衆院本会議で25日、「厚生労働大臣加藤勝信君不信任決議案」の採決が行われ、与党等の賛成多数で否決された。採決に先立ち、国民民主党・無所属クラブの大西健介議員が賛成の立場で討論を行った。
大西議員は冒頭、「人の命がかかった法案を与党が数の力で十分な審議を尽くさないまま採決しようとしていることに、満身の怒りを込めて抗議する」と訴え、全国過労死を考える家族の会の寺西代表らが官邸前に座り込みまでして、働き方改革法案の採決までに安倍総理に直接会って話を聞いて欲しいと面会を申し入れたが、これを拒み続けた冷酷な態度には心から失望したと語った。
今国会を「働き方改革国会」と位置づけ、「労働基準法の歴史的な大改革」と言いながら、提出法案は8本もの法案を束ねたものであり、質疑時間も衆院での対政府質疑はわずか30時間程に過ぎず、うち4時間37分はいわゆる「空まわし」で、審議が尽くされたとは到底言えない状況も問題視した。また、「現在の安倍内閣の下では、働く人の命と健康がかかった重要な法案の議論を行う土台が崩れている」として、「昨年1月20日まで加計学園の獣医学部新設の計画を一切知らなかった」という総理の国会答弁が虚偽だった疑いが出てきたことにふれ、「そのような内閣の下では、どんなに重要な答弁も空疎だ」と語った。
そのうえで(1)加藤大臣は、家族の会や労働組合をはじめ多くの反対の声を無視して、過労死防止とは真逆の高度プロフェッショナル制度を抱き合わせで提案したこと(2)厚労省が、比べてはいけないデータを比較して、裁量労働制の方が一般の労働者より労働時間が短いという印象操作を行っていたこと(3)野村不動産営業職の裁量労働制のもとでの過労死の事実を知りながら、国会を欺く答弁をしていたこと(4)加藤大臣が働く人の命と健康に関わる質疑で悪質な「論点ずらし」の答弁を繰り返したこと(5)加藤大臣の下で東京労働局長が「何なら皆さんの会社に行って是正勧告してもいい」と報道機関に圧力をかける発言があったこと――などと加藤厚生労働大臣の不信任の理由を列挙。「潔く身を引かれることを進言する」として賛成討論を締めくくった。