMS情報、つまり携帯電話番号情報も出したほうがいいのではないかと。海外では出している例もあります。そうすると本人特定がかなりしやすくなるということですが、こういったところをどうするのかという、対象範囲を広げていくという話が一つ。
 もう一つは、海外にサーバー等、あるいは会社がある場合に、迅速に請求できるような体制をどうつくっていくのか。こういったことは手続の迅速化という観点でやっていけばいいと思います。
 ただ、なかなか法律で縛ろうとすると先ほど言ったような表現の自由との関係が出てくるので、私は、まず今既にあるプロバイダさん等のガイドライン、あるいは一人ひとりの利用者と結ぶ契約約款の中に、誹謗中傷のようなものについては削除の対象になり得るということをみんな実は合意して契約を結んでいるはずなので、そういった運用を、まずは自主規制機関や、そういったサービス提供者あるいはその団体による自主規制をやるほうが円滑だし効果的な対応ではないかと思っています。
 「9月入学」は、これは今、議論をしています。私もこの前、有識者の皆さんも入れてそういったディスカッションにも参加させていただきましたが、もともと「9月入学」を提案したのは、今の教育に穴があいているだろうというのが一番の問題意識です。先ほどおっしゃったように、一番大事なことは、来年の4月から新しい年度が始まりますが、何もなかったようにそこから同じようにスタートできるのか。もっと言うと、来年の1月、あるいは早ければAO入試とか推薦入試だったら夏から始まる、その通常の入試手続に、ずらさなくても間に合うのかということをまず文科省はちゃんと示すべきだと思います。そのキャッチアップ、今から全部追いついて、夏休みも使って土日も使って全部やって何とかこの失われた2、3ヵ月は取り戻せると、遅れた子どももみんな平等に同じスタートラインにもう一回立てるということの見込みが立つのであれば、そのずらす議論はしなくていいと思いますが、ただ、暑い中、毎日、連日補習のようなことをして、やれるのかという、そこの見通しをまずきちんと示すべきだと思います。
 できないのであればやはりずらす、ずらし方の一つの案が9月スタートということなので、「9月入学」ありきで我々は議論を始めたわけではなくて、明らかに遅れが出て穴があいている子どもたちの教育が、じゃあ無理やりでも追いつけるものなのかどうなのかということについて、やはり冷静な議論をした上で、だめだったら何らかの形でずらすしかないので、そのときの一つの目安が9月ということです。
 その辺の、キャッチアップできるか、取り返せるかどうかのめどはやはり文科省がまず責任を持って示すべきで、それなくして「9月入学」がいいのか悪いのか結論を出すのはどちらも早過ぎると思いますから、まずそこを見極めた上で我々としての一つの考え方を6月上旬には示していきたいと思います。

○「アフターコロナの国家像」「東京都知事選」について

【共同通信・中田記者】
 2点伺いたい。
 代表はツイッターに投稿した動画で、「アフターコロナの国家像」として、グローバリズムの見直しなど3点を挙げて説明されているが、この考え方について詳細に解説いただきたいのと、党内や共同会派の中でどのように議論を深めていくのかが一つ。
 もう一点が、東京都知事選に関して、小池都知事が出馬すると報じられている。宇都宮健児さんの出馬表明もあった。代表の今の時点での東京都知事選への臨み方についてのお考えを伺いたい。

【代表】
 まず、「緊急事態宣言」が全国的にも解除されました。まだまだ緩みは許されませんし、特に経済的な対策は万全を期していかなければならないのですが、間もなく来年度の予算編成なども始まっていきます。そのときに、やはり従来型の発想で予算を積み上げたり予算を編成するのではなくて、そろそろこのポストコロナの社会のあり方や国のあり方を考えて、そこに沿った形で予算編成も、あるいはさまざまな政策立案もしていかなければならないと思っています。
 その上で、このコロナを経て三つ大きなテーマ、方向性が出てきたなと思っているのは、一つは、戦後と言ってもいいと思います、ずっと続けてきたこのグローバリズムというのを、やはり一定程度、副作用については見直していかなければいけないのではないか。とにかく国境は低くして物・金・人の行き来をできるだけ円滑化するのが人の幸せにつながるんだという発想でやってきましたが、今回のコロナというのはある意味グローバリズムの副作用の一つだと思います。ですから、もっとできるだけ国内で生産できるものは生産する、供給できるものは供給するという、ある種の自給自立の体制を強化するという方向にまず政策の軸を大きく変えていかなければならないのではないか。その意味では、食料の安全保障、エネルギーの安全保障、再生可能エネルギーを本当に本気でもっと強くする、こういったことにつなげていきたいと思います。
 二つ目は、これもコロナで感じたのは、国と地方、あるいは都市と地方のあり方の見直しだと思います。最も効率的で効果的だと言われた東京は人がまさに「3密」で、いざとなったら、いまだにそうなのですが、まだ十分に経済が再開できないような、ある意味都市というのは非常に脆弱だということがわかったわけです。それに対して、相対的に地方というのはある意味での優位性があって、思う存分経済活動もできるということであれば、もっとやはり地方を重視していく。さらに、今回は各首長さんが非常にそれぞれの地域の特徴に合わせて頑張られたわけなので、財源・権限を大胆に地方に移譲して、地方の魅力がもっと自主的に開花していくような、そういう新しい地方の時代をつくっていく、あるいは中央と地方の関係を再構築していくということが2番目に重要なテーマかなと。
 三つ目は、これもコロナで感じましたが、今まで何かあればとにかく政府は小さいほうがいいし、効率化をできるだけ進めましょう、公務員も少ないほうがいいとやってきたのですが、ただ、一方で、やはりいざとなったときには公的な医療とか、あるいは教育というのが本当に大事なんだなということを実感したと思うのです。給付措置・給付手続にしても各役所の現場で頑張っている公務員さんも非常に大事だなと、保健所の職員も減らし過ぎるとだめだなということを非常に実感したわけなので、いわゆる小さな政府論ということを少し見直して、特に教育とか福祉、医療といった分野については、改めて国の役割、公的な役割を見直していかなければいけない。そういう中で政策も再構築していかなければいけないと思っています。
 都知事選に関して言えば、現時点では未定です。この前も申し上げました。野党第1党の立憲民主党さんがどうされるのかということも見ていますし、さまざまな、コロナ対策の真っただ中にまだあるというような状況も踏まえて、最終的に総合的に判断していきたいと思います。

○第2次補正予算案について(2)

【時事通信・近藤記者】
 2次補正について伺いたい。先ほど代表は、経済ショックに対する認識が甘いとおっしゃった。会期延長にも否定的なことを言われていたと思うが、さらなる補正の必要性について、その規模感的にはどう思われるかと、政府が予備費10兆円と大幅に積み増したことについて、その狙いをどう見るか。10兆円の予備費についてどうお考えになるか伺いたい。

【代表】
 まず、先ほど申し上げたように、4-6(月期)は21%以上、経済がマイナスになると思います。その後、戻るという予測もあるのですが、ただ、結局ワクチンや新薬が開発されない限りは依然としてフルスペックのというか、コロナ以前のような経済活動は企業もできないし消費者の側もやはりできないと思うのですね。そうすると、やはり一旦落ち込んだ景気というのは簡単にV字回復せずに、よくてL字型、下がったものがそのまま横ばいするということになれば、やはり相当な経済政策をやらなければいけない。特に家計の、所得の損失を補うような経済対策が必要なのですが、そういったメニューが非常に乏しい。
 今見ている限りだと、今回の2次補正は一言で言うと1次補正を補正したようなものですね。本来ならば1次補正でやるべきだったのに、そこでケチケチしたので、後から言われたものを全部つけ加えて、中途半端だった1次補正の補正予算が2次補正予算になっています。
 そうではなくて、やはりもう一回10万円をみんなに配るとか、そういったベーシックインカム的な発想で、所得のいかんにかかわらず落ち込んだ所得の減少をしっかりと補填していく、消費を下支えしていく、こういう発想が必要なのですが、そういう発想が一切見られないのは残念だし、経済的な効果は薄いと言わざるを得ません。
 極めつけは予備費なのですが、31.9兆円と言っていますが、そのうちの約3分の1の10兆円が予備費なんていうのは、よほど知恵がなかったんだなという感じですね。10兆円あるのだったら、それは国民に配ったらいいんですよ。そうしたらその分、少なくとも10兆円分はGDPが即上がることになりますが、単にお金を積んでおくというのは、もちろんこれから何が起こるかわからないから積んでおくのはわかりますが、一般会計予算の30兆円強のうちの3分の1が予備費なんていうのは財政民主主義の観点からもどうなのかという気がします。国会にこれからかけていくわけですが、10兆円ですよ、皆さん。普通なら補正予算の全体規模ぐらいの大きさのやつが、何に使うかわからない。それで国会を本当に通していいのかと。せめて幾つか、医療系ですよとか、家計支援系ですよとか、事業継続系ですよとか、大きな方向ぐらい見せてくれないと、金の固まりを10兆積んで、これで国会通してくれといっても、それは財政民主主義の観点からもどうなのかというのと、しかも全体の3分の1が使い道が決まっていない予備費というのは、政権の政策の知恵のなさをあらわしているのではないですかね。もし本当にやるのだったら、そこに何かの、ある程度の方向性を決めた支出として予算計上すべきだと思いますが、非常に、そういう意味ではもう安倍政権、ネタ枯れしてきたのかなという気がします。

○政権選択肢としての取り組みについて

【フリーランス・堀田記者】
 いろいろと安倍政権にもちょっとしたマイナス点があると思うが、これに対してネットでいろいろと言っている方たちや、集会とかデモに来ている人たちといろいろと話をするが、じゃあ安倍を倒したらあなた方はどうするのということについて、玉木政権でやるとか、枝野政権でやるとか、そういったことが全くない。つまり、彼らは安倍さんがとても嫌いらしくて、安倍はやめろと、ついでに麻生さんも出てきて、この前は小池都知事も出てきたが、近ごろは野党共闘というプラカードもない。玉木よ頑張れということも全然ない。こういったことをどう思うか。単に、悪いけれども、ネットで騒いでいるだけで、ストレス解消みたいのが、これが要するに選挙や裁判に全然通じない。私はそういった集会やらデモに来ている人たちに言っているが、はっきり言って選挙と裁判に勝たなければあなたたちが理想としている国はできないよと言っているが、それについて、あまり期待されていない玉木さん、お答えください。

【代表】
 まず、今回の検察庁法のときもそうだったのですが、国民の皆さんの怒りのような声というのが結集した、そのことが政治を動かしたのだと思いますが、ぜひこの思いを選挙のときまで覚えておいていただきたいというのが一つです。我々野党側の責任も非常に大きくて、そこはおっしゃるとおり、どういう形にせよ、しっかりとした政権の受け皿と、信頼できる受け皿を示していかなければいけませんし、示しているつもりなのですが、まだそれが国民の皆さんには信頼できる選択肢として認知されていないということかもしれません。ただ、これだけ政権のやっていることがおかしいということになってくれば、やはりもう一つの選択肢を示すのが我々国会議員、野党議員の責任だと思いますので、そこはしっかり肝に銘じて、いずれにせよしっかりと国民の皆さんの思いを受けとめることができる、そういった野党でなければならないし、そのような動きにつなげていきたいと思います。

○黒川前検事長の賭けマージャン問題について(1)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 かつて検察庁の看板に黄色いペンキという有名な事件があった。ネット上で、検察の前は広々とした日比谷公園だから、そこでマージャン大会をやろうじゃないかと、あるいはポーカー大会をやってみたらどうだろうかとか、そういう呼びかけがあるぐらいで、それは半分ジョークかもしれないが、これはやはり懲戒免職で懲戒処分にならない限り信頼が回復しないというぐらいの事件ではないかと思う。特に、世論調査があるが、女性が非常に、コロナ禍での賭けマージャンは男社会の弊害ではないかという意見もあるぐらいだ。今の政府はやはり国民の気持ちを読み違っていると思うが、集中(審議)もあると思うが、どういうふうにお考えになるか、今後の国会の審議で。

【代表】
 まず、今回の訓告処分は明らかにおかしいと思います。どういう理由でやったのかについての説明も支離滅裂ですね、森大臣。
 私は、ここは検察がしっかり捜査すべきだと思います。少なくとも刑法違反が問われている案件ですから、やはりしっかりと捜査をして、賭博罪なのかどうなのかも含めて、しっかりとこれは検察が自浄努力をみずから見せるべきだと思います。そのことによって、犯罪行為に当たるということが認定されたら、遡って訓告処分を取り消して、より重い懲戒処分、少なくとも戒告か減給といったものに遡及して変えるべきではないかと思いますから、法務省もそうですが、検察自身がしっかり動いて公平・公正な姿を見せることによってでしか検察の信頼は回復していかないと思いますので、そこは検察もしっかりやってもらいたい。
 そして、何といっても内閣の、この定年延長を特例で認めたこともそうですし、特例で甘い処分をしたことも、いずれも内閣の責任ですから。そして、そのトップは安倍総理大臣ですから、安倍総理の政治責任は厳しく問われるべきだと思います。
 予算委員会を早く開いて総理本人から説明を求めたいと思いますし、我々も厳しくここは追及していきたいと思います。

○次期総選挙について

【共同通信・中田記者】
 立憲の枝野代表が25日の党会合で、「緊急事態宣言」解除を受けて、衆議院の解散に関して、いつあってもおかしくないとおっしゃっている。次期衆院選に関して、思いを同じくする力を幅広く結集し次の政権の姿を示す必要があるとも指摘している。代表の衆院解散の可能性へのお考えと、合流も含めた結集への考え方に関してどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 常在戦場だと思っていますから、いつあってもおかしくないというのは前々からの私の立場です。
 できるだけ協力を得られるところとは連携を強化していこうというのは、もう2年も前からの方針であって、我々もその思いは変わりません。合流には関しては昨年末、ことしの初めに、いろいろな協議を行った結果、そのときはそれがならなかったわけですが、どういう形で連携を強化していくのか、その後も継続的に考えております。国対はほぼ一体化してやるようになりましたし、政調も今回のコロナを経てかなり一体化するようになりましたので、そういう延長線上にさらなる連携を考えていきたいと思っています。
 ただ、当面まずやるべきなのは、選挙区の調整であるとか候補者の調整ということはいずれにせよ急がなければいけませんから、今度は選対レベルでのさらなる協力体制の強化ということは現実的に進めていきたいと思いますし、大きな枠としても、どういった国民の期待が集まるような枠組みがベストなのか考えていきたいと思います。

○東京都知事選について(2)

【J-CAST・工藤記者】
 都知事選の対応で関連だが、先ほど、現時点では未定で、立憲さんの動向を見ながら決めていきたいということだったと思うが、きのう福山幹事長の会見で、小池知事の対抗馬は立てるべきだといったことをおっしゃっていた。そういった方向性を含めてシェアされているというか、具体的に言うと小池さんを支援する、いわゆる不戦敗論ではなく、単独かどうかはともかく対抗馬を立てるべきだと、そういう方向性はシェアをされているという理解でよろしいか。どういったところか、現状としては。

【代表】
 我が党は野党第2党なのと、残念ながらちょっと東京での基盤が弱いので、独自候補を立てるというのは現実的ではないと思っておりますので、その意味では、まずは野党第1党さんがどういう選択をされるのか。また、どういう協力を他党に働きかけるのか。そういったところをよく見ていきたいと思います。宇都宮健児さんが出られたので、例えば共産党さんの一部はそこは応援されるということであれば、別に出ればまた野党統一というのはそもそも崩れていますし、いずれにしてもよくこれから考えていって、今の段階ではまだ未定です。

○黒川前検事長の賭けマージャン問題について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 先ほどの、プロレラーの木村さんがお亡くなりになったということに関して、民放ははっきり言ってビジネスだから、いろいろとおもしろいのをやっているが、過去にかなり問題点のある番組ばっかりやっていた。それから、黒川問題に関して、私は先ほど武田良太国家公安委員長に対して、何で朝日の社員と産経の2人の記者を逮捕しないのか聞いたが、個別の案件には答えられませんといって逃げられてしまった。特に朝日新聞は、要するに記者ではないからといって、情報を得ているのではないということを言っているが、記者を卒業しても、そこからつき合いで情報を得ている人などはたくさんいる。こういった犯罪者をかくまっているマスコミと、ある意味興味本位でくだらないものをつくっている民放をどのように思われるか。

【代表】
 一般的に言って、あるビジネスによって収益を上げている、端的に言うともうけている人が、ある発生した事案についても一番責任をとるべきだと私は思います。だから、そういった視聴率を稼いでいる、そのことによって、いいときはいいのですが、その結果亡くなった人が出たということであれば、最もそれによって利益を得た人が責任も最も強く負うべきだと私は思います。ですから、もちろん書き込みをした人は、そういった死につながるようなことはやってはなりませんし、こういったものは厳しく指摘されるべきだと思いますが、テレビ局や、あるいはSNSを運用している会社も、ある意味それでもうかっているわけですから、そういったところの社会的責任というのは、こういう事案が発生したときにはむしろ一番最初に問われるべきではないかと思います。
 黒川さんのマージャンの件に関して、同席していた記者さん等については、これは各社、産経新聞さんも朝日新聞さんも普段厳しく、政権に対しても我々野党に対しても厳しくおっしゃっておられるから、やはり自浄作用が働くところをメディアが見せなければいけないのではないですかね。少なくとも、刑法犯というか、賭博剤の共犯の可能性があるわけですから、そこはしっかりまずみずから調べて、法務省よりも先に、あるいは法務省よりも詳しく調べて、それをやはり公表すべきではないでしょうか。あわせて、検察が捜査をするのであれば、同席したその記者さんたちにも当然捜査の手は及ぶわけで、そういったことをまた捜査・調査を通じて明らかにしていくことも、検察、そしてマスコミの信頼回復にも不可欠ではないかと思います。

【フリーランス・安積記者】
 黒川さんの件だが、同じようにバドミントン日本代表の桃田賢斗さんの賭博事件が発覚した後、すぐにリオオリンピックの出場権を剥奪されている。所属していたNTT東日本はすぐに調査し、発覚した1年半前からの、賭博にどのぐらい行ったとか、どのぐらい賭けていたとか、そういった調査もしていて、発覚から4日後、所属していた男子バドミントン部の半年の対外試合の自粛も決めている。そういったところで所属というか責任を持っているところがきちんと後始末をつけようとしているが、黒田さんに関しては、法務大臣が進退伺を出しただけだ。任命していた内閣についても誰も責任をとっていない状態。先ほど代表は予算委員会で責任を追及すると言われたが、追及されないと責任は果たせられないものなのか。自主的・自律的に内閣は何か責任を自分たちが感じているということを表明しないといけないと思うが、何もされていないことについて、どうお考えか。

【代表】
 桃田選手に関しては、そのことで出場もできなくなったし、いよいよ東京オリンピックを目指していって、今、コロナになって、またその機会を奪われつつあって、やはりそういった責任をとっておられる人が一方でいる中で、今回何もないし、所属組織もうやむやな調査しかしないということであれば、それはむしろより大きな責任を果たさなければいけない検察官、官僚組織、そしてメディア、こういったところがやはり身内に甘いという評価にならざるを得ないと思います。
 さらに究極は、こういったことを引き起こしているのはやはり内閣の責任ですから、当然森大臣はまず担当大臣としてやめなければいけませんし、安倍総理の責任も極めて重い。おっしゃるとおり、追及されないと何も言わないのではなくて、少なくともこれだけその処分の内容自体あるいはそのプロセス自体がおかしかったのではないかと言われている以上は、まず安倍総理がやるべきなのは再調査を指示すべきですよ、それは。もしそれが過去の、あるいは他省庁の事例に照らして甘過ぎるということであれば、その再調査の上、処分内容を遡って見直す。そういったことも含めて政府はやるべきだと思います。検事長は任命権者は内閣ですから、それはもちろん法務省、最高検、検事総長が何か案をつくるのはそうかもしれませんが、やはり権限は内閣にあって、内閣のトップは内閣総理大臣なわけですから、まず総理は再調査をしっかりと命じるということが一番最初に具体的に果たすべき責任ではないでしょうか。

○国家公務員法改正案について

【時事通信・近藤記者】
 国家公務員法改正案について、政府が一度廃案とする方向で動いていたが、本日の内閣委員会で菅長官が、成立に向け努力すると。これは継続審議とする方針に転換したととっていいと思うが、この一連の政府側のいざこざというか、一連の経緯について、どのように受けとめていらっしゃるか。

【代表】
 異例の異例ですね。というか、今までこういうことはなかったのですが、総理大臣が言っていることと官房長官が言っていることが珍しくずれている事案だと思います。自民党の参議院の会長である世耕さんも、もう一回見直したほうがいいと。総理もそういった趣旨のことを言う。でも、官房長官は、成立を目指すと。こういうことは今までありませんでしたし、一体政権の中で何が起こっているのでしょうね。
 まず、そこをきちんと整理をして、継続審議にしたいのか廃案にしたいのか明らかにしてもらいたいですね。非常に混乱していると思いますし、多くの公務員のこれからの身分にもかかわる法案ですから、こういったあやふやであいまいな姿勢でこの法案を進めることはいずれにせよできないと思いますので、まず自民党の中でどうしたいのか速やかに整理をしていただきたいと思います。