玉木雄一郎代表記者会見

2020年7月29日(水)14時19分~14時46分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/VG_zBWWbib4


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○憲法53条に基づく臨時国会召集の求めについて

【代表】
 まず、臨時国会の召集についてであります。
 先週から始まった「Go To トラベル」も、多くの国民の理解を得られていないにもかかわらず、安倍総理は全くこれを説明していません。通常であれば所管大臣の説明で済ますということなのかもしれませんが、これだけ混乱して国民に不安や疑問が渦巻く状態になっていますので、やはりリーダーである総理はしっかりと説明をしてもらわなければなりません。
 特に、この第2波ともう言ってもいいぐらいの感染拡大が広がっていく中で、これから一体どうやってこれをおさめていくのかという国家の戦略と方針が全く見ません。やはりここはリーダーとして国会に出てきて、これをどうやっておさめていくのかと。「緊急事態宣言」も出せない出さない、検査体制の拡充もしないできないということであれば、これをとめる手立てが今ないと思います。ここは本当に多くの国民が心配していますので、ぜひ総理にはご出席をいただいてしっかりと語っていただきたいと思いますので、憲法53条に基づく臨時国会の召集要求を各党合わせて衆議院議長に提出したいと思います。
 詳細は国対レベルで調整をしてもらいたいと思いますが、4分の1を集めて憲法に基づく要求をしたいと思いますので、ぜひとも早急に臨時国会を開催してもらいたいと思っております。前回のように、期限の定めがないからそれを無視し続けるということは、この(新型)コロナの状況にあってはあり得ないと思いますので、ぜひ総理には国会に出てきていただきたい。臨時国会を開催していただきたいと思います。
 我々としても、やはり今の状況に対応するためには検査体制の拡充が必要だと思います。一方で、検査をふやすと医療崩壊につながるという懸念もありますので、であれば、現在の感染症法に基づく指定感染症になっていることについて、果たして今のままでいいのか。つまり、原則陽性者を全員病院に入れなければいけない。既に3月の厚労省の通達で事実上これがもう崩れているわけですが、法律的には陽性者は全員病院に入るということになっていますから、検査数をふやしていくと当然陽性者がふえていって、全員病院に入れるとなると当然医療崩壊が起こる。このことがある意味検査が拡大できない一つの理由になっていると思いますので、ここは我々現実的に、戦略的な検査を進めていく上ではそういった受け皿のあり方とか、あるいは原則入院しなければいけないといった法律的なあり方自身も含めて検討・見直しをしていかなければいけないと思います。あるいは、従来から申し上げている休業要請をする場合には法的根拠に基づく休業補償ということも実効性を担保するためには必要ですので、感染症法の改正、特措法の改正、そして災害対策も含めたコロナ対策も含めた第3次補正予算の編成、こういったことも臨時国会を開けば、議論をしっかりとしていかなければならないと思いますので、改めて臨時国会の開催を求めたいと思います。

○豪雨災害 人的支援における事前PCR検査について

【代表】
 次に、豪雨災害についてでありますが、けさも最上川が氾濫するなど、大変な被害が発生しております。改めて被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思いますし、引き続き大雨の地域においては警戒を強めていただきたいと思っております。
 これに関しても、きょう我が党のコロナ対策本部で、自治体の職員を応援に被災地に送る場合にPCR検査を事前にきちんとしてから行くようにしないと受け入れる側も非常に不安になるということで、熊本県などは各都道府県等に対してPCR検査を受けてきてほしいということを発出したようですが、これは国が統一的な基準を出してやるべきだと思いますので、そうした応援に行く自治体職員がPCR検査を事前にどういう場合は受けなければいけないのか、こういったことについての国としての統一的なガイドラインを出すことを改めて求めていきたいと思っております。

○新型肺炎 感染拡大防止の取り組みについて

【代表】
 それと、検査体制の充実に関して言うと、先ほど申し上げたように、検査を充実させていかなければならないと思っています。我が党所属の議員や職員・秘書さんも当然感染の可能性はあるわけですから、我々は職業柄、多くの人に接する仕事でもあるので、我々自身の検査をどういうふうにやっていくのかということについて今議論をしておりまして、やはりきちんと国全体として、国民全体として検査体制を拡充していかなければなりませんが、日立製作所のように社内で社員にPCR検査を受けるような環境を整えるということをやっていますので、我が党としても党所属の議員などについてはPCR検査を受けるようにできないかどうか。そういったことについて統一的にそれこそ方針を決めていったほうがいいのではないかということを議論して方針を出していきたいと思っています。
 あわせて、COCOAという接触(確認)アプリがありますが、我が党の議員でも入れていない人がいますから、そういったこともしっかり徹底していきたい。党を挙げて率先して「検査・隔離・追跡体制の強化が大事なんだ」ということを何らかの形で示してまいりたいと思っております。


■質疑

○新型肺炎 感染拡大防止体制拡充の必要性について

【NHK・米津記者】
 感染症法の改正について、厚労省の通達で事実上自宅療養などができるという状況の中で、それでも検査拡充につながらない原因の分析というか代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 政府としては3万件ぐらいの体制にするといってやってきていますが、実際に毎日検査が行われている検査件数というのはそれに達していないと思います。例えばドイツなどでは18万件を1日にやれる体制ができているし、中国やアメリカでも桁違いの検査数が行われているわけです。日本で何でできないのかと。私はむやみにふやせという立場ではありませんが、ただ、検査したい人が受けられないとか、あるいは最近で多いのは、取引先からそういった陰性証明のようなことを求められることもかなり多くなってきていますので、こういったことに対応していくことが経済を同時に回していくためには必要だと思うのです。
 やはり経済を回していくためには幾つか、我々が申し上げているような追加の現金給付をやるとか消費税減税をするということも大事なのですが、一方で、経済が正常に戻っていかないと本当の意味での回復はしないので、経済と両立を図るための有効な手段の一つは検査・隔離・追跡体制を徹底的に強化することではないかと思います。行政検査のカテゴリーの中でやるとどうしても限界があるので、行政検査とは別に、医師や保健所の診断あるいはスクリーニングということを受けなければならないという前提になっていますが、逆にそれは行政検査であれば全額補助になるのですが、そうではないルートで検査が受けられる、そのかわりその場合は非常に高額になるので、そういったところに対する公的な助成ができないか。
 こういったことも含めて、法律上の問題、そして予算上の問題、あわせて整理をして解決策を我々として具体的に提案していきたいし、そういったことを推進する意味でも我が党内でも検査を進めていくようなことをできればということで今検討しております。

【NHK・米津記者】
 感染症法の改正が必要な理由については。

【代表】
 そもそも指定感染症ということの位置づけ、それから二類の位置づけになっていますが、例えばインフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)だと五類だったと思いますが、それは必ずしも全員入院する必要はないというカテゴリーになっています。ただ、ワクチンが開発されていないという段階の疾病なので2類から外すのはどうかという議論もあると思うので、あるいは、もともと新感染症に指定したほうがいいのではないかということを我々は申し上げてきましたが、新たな、今回の無症状者からたくさん広げてしまうという新型コロナに特有の新たな類型を一つむしろ設けて、現実に即した検査や診断や入院体制がとれるような、そういうカテゴリーが必要なのではないかと思っています。
 もっと言うと、本来なら法律を改正してやるべきことを改正せずにやったり、あるいはほかの法律を持ってきて風営法に基づいて立ち入りをしたりとか、何かそういう法治国家とは思えないような振る舞いがそもそも行われている。最初はしようがなかったと思うのですよ、未知のウイルスで1月・2月・3月の段階は。もうあれから数ヵ月たっていて、いまだに法的根拠に基づかず無理していろいろなことをやっているというのは法治国家としていかがなものかと思いますので、コロナ対策はきちんと法律的な根拠に基づいて行うべきだということで、感染症法の改正も含めて検討すべきだという立場です。

○立憲民主党との政党間協議について(1)

【NHK・米津記者】
 きょうの幹事長会談で、あすにも幹事長と政策責任者の4者で合流した場合の新党の綱領と規約の検討を始めるということだが、期待感も含めた代表の所見を伺いたい。

【代表】
 これは年末年始もそうだったのですが、合流した場合のことについてはいろいろ幹事長間で話し合ったりして合意を見るのですが、大事なのは、合流するかどうかを決める根幹のところの条件について折り合うことが大事で、今、その一番の対象となっているのが党名の問題です。政策については、こちらから申し入れたとおり消費税を含む税制の扱いや憲法の問題についてはしっかり議論を今から進めてもらったらいいと思いますが、ただ、合流するかどうかの根っこのところが決まらないとそういった協議も水泡に帰してしまうので、やはりしっかりと、文書でも回答していますが、党名についてどうするのかということについての結論を得ることが最優先だと思います。ですから、いろいろな議論を並行してやっていくことは否定しませんが、党名の議論については早急に解決を得るべきだと思います。するにしてもしないにしても、だらだら引きずるものでもないと思っています。

【読売新聞・天野記者】
 党名に関して確認させていただきたい。きのう連合とのコロナの会議の後のぶら下がりで代表と幹事長で意見の食い違いがあったと思う。代表が投票ということをおっしゃったのに対して、幹事長はそれは一般論なんだと。改めて確認をさせていただきたいが、両院議員懇談会を経て決まった民主的な手続に関しての党のコンセンサスというのはどのようなものなのか。

【代表】
 きょう役員会でもその話が出ましたが、やはり民主的な手続というのは自然に考えれば無記名投票ということですね。少なくとも私の知恵ではほかの方法が頭に浮かびません。ただ、それだとなかなか難しいので、何かいい知恵がないかということで双方の幹事長が脳みそに汗をかいているというのが現状ではないかと認識しています。

○憲法53条に基づく臨時国会召集の求めについて

【「FACTA」・宮嶋記者】
 ぜひ臨時国会をやってほしいと国民は思っていると思うが、すぐに応じるとも思えないが、応じたら解散と言われてしまう可能性もあるのではないか。相手が弱ければ安倍さんは常にそれをやってきた。臨時国会を求めるのはいいが、国会がそういうふうに解散されたときに野党はどういうふうになるんだということについて立憲と国民はコンセンサスがあるのか。

【代表】
 そういうことも含めて判断をすべきことですから、代表間で集まって話をすることも含めて、53条に基づく、やはり憲法に基づく要求は重いと思いますから、そこはしっかりと腹合わせをして要請をしたいと思います。

【フリーランス・安積記者】
 臨時国会の召集について伺いたい。前回、憲法に期限が明記されていないことを理由にそのままずるずると行ってしまったという経緯をおっしゃったが、今回は前回とどういう点がバックグラウンドとして違うのか。今回、例えばずっと総理の会見をやっていないとか表に出ないという批判が随分出ているわけだが、そういう点をどういうふうに開会に持っていくのか。戦略があれば教えてください。

【代表】
 まず前回と違うのは、やはりコロナの真っただ中にいるということです。戦略がないと先ほど申し上げましたが、どうやってこの感染者の増加をおさめるかという戦略と方針が全く見えないわけですね。このままいくと日本経済は相当危機的な状況になると思っています。「新しい生活様式」とか、例えば5人以上は一緒に食事しませんとか、東京からは旅行に行くなとか、わかったようでわからないような曖昧な基準で経済活動をとめることは最悪だと思うのです。とめるならとめるで法的根拠に基づいて明確な基準のもとにやらないと、予測可能性が極めて低い社会になってしまっていて、これでは「半自粛」政策がずっと続くことになって経済はがたがたになると思います。
 だから、そういうことについて法律を変えずに何かほかの法律を使ってごまかしごまかしやるようなことはもうやめて、きちんと、例えば特措法を改正してこういうことをきちんとできるようにします、あるいはこういう補償がありますとか、こういう権限を知事にちゃんと渡しますとか、そういうことを示さないで何かごまかしてごまかして何とか逃げ切ろうみたいなことでは、もう限界を超えていますよ。
 やる政策やる政策、言われたら変更して修正して、また布マスクを配るとか、多くの国民が「大丈夫なの」と、今、厳しく政府を見ていますから、やはり総理は国会にリーダーとして出てきて、どういう意図でどういう趣旨でそういう政策をしているんだということをリーダーとして語らないと、本当に日本は大変なことになってしまうと思います。だから、憲法に基づいて要求したら、今回は受けるべきです。それは、国民がじっと見ていますから。
 本当にここは別に何か批判をするために国会を開いてもらいたいのではなくて、積極的な提案もしたいですから、この難局を与野党を超えて乗り越えていきましょうという臨時国会をぜひ開きたいと思います。

○立憲民主党との政党間協議について(2)

【毎日新聞・樋口記者】
 先ほどの党名に関する代表のお答えで確認だが、代表の知恵では無記名投票ということしか頭に浮かばないと。ただ、それだと難しいというふうにおっしゃったのは、これは代表の認識としてか。

【代表】
 先方が難しいと言っていることを平野幹事長から聞いています。

【毎日新聞・樋口記者】
 幹事長同志が脳みそに汗をかいて、もし知恵が浮かべば、玉木代表が思い浮かんでいる以外でものみ込むことができる、納得することができるのか。

【代表】
 もともと3条件を決めて年末年始からずっと交渉してきました。衆参一体、対等な立場、参議院の信頼醸成ということを言ってきましたので、年末年始もそうだったのですが、その対等性をはかる重要な要素の一つが当時から党名だったことは皆さんも覚えていらっしゃると思います。
 ですから、ここがいかに対等性を持って、対等性というのはつまり両者の納得感が得られるという方法です。それを持って決まるかどうかがポイントなので、我々としてはこれ「国民民主党」にしてくれなんて一言も言っていなくて、あるいは特定の党名を名指ししてこれとこれの間で選んでくれとも言っていなくて、単に我々が言っているのは、民主的な手続である投票で決めてほしいと。両党解党して新党ができるのだったら、そのトップである代表と、そしてその新しい党の党名は、もう恨みっこなしの投票でやりましょうと、出た結論についてはちゃんと受け入れますよということを提案しているだけであって、何か無理な提案をこちらから申し上げているつもりはないし、我々が守ってきた3条件をぎりぎり満たす形の最大限のある意味譲歩というか、我々として双方納得できるのではないかと。
 潰すつもりで提案しているわけではないですから、投票で決めたらどうですかということで3条件をぎりぎり満たしながら我々として考えたものを紙で回答させていただいたのが7月22日という理解です。

【時事通信・近藤記者】
 合流の関連で、あすにも始まる幹事長・政調会長の綱領の協議の中で、これまで代表が一致を見るべきだとおっしゃってきた憲法と消費税を含む経済政策の議論も一致することが必要と考えるか伺いたい。

【代表】
 協議があしたから始まるということですが、繰り返しになりますが、当然一つの党になるということであれば政策の一致は不可欠です。それなくスタートしても、また後でもめて分かれるみたいなことになっては有権者の期待に応えることができない、国民の期待に応えることができませんから。細かな一つ一つの政策についてまでスタート時に一致させる必要はないと思いますが、やはり大きな、消費税を含む税制などの景気・経済対策や、憲法についての基本的な立ち位置、考え方というものは、国家の基本法ですから、やはり一致してスタートするのが当然だと思っています。
 これも以前申し上げたとおり、私が申し上げたことが100%そのとおりになるとは、例えば(消費税)10%を5%に1年間というものは我々の決定している内容はかなり明確なのでそこは我々としての主張はしますが、1年ではなくて1年半とか半年にしたほうがいいとか、いろいろ話はそれはあるでしょう。だから、最終的にどういう形で合意するかについては予断をもって申し上げることはしませんが、ただ、繰り返しになりますが、消費税を含む税制など景気・経済対策や憲法についての考え方については、新しい政党を始めるのであれば一致をさせておかないと、国民から見て一体何をする政党かわからないので、やはりそれは国民に対するある種の説明責任を果たしていくという意味で最低限のすり合わせと一致は不可欠だと思っています。

○「ワーケーション推進」政府方針について

【時事通信・近藤記者】
 政府が推進しようとしているワーケーケーション、休暇を兼ねてリゾート地などで仕事を行うというワーケーション推進の方針だが、これについて代表のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 ワーケーションについてですが、趣旨はわかるのですが、何か随分優雅な話だなというふうに聞こえます。もちろんバケーションをしながらワークできるという、そういうのができたらいいですが、それができる仕事の形態とか所得階層の人ってどういう人なんでしょうね。何か随分目線が高い気がします。
 そうではなくて、本当にエッセンシャルワーカーで、例えば介護の現場にしても、介護ってバケーションしながらできますか。あるいは、清掃業に携わっている方、医師・看護師の方、いろいろな特に対人の仕事をされている方。これは今一番感染のリスクがむしろ高い形で仕事をされているわけですから、ワーケーション、はなから否定はしませんが、今むしろやるべきは、本当にいろいろな職種の人が安心して経済を回していけるために検査・隔離・追跡体制を拡充することと、それが拡充すればピンポイントでどこに感染源があるかわかりますから、ある程度地域や業種を限定した自粛要請と、その実効性を担保するための法的根拠のある休業補償、こういったものを法律の改正も含めて整えることが重要であって、菅長官も休業補償については言及されていますが、今回のコロナがおさまった後とおっしゃっていますが、違うんですよ、今やらなければいけないんです。今でしょ、それは。それを横に置いておいてワーケーションというのは少し的が外れているのではないかと思います。