玉木雄一郎代表(オンライン)記者会見

2020年6月10日(水)14時02分~14時56分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/smZPjUuzh1c


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第2次補正予算審議について

【代表】
 まず予算委員会についてでありますが、先ほど予算委員会で質問させていただき、また、本会議で第2次補正予算、我々は組み替え動議を出した上で否決され、それを踏まえて賛成ということになりました。賛成はしたものの数々の問題があるというところで、そこはこれからもしっかりとチェックをしていきたいと思います。一方で、非常に支援を急ぐ、そういった支援を求めている方もたくさんいらっしゃいますので、これをいち早く届けるという観点で賛成をさせていただきました。
 きょう予算委員会で幾つか話をしましたが、一つは、我々が当初から、3月から言ってきた10万円の一律給付ですが、1次補正でこれは実現しましたが、追加の現金給与について、総理がこれを否定せずに、必要であれば果断に判断していくということで、追加の余地を残した答弁をされたのがちょっと私も意外でしたし、逆にここは言ってよかったというか、私は引き続きベーシックインカム的にこういった追加の給付が必要だという立場ですから、これはいい答弁をしてもらったと思っております。
 また、持続化給付金を初めとした委託事業の不透明さについては、現場の声も踏まえて問題点を指摘して、とにかく、サウンディング型市場調査というマーケットサウンディングをやる手法があって、事前にそれを事業者から聞いたとしてもきちんと公開をするなど透明性を確保するやり方でやってくれということで、電通さんの話、リクルートさんの話、それぞれ持続化給付金と家賃の給付金について事務を委託するということになっているのですが、その事前の接触記録は出すということを答弁いただきましたので、これもさらにチェックをしていきたいと思っています。
 あと、国会は閉じずに引き続きやってほしいということも求めましたが、どうやら閉じそうですね。ただ、しっかりとしたコロナ対策の検証と、また、きょう少し予算委員会でもやりましたが、このコロナ後の新しい社会のあり方や国家像ということをしっかり国会で議論して、それを踏まえた来年度予算編成とかそういったことをしないと、結局昭和・平成を引きずった古いままの社会が続くし、それではもう国際社会の中で日本はたぶん生き残っていけないと思いますので、国会を引き続き開いて、そういったコロナ対策やコロナ後の世界のあり方、社会のあり方、国家のあり方をしっかりと議論すべきだと思いますし、これを引き続き求めていきたいと思っています。

○アフターコロナの国家戦略 三つの柱と一つの方策

【代表】
 我々としても人に言うばかりではなくて、きょうもちょっとお示ししましたが、コロナ後の、アフターコロナやウィズコロナの国家戦略ということをしっかりと我々としても取りまとめていきたいと思います。きょう大きな柱をお示しさせていただきましたが、これを肉付けしていきたい。
 まず、「ジャスト・イン・タイム(効率重視)からジャスト・イン・ケース(備え重視)の国家へ」と書いていますが、これを英語で言わずに日本語で言うと、ジャスト・イン・タイムというのはトヨタのかんばん方式みたいに無駄なく在庫なくという非常に効率性を高度に重視した企業運営・国家運営ということなのですが、これがこれまでは非常に重要視されました。政府も小さな政府ということが言われてきたわけでありますが、今回コロナでわかったことは、やはり医療とか教育とか、もちろん効率性は大事なのですが、いざというときの備えというのがすごく大事だなと。これは災害のときもそうです。災害、感染症、あるいは場合によっては戦争といった、有事の際の備えということが非常に大事だなと思いましたので、いわゆるジャスト・イン・タイムからジャスト・イン・ケース、いざというときの備えとか安心が万全の社会ということに大きく変えていかなければいけない。
 具体的に言うと三つ視点がありまして、一つは、グローバリズムを戦後ずっと進めてきましたが、このコロナの感染(拡大)そのものがその弊害の一つだと思いますが、国境がなくなることによっていいこともあるのですが、やはりマイナス面もあって、そのグローバリズムの負の側面を修正していかなければならない。もっと具体的に言うと、食料安全保障であるとか、きょうも取り上げましたが、経済の安全保障。もっと言うと、中国に過度に依存したサプライチェーンでいいのか。こういったことについても見直しをしていかなければいけませんし、農業の再生という意味で、直接支払い制度のさらなる強化、こういったことも政策的により踏み込んで重視していかなければならないと思います。
 二つ目は、東京一極集中。これもコロナで痛感しましたが、やはり人が集まっているところはある意味で感染症に弱いわけです。かつ、最近出ました出生率も東京ほど低くて、そこにどんどん人が集まるということは出生率が社会全体・国家全体として下がっていくことですから、国の持続可能性に黄信号・赤信号がともるということですから、もっと地域が分散的な、自立分散型の地方分権。財源・権限を地方にしっかりと移譲して、かつ、財政的な投資も地方に重点的に行うような、権限とお金の流れを変えていかなければいけないというのが二つ目です。これからは首都直下型地震もありますので、その意味でも首都機能の分散とか、こういったことは本格的に取り組まなければいけないと思います。
 3番目は、富の偏在の見直しですが、これは日本でも、そしてアメリカなどは特に顕著ですが、明らかに人種というか所得階層によって死亡率が違うのですね。これはやはり命の値段に差ができているということで、ものすごく限られた人に多くの富が集中する。トランスフォーマー、プラットフォーマーのような、そういったところにものすごくお金が集まって、中間層がもう溶けてなくなっていくようなことを、やはり変えていかなければいけない。その意味では、税制の抜本的な見直しなどを含めた中間層復活の政策を中心に打っていかなければいけない。我々でいうと「家計第一の経済政策」にしていかなければいけないということだと思います。
 「グローバリズムの見直し」「東京一極集中の見直し」「富の偏在の見直し」、こういった三つの柱をもとに、それを全て共通して支えるのが、これからのデジタルトランスフォーメーションだと思います。デジタル社会をいかにこういった変革に生かしていくのか。そのときに、データ基本権ということをしっかり確立して、自分に関するデータがきちんと管理されることを担保する権利であるとか、あるいは自己決定権。自分に関する情報とかデータが、きちんとみずからそれを決定できるということを権利としても、これは憲法上の権利としても確立する。こういったこともあわせて議論していかなければならないと思います。

○アフターコロナの国家像・社会像提示へ党内議論を開始

【代表】
 そこで、今回、アフターコロナ・ウィズコロナの国家像・社会像をしっかりと示していくという観点から、国会閉会後に速やかに党内に新たな組織体を立ち上げて、このアフターコロナ・ウィズコロナのあるべき国家像、そして社会像の議論を開始したいと思います。精力的に議論を進めて9月をめどに一定の考え方を取りまとめ、時代にそぐわない古い政治を刷新できるような内容にしていきたいと思います。そのときの柱が、今申し上げたこの3本の柱と一つの方策ということになります。
 今回の検討は、我が党の綱領や基本政策の変更にも及び得る抜本的なものにしたいと思います。国民の期待をしっかりと集めることができる政治集団あるいは野党になるためにはみずからがまず変わらなければいけないということを、このコロナ禍の中で強く意識をしました。あえて言えば新党をつくるようなつもりで抜本的な議論をしっかりやっていきたいと思います。
 こうした新しい取り組みを進めるために、通常国会が終わり次第、人事の刷新にも着手したいと思います。  国民民主党は民主党・民進党の法的な後継組織なので、政権をとったときの政策も含めて引き継いできました。2年前の国民民主党結党時にある程度これはアップデートしたと思うのですが、それでも今から見ると古くなっている基本政策やインデックスも多いので、これを抜本的にアップデートしていきたい。私たち自身も、2年前に結党したとはいえ、このアフターコロナの時代にそぐわない、そういったものも出てきていますので、自分たち自身が古くなっているんだという自覚のもとに新たに私たちのあり方をアップデートしていきたいと思います。
 具体的には幾つかのテーマがありますが、例えばこの三つのテーマでいうと、TPPなどは積極的に推進してきましたが、単なる自由貿易推進一辺倒でいいのかという議論もしなければいけません。むしろ、ブロック経済とは言いませんが、国内あるいは価値を同じくする国々の間である程度自給できるような体制をつくる必要があるのではないか。
 あるいは、プライマリーバランス、財政規律を一つの目標としてきましたが、それが果たして現実的なのかどうかということも含めて、財政政策のあり方をどうするのか。
 それと裏返しになりますが、税制のあり方ですね。3党合意ということでこれまで消費税増税ということでやってきましたが、今の家計の現状、経済の現状を見て、果たしてその3党合意をそのまま維持するようなことでいいのかどうか。
 あるいはデジタル時代の基本権のあり方とか、あるいは安全保障のあり方もサイバー攻撃などが中心になっていきますから、そういったものもデジタルトランスフォーメーションの時代にどうあるべきかということをしっかり考えていきたいと思います。
 あとは、この間痛感したのは、やはり国会のあり方です。国会改革、あるいは行政改革、これも単に削ればいいということではない改革をしていかなければいけませんし、例えば国会、これは地方議会の本会議にも当てはまるのですが、出席という概念も、現にそこにいなければいけないのかどうかということも含めて、やはりそろそろ議論しなければいけないと思っております。
 こういう議論をしながら、時には憲法論にもそれは及ぶと思いますし、新しい経済政策にもそれを結実させていきたいと思いますので、いずれにしてもコロナ後のアフターコロナ、あるいはウィズコロナ、コロナとともに生きる、その時代にふさわしい政策や理念ということを9月をめどに精力的に党内で取りまとめていきたいと思います。


■質疑

○国会会期延長の必要性について

【共同通信・中田記者】
 国会の延長について、国会の延長を政府・与党はやらない方針であるようだが、国会を延長しないという態度についてどのようにお考えかというのが一点と、2次補正に関しては立国社も賛成したわけだが、内閣不信任案についてはどのようにお考えか伺いたい。

【代表】
 国会は当然継続すべきだと思います。きょう、この持続化給付金に関するサービスデザイン推進協議会や電通さんとのやりとりの紙を出すとおっしゃったので、それを出してもらった上で、国会の審議で不透明だと言われている点はやはりしっかりと議論をしなければいけませんし、また、コロナに関しての対策の検証、初動体制がどうだったのかということについてはきちんとやっておかないと、秋以降の第2派・第3派に適切に対応することができないので、まずコロナ対策の検証ということも国会では必要だと思います。
 加えて、さまざまな問題が言われている、例えば河井夫妻の問題とか、これも場合によっては、河井案里議員の秘書については公選法違反の裁判が結審していますし、検察が懲役1年6ヵ月を求刑しているわけですよね。事実関係の認定がある程度行われつつあるので、こういうことも踏まえて、国会としての対応と、あるいは説明責任をしっかり果たしてもらわなければいけないということもありますから、とても国会を閉じるような状況ではない。むしろ、ここで閉じるのだったらやはり嫌なことから逃げるために閉じるんだと思わざるを得ませんから、しっかり説明責任を果たしていただく。
 あるいは、財政民主主義の観点から、この税金の使い道をきっちりチェックしていくということがこれからも大事になると思いますから、国会をここでとめるわけにはいきません。

○第2次補正予算について

【時事通信・近藤記者】
 補正予算についての質問だが、本日、2次補正賛成という形で衆院通過した。1次補正では持続化給付金や「Go To キャンペーン」などが含まれた補正予算にスピード成立という形で協力して賛成されたが、このずさんさなどを見抜けなかったという点もあると思う。この2次補正でもスピード成立に協力、中身についての評価と、協力した判断に至った経緯を伺いたい。

【代表】
 我々としても苦渋の決断のところはあるのですが、やはり政府・与野党連絡協議会である程度我々の要望を申し上げそれを酌んでくれたところもあるということが一つ。そして、きょうも指摘をしましたが、その執行においてはそれでも問題が多いので、これは国会を開きながらチェックをし修正をかけていかなければいけませんが、制度そのものというか予算自体は早くそれを必要とする人に届けなければいけないということで予算については賛成させていただきました。あわせて、ある種条件としては、引き続き国会を開いて、その執行が正しくできているのかどうか、ここも野党への報告を求めて、おかしなところはおかしいということを不断のチェックをしていくということとセットでの賛成だということで、我々としてはしっかり予算の執行の中身についても厳しく見ていきたいと思いますし、それが賛成した者の責任だと思いますので、厳しくチェックをしていきたいと思います。

○「アフターコロナの国家像・社会像」「拉致問題」について

【NHK・米津記者】
 代表の冒頭発言であった、党内に新たな組織体を立ち上げてアフターコロナの社会像などを議論したいということだが、これは9月めどに一定の考えを取りまとめるということだが、選挙、次の衆院選を意識したものだという位置づけでよろしいか。また、どんな組織体なのか、代表がトップで何かほかにぶら下がるものがあるかどうか伺いたい。
 もう一点、別件だが、北朝鮮の拉致問題について伺いたい。きょう安倍総理が予算委員会で、北朝鮮に対し日本の声と気持ちを一つにして強く訴えていくことが大切だと述べていた。これはメディアも国会も含めて一体となってという意味合いなのかと考えたところだが、代表はまず横田滋さんが亡くなったことについてどのように受けとめているかと、今後、めぐみさんを含む拉致被害者の方に戻ってきてもらうために必要なこと、どんなことを国会でやっていきたいか伺いたい。

【代表】
 まず、9月をめどということは、直接選挙は意識しておりませんが、ただ、当然選挙になりますから、そのときには私たちの考えとしてそれを当然ぶつけていくことになろうかと思いますし、他の野党、他の会派ともたぶん整合性がとれるところもあると思います。
 私たちはやはりどんな社会を目指すのかということを、このコロナを経てしっかりと新しい考え方をまとめて、それを国民にお示しする責任があると思います。先ほど申し上げたように、我々の掲げた政策というのは10年前、15年前くらいの政策がもともとベースになっていますから、これは自分たち自身もアップデートしていかなければいけないという観点から、綱領とか、場合によっては基本政策も見直すつもりで、それを前提に抜本的な議論を開始したいと思っております。
 どういう組織にするかは今のところは未定ですが、先ほど申し上げたように、こういったものを推進するために党内人事も国会が終われば行いたいと思っていますので、その中で具体的に考えていきたいと思います。  拉致についてですが、まず、横田滋さんが亡くなられたことに対しては本当にお悔やみを申し上げたいと思います。本当に、まだ拉致がそんなものはないと言われていたような時代から本当にご苦労されて、夫婦で二人三脚でやってこられた。そのご苦労たるや、もう我々が想像できないものがあったと思います。その意味では、横田滋さんの遺志をしっかりと我々一人ひとりが受け継ぐとともに、これまでそういった成果を出せなかったことは、もちろん今は安倍政権が政権を握っていますが、我々も一時期与党にいたということも含めて、やはり与野党の議員が責任をしっかりと自覚をして、拉致被害者の、拉致問題の解決に全力を傾けていかなければならないと思います。
 その意味では、安倍総理にぜひ成果を出していただきたい。そのことについては我々としても全面的に応援をしたい、サポートしたいと思いますが、やはり対話がなければ具体的な交渉というのは進まないので、圧力と対話の組み合わせが大事ですが、しっかりと具体的なチャンネルをしっかりとつくり上げることが、今、一番大切ではないか。果たして、北京の大使館経由で抗議をしたとかいうことが多いのですが、我がほうの幹部と先方の幹部で率直に話し合える人的なパイプがどれだけできているのかということは我々にはわかりませんから、その辺はしっかりと政府が責任を持って進めていってもらいたいと思いますし、我々もそこはサポートしたい。とにかく今は対話の窓口、パイプをしっかりとつくり上げること、これが最優先だと思います。

○東京都知事選について(1)

【フリーランス・堀田記者】
 都知事選で、玉木さんは誰を支持するのですか。それから、小池百合子はカイロ大学を出ているという証拠はない。

【代表】
 まず、党としては自主投票を決めたので、私として誰を応援するということは、まさに自主投票。党の代表ですから、私が誰を応援するというよりも、自主投票というのが党としての決定です。
 小池知事の学歴、卒業、いわゆる疑惑のことについては、私は実際どうなのかということについては調査もしていませんし、ちょっとコメントする立場にはないのですが、ただ、間もなく選挙が始まりますから、しっかりご本人が説明責任を果たしていくべき案件だと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 国会において、新間正次さん、古賀潤一郎さんという人が学歴詐欺でやめている。ところが小池さんは、この決定的なことを全然、いつもはぐらかしているが、そういった人が都知事選に出ることをどう思われるか。

【代表】
 それはもう繰り返しになりますが、しっかりと説明責任を果たしていただく必要があると思いますし、次の選挙にもし出られるのであれば、選挙公報に自分の学歴なりを書くところがたぶんあると思いますから、そこにもどうお書きになるのかなというのは有権者の皆さんもよく見ていただければと思います。

○党役員人事について(1)

【朝日新聞・山下記者】
 先ほど代表は党人事について言及されたが、現時点での狙いや構想をどう考えておられるか伺いたい。

【代表】
 先ほど申し上げたような、コロナがあって、いろいろ我々自身も政策も含めて変わっていかなければいけないという中で、そういったアフターコロナ・ウィズコロナの時代をしっかりと歩んでいけるような体制にしていきたいと思います。もちろん選挙が、衆議院選挙がそう遠くないうちにあるだろうということをもちろん念頭に置きますし、あと、我々は党として女性活躍ということを言ってきましたが、今、現に執行部は女性がゼロなので、やはりそういったジェンダーバランスといったことも考えた体制をぜひつくっていきたいと思っております。具体的な構想はまだ全く未定です。

○拉致問題について(2)

【フリーランス・安積記者】
 北朝鮮問題について伺いたい。横田さんが亡くなられたことは、ちょっとフェーズが変わったような感じがする。日本政府はもっと、これ以上家族の方が亡くなられる前に一人でも多く会わせてあげたいという気持ちでやっていかないといけないと思うが、一番大きな要素はアメリカだと思う。トランプ大統領が、北朝鮮について自分がまずやって、日本はその後だというところで、日本が独自の動き方をするとちょっとくぎを刺していたところがあった。北村さんが東南アジアで向こうと接触するとアメリカから注意というかしかり飛ばしが来たというような報道があった。次の大統領選だが、トランプさんが続投するとなると今の路線は変わらないと思うが、バイデンさんになった場合、日本として、政府という枠ではなくもっと大きく、日本としてはどういうふうに北朝鮮に向かい合うべきであるとお考えか。

【代表】
 私は、もちろんアメリカは重要なプレーヤーだし、我が国の同盟国ですから、アメリカの圧力、アメリカの影響ということは、もちろん北朝鮮問題の解決、拉致問題の解決には重要だと思いますが、ただ、拉致問題に関してはやはり我が国と北朝鮮の問題ですから、きちんと2国間の関係をやはり築いていかなければならないと思います。
 加えて、その接触機会、ルートが本当にあるのかないのかということについては、かつてのミスターXのような人、そういう人が本当にいるのかどうか。なかなか、今、厳しい状況になっているのではないのかと思いますので、例えば北朝鮮・平壌(ピョンヤン)に連絡事務所を設けるとか、そういった会話の糸口を持つということは日本としてやるべきだと思います。
 もちろん核の問題、ミサイルの問題、これはほかの問題もありますから、何か融和的な誤ったメッセージを与えることになってはいけないのですが、ただ、拉致問題は、これはアメリカというよりもむしろ日本と北朝鮮の問題ですから、ここは日本政府が責任を持って対話の窓口をつくっていく、その一つの方策として平壌に連絡事務所を設ける。ここまである程度踏み込んで次の展開をやらないと、もう被害者の家族の皆さんも高齢化していますので、いち早く何らかの成果をという声が本当に率直な声だと思いますので、具体的なアクションを起こす必要があると思いますし、そういった連絡体制を強化していくということであれば我々としてもしっかり応援をしていきたいと思います。南北間の連絡がむしろ途絶える形になってきているので、その意味では非常に心配をしていますし、だからこそ日本は独自に北朝鮮との対話のルートをしっかりと確保していくことが大事だと思います。

○「党役員人事」「野党連携」について

【フリーランス・宮崎記者】
 人事に関して、これは幹事長や政調会長も含めた全般的な人事になるのか。国会閉会後とおっしゃったが、来週の水曜日あたりということもあるのか。それと、9月までの協議会について、聞いているとちょっと長くなりそうな夏休みの間に、立憲民主党、さらには社会民主党との、そういった2党、3党での合併の協議、合併するかどうかではなくて協議そのものには入らないのかなと思うが、いかがでしょうか。

【代表】
 規模等についてはこれから考えますが、ただ、現体制になって相当もう時間もたっていますので、その意味ではある程度の規模のものにはなるかなと考えております。
 合流協議についてでありますが、これもやはり年末年始、一度盛り上がりましたが、結局、力合わせの大義をなかなか見出し得なかったということで、合流の推進力をなかなか保てなかったという面もありますので、どのような形で合流になるのか、合流せずに連携するのか、いろいろな、いずれにしても連携強化をしていかないと、選挙に向けては大切だと思いますが、そのためにも、やはりどういう政策を実現するんだ、どういう国を目指すんだということで一致しないと、結局選挙目的の数合わせという批判は免れないので、その意味でもしっかり、我々はまず、しかもコロナがあったわけですから、コロナの前と同じことを言っていても仕方がありませんから、アフターコロナ、コロナ後の世界をしっかりリードしていけるような理念・政策をお示ししていきたいと思います。

【読売新聞・天野記者】
 国民民主党の前原さんが維新の会と地方分権に関する勉強会を立ち上げることになった。代表の受けとめを伺いたいのと、今回のコロナの対応をめぐっては国民民主党の議員、代表も含めて、維新の議員の方と連携する場面もあったと思うが、代表は維新との連携をどういうふうに考えているのか。もし前向きな場合は、例えば国会の対応にとどまるのか、あるいは選挙協力までを含めて連携を深めるべきだとお考えなのか、そのあたりについて代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 もちろん維新さんも、今の自公政権と戦うというポジションであれば、ぜひ協力はしたいと思います。小選挙区制度ですから、野党が複数出てしまうと勝てないという現実もありますから、連携のウイングは広く持つべきだと思います。ただ、やはり政策・理念ということが一致しないと連携の度合いも決まりませんから、まず我々として自分たちはどういう社会や国家を目指すのかということの再整理を、このコロナを踏まえてやっていきたいと思いますので、まずは自分たち自身がどういう考えで改めて結集するのか、そこをしっかりと整理をした上で他党との連携も考えていきたいと思います。

【読売新聞・天野記者】
 前原さんの勉強会の受けとめを伺いたい。

【代表】
 前原さんの勉強会の受けとめね。勉強はしっかりされたらいいのではないですかね。先ほども言いましたが、やはり東京一極集中の見直しはしたほうがいいので、特に分権のありようとかはしっかり議論したらいいと思いますし、そこは私も賛成ですので、やったらいいと思います。政局的な動きでいろいろ報道もされているみたいですが、そういう話は今のところ聞いていないので、ぜひポストコロナ・アフターコロナの議論をする中でもやはり分権の話はすべきだと思うし、いい議論が深まることを期待しています。

○アフターコロナの国家像・社会像について(2)

【「FACTA」・宮嶋記者】
 きょうあったお話は、綱領とか、アフターコロナ・ウィズコロナの世界ということだが、これはやはり提案型の玉木ビジョンというのが新たに出てくるというふうに見ていいのか。そういう政策、政権構想、そういうものなのか。
 もう一点は、ソフトバンクが4万4000という抗体検査をやって陽性率0.5%を出してきた。私はこういうのは本当に評価すべきだと思う。先ほどおっしゃったアフターコロナ・ウィズコロナといっても、日本の場合は市中感染の実態について政府が全くやろうとしないわけで、そういう中で第2派が来たら、抗体があるかどうか、抗体検査の精度はもちろんばらばらだが、要するに政府はクラスターしかやっていない。盛り場が危ないというのは、盛り場はゾーンの話だが、ホストクラブは業種・業態だ。その辺のことを政府がちゃんとやらないと、盛り場が危ないというと盛り場が全部死んでしまうから、本当に実態検査していないという問題が改めて浮かび上がったのではないか。やればできるわけですよね。その2点を伺いたい。

【代表】
 前段については、ぜひ、本当にこれからの時代を切り開いていけるような新しい政策体系や理念をまとめていきたいと思います。我々政治も、国会というのは一番古いところだと言われますが、世の中これだけ変化して、働き方とか、所得のあり方とか、そういったものも含めて非常に変わってくるので、それに対応するように、我々の政策も、そして我々自身も変わらなければいけない。そういう強い思いを持って取りまとめをしていきたいと思います。
 そして検査体制ですが、私はソフトバンクがやったことは非常に意義があると思います。これからのアフターコロナの社会というのは感染症とともに生きなければいけないウィズコロナの時代でもあるので、まずはどこでどのような感染が広がるのか、きょうもちょっと質問しましたが、そのトレーシングしていく、追跡していくということはある程度個人の位置情報がわかってしまうということなのですが、個人情報等を外して人の位置情報だけをきちんと利用してリアルタイムで対策を打っていくということなので、このデータに関する取り扱いについての基本的な社会合意をもう一度つくり上げないと効率的なウィズコロナの時代というのはできないだろうと思いますので、しっかりと検査体制の充実を含めた広い意味での社会インフラ整備ということもアフターコロナの時代には不可欠だと思いますし、そういうことを議論していきたいと思います。

○国会対応について

【共同通信・中田記者】
 先ほどの質問で、補正予算に関しては賛成されたわけだが、内閣不信任案の提出についてどのようにお考えかということを伺いたい。

【代表】
 ここはまず国対も含めてこれからよく議論をしていかなければいけないところだと思いますが、ただ、補正予算には賛成しましたが、これは苦渋の決断であって、この予算だけではなくて、黒川氏の問題であるとか、「桜を見る会」の問題であるとか、保存すべきあるいは作成すべき行政文書を正しく取り扱っていなかったりとか、さまざま信任に値しないと思われる政権運営はありますので、何らかの形での意思表示は我々としてやはりしていかないといけないと思っていますが、まだその対応については決めておりませんし、当然幹事長や国対委員長の間でさまざまな議論が行われていると思いますので、それを踏まえて党としても判断をしていきたいと思っております。

○投票率向上に関する署名運動について

【共同通信・中田記者】
 中村喜四郎衆議院議員が投票率を上げる署名運動というのを始めると報じられている。本部長が枝野幸男代表と言われているが、代表や幹事長がこの運動に参加するかどうか伺いたい。

【代表】
 私は、この署名活動をするという話は聞いていないので、党として何か参加するようなことはありません。あくまでそれぞれの賛同者がやっている話なのかなと思いますが、ただ、その署名を集めるというよりも、今、党員・サポーターを集めているので、我が党所属の議員においては、ぜひ党員・サポーターをしっかり集めてもらいたいと思います。そうしないと自民党の大量の党員に勝てないと思いますから、まず党員・サポーターをしっかり集めてもらいたいと思います。

○マイナンバーの活用について

【時事通信・近藤記者】
 マイナンバーについての質問だが、高市総務大臣がマイナンバー、これまで将来的には全口座の紐づけと言っていたのを、1口座の紐づけ義務づけという形で来年の通常国会提出を目指す考えを表明した。この法案について、国民民主党は割と乗れるような感じで議論しているのではないかと思うが、どう対応していくか伺いたい。

【代表】
 まず、先般、党内にワーキングチームをつくって古川座長のもとで精力的に議論を行っていますが、今、自民党・公明党・日本維新の会が議法で出してきているものについてはあくまで任意ということなので、これ悪くはないのですが、あまり効果が上がらないなと。結局、したい人だけするので、プッシュ型の支援がなかなかしづらいということがあります。
 今回高市大臣が出されたと思われる案については、全ての口座を義務化するという、前に法律が通ったときに附則でも書いてあって、2021年、来年からやろうという話だったものとの中間案みたいなものだと思うのです。義務づけをするけれども一つの口座だけというのは、私は一つの案だと思います。特に、給付の口座専用としてこういったものを設けておけばプッシュ型の支援ができます。ただ、やはりそれについて不信を感じる、あるいは、今の政府のような情報管理だと心配だと、こういうこともありますから、だから私は、一つの口座を義務づける、そのかわり違反に対して罰則は設けないということで、事実上義務づけするけれどもそれから外れる権利も留保しておくというのが現実的な落としどころかなと思います。ただ、高市大臣の考え方はまだ直接聞いていませんし、法案の形にもまだなっていませんので、とにかくまずそれをよく見て判断したいとは思います。悪くはないと思いますが、罰則は外したほうがいいのではないかと思います。

○野党連携について(2)

【フリーランス・宮崎記者】
 れいわ新選組との協力はあり得るのか。それと、消費税10%とプライマリーバランスにこだわっている限りは立憲民主党とは組めないとお考えか。いかがでしょうか。

【代表】
 まず、これから誰と組むかということにおいても、これからまとめていくアフターコロナ・ウィズコロナの我々のこの政策体系と合致するかどうかということがまず大きいと思います。予断をもって言うことは避けたいのですが、ただ、先ほど少し申し上げたように、前のままのプライマリーバランス堅持ということで本当に今の日本経済の窮状が救えるのかということについては、私、個人的にはもう少し財政拡張型でいかなければいけませんし、短期的にはやはり財政赤字が悪化するような形もやむを得ないのかなと思います。ですから、そういうことも含めて、新しい憲法論と経済政策と、この二つは避けることとなく議論をしていかなければいけないと思いますが、そこで経済政策として取りまとめを、考え方をしっかりまとめていきたいと思いますし、ぜひそういう新しい経済政策で野党が、維新さんを含めて結集できれば相当なパワーになるのではないかと思っています。

○東京都知事選について(2)

【フリーランス・堀田記者】
 18日に、国会が閉じ、それからは曲がりなりにも都知事選に移っていく。宇都宮さんを推している立憲・社民・共産などはのぼりを持って行くと思うが、そうするとそこでマスコミに映るが、玉木さんのところは自主投票だからそういったことはない。そのほかに政策的なことはないから、この間において国民民主党をアピールするのはどうしたらいいか。

【代表】
 我が党は東京においては国会議員も、ある種、選挙区を持った国会議員がいないのですね。全国比例の先生方で東京を担当されている方はいらっしゃいますが、その意味ではなかなか、もともと基盤が弱くて足がかりがないというのが実態ですが、ただ、何とかこの選挙を通じて、やはり選挙をしないと組織は強くならないので、何とか我々の力を発揮できるような形での運動を展開していきたいと思っていますが、現時点においてはちょっとまだ検討中です。

【フリーランス・堀田記者】
 調布・狛江の北多摩3区、あそこに(都議)補選の候補者は立てるか。

【代表】
 今のところ未定ですが、選対のほうで鋭意検討していると思います。

【NHK・米津記者】
 改めて、都知事選で自主投票と党として決めたこと、特定の候補者への支援を決められなかったこと、ほかの野党、立憲・社民・共産は宇都宮さんを支援する方針だが、もともと目指していた野党共闘が実現しなかったことについての受けとめと、自主投票となった中でどのように選挙を、首都・東京の選挙になるので、どのように臨んでいくお考えか伺いたい。

【代表】
 本来であれば野党統一候補を目指すということだったのですが、東京では地盤のある立憲民主党さんが誰か見つけてきて、それで行こうということになれば我々としても協力する用意はあったのですが、立憲民主党さんが独自に立てないということなので今のような感じになったというのが、実態があります。
 どのように応援するかなのですが、東京都連がまずどのような判断をするのか。やはり足場の足場ですから、そこをやはりしっかり固めて、我々にも説明をしてもらいたいと思っています。