泉健太国会対策委員長は12日午前、定例記者会見を国会内で開いた。

大阪北部地震とブロック塀対策について

 冒頭、大阪北部地震(18日の朝発生した、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震)について触れ、自身の選挙区も地震の大きな被害を受けた状況を報告した。また「大阪で数人が亡くなられた。特に通学途中の9歳の女の子が倒れてきたブロック塀の下敷きになり亡くなられたというのは、大変痛ましい事故だ。心からお悔やみ申し上げたい」と述べた。さらにこの件に関し、ブロック塀の防災対策について触れ「昨日、官房長官が『小中学校のブロック塀の安全点検』という言い方をされたが、この『小中学校の』というのは、最低限の水準だと思う。むしろ『通学路の』というふうにしていただくべきかな、と。私も昨日、ストリート・ビュー(Google社の提供する地図の視覚化サービス)で、地元の小学校の周辺のブロック塀をしらみつぶしに調べてみた。小中学校のみならず、うちの地元でいうとJRA競馬場のブロック塀の横を子供たちが通っているケースだとか、さまざまある。そういう他の施設のブロック塀の横を子供たちが通学しているケースがあれば、これは同様に危険であろう、と。また民間についてもやはり、通学路の安全点検を求めて行きたい」との抱負を語った。国民民主党としても「大阪府北部地震対策情報連絡室」を設置し、平野博文総務会長を先頭に、さらに情報収集しながら「特に水道とガスの早期復旧、家に帰って生活ができる環境を早期に作れるよう、関係機関に働きかけをしたい」と被害復旧に積極的にかかわっていく意向であることを表明した。

国会対応・会期延長について

 「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案(IR法案)については、わが党は反対で、源馬謙太郎議員が反対討論を行う予定。しかしその他の5法案(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律整備法案、民法及び家事事件手続法一部改正案、法務局における遺言書の保管等に関する法律案、健康増進法改正案、公職選挙法改正案)については賛成の立場だ」と午後の本会議の対応について説明した。

 20日が会期末で、与党が会期延長の申し入れを同日に行うということについては「われわれとしても今日はこのことで国対委員長として延長反対の申し入れを議長に対して行いたい。また明日与党から延長の申し入れがあれば、わが党の古川幹事長を始め野党各党の幹事長も議長に対して申し入れを行っていきたい」と、あくまで会期延長には反対する姿勢を明確に示した。その理由については「わが党は、国会改革については『通年国会制度(会期そのものの廃止)』を導入すべきだという立場だが、現実には今、会期制が敷かれている。この意味は、本来、会期内で処理できなければ成立を見送るべきだということ。今国会では、森友・加計問題や日報問題など与党の失点で審議が後ろ倒しになった。しっかりとこの事実を受け止め、会期内に終わるべきだ」と説明した。

IR法案について

 また先週金曜日のIR法案の衆院内閣委員会での採決については「質疑継続の動議が明確に示されているのに、それを委員長が取り上げずに採決に踏み切ったことを私は問題であると感じている」と採決のあり方に疑問を呈した。とはいえ、国民民主党が委員長のマイクを奪う、紙を奪うなどの行為には参加しなかったこと、また党の理事が委員長席に近づいたのは、通常の協議をするためであって、手を出すためではなかった、とした上で「わが党は、与党が多数派である以上、採決はいずれ仕方がないことであると考える。野党のああいう抗議姿勢は改めるべき。その上で、どういう抵抗姿勢があるのか、他の野党と協議した上で決めていきたい。しかし、委員長席での乱闘というのは、多くの国民が求める姿ではない。今後も委員会質疑における乱闘には、参加しない政党であることをあらためてお伝えをさせていただきたい」と、今後も乱闘などの委員会室での抗議パフォーマンスには参加しない意向であることを明らかにした。

 ただIR法案自体については、結局18時間程度しか審議しておらず、十分とは言えない状況であるとも指摘。「ギャンブル依存症対策、地域経済への影響、カジノの自立性。こういった論点をしっかりと議論したかった」と審議の内容に不満を表明した。

 他の野党が同法案の採決にあたり記名投票を求めている点については、「与党にどれくらい造反があるのか今情報もなく、あまり政治的な意図をもって決めるのはよくない」と消極的な姿勢を示した。また同じく他の野党が、委員会採決自体無効だと主張していることについては、「質疑の継続動議が出されていた訳で、これを処理するのが先のはずだった。私も『無効である』と主張したいが、与党が『分かりました』とは言うことはないだろうとも認識している」と述べるに留めた。

加計学園の会見について

 加計学園が、安倍晋三首相と学園長が面会したとする情報を愛媛県などに伝えた当時の学園担当者の処分を発表することについては、「下を処分して上はそのまま、という構造は国と同じ。国民の理解は得られるのだろうか?」と処分のあり方に疑問を呈した。