泉健太国対委員長は29日、国会内で記者会見を開いた。

 泉国対委員長は前日の「働き方改革」関連法案への対応と、今後、憲法審査会で議論される予定の国民投票法案への国民民主党の対応について、説明した。

 まず働き過ぎを助長しかねない問題のある高度プロフェッショナル制度を含む、働き方改革関連法案に強く反対してきた経緯を説明し、従来は「衆議院の質疑時間比で参議院は7割」と言われる中で、参院国民民主党国対が粘り強い交渉を重ね、衆議院を上回る33時間の質疑と、地方公聴会の開催を実現したのは従来にない成果とした上で、国民民主党の国対戦略はあくまでも与党と対峙(たいじ)しながら、政府与党の問題点を審議の中で明らかにし世論に訴えることにあった、と強調した。そして「委員会質疑の時間が多ければ多いほど、政府答弁の問題点・いい加減さを国民に伝えることができる。その間に世論を喚起することにより、今回の高度プロフェッショナル制度を廃案に持ち込みたい、というのが参院国対の思いだった」と、参院側の立場を代弁した。

 泉委員長は、法案に反対の立場で連携してきた他の野党が中心となって提出した参院厚生労働委員長解任決議案に国民民主党が同調しなかったことについて「批判は私の耳にも届いている。参院国対では、『委員長解任決議案を提出するか、それとも、それをしっかりと交渉材料に使ってさらなる質疑時間を確保すべきか』の二者択一の厳しい判断を迫られていた」と、事情を説明した。そして最終的に選択したのが後者であり、その結果、さらなる審議時間の確保と、法案に対する付帯決議を勝ち取るに至ったと、これまでの経緯を総括した。

 また、もし国民民主党が委員長の解任決議案の賛成に回っていた場合、「与党にしてみれば、いくら譲歩しても最終的に解任決議を出す野党だとなれば、今後の国会での日程交渉では、与党側はの野党の審議時間を確保しなくなる」と野党が置かれていた苦しい立場を説明し、今回の選択が、苦渋の判断の末のものだったと述べた。「最後は強硬手段(解任決議)もありえたが、(これを交渉材料に)徹底して野党の主張の時間を確保し、与党の答弁のいい加減さを国民に伝えることが重要だった」と、あらためて党の立場を説明した。

 さらに、審議時間の確保以外の、もう一つの成果である付帯決議については、「仮に今回、われわれが解任決議案に同調して本会議で採決することになっていたら、与党は付帯決議の案文作成には乗ってこなかった」との見解を示し、その上で「法的な拘束力をすぐさま持つものではないにせよ、付帯決議を足掛かりにして労働法制の改善を促すことができる」との考えを示した。またこの付帯決議の文案作成の中では、党として一貫して反対していた高度プロフェッショナル制度について、1年ごとの合意更新を指針に明記することを盛り込んだ点も報告した。

 最後に、解任決議への対応は分かれたが、今後も安倍政権と対峙する野党の一員として、他の野党との協力関係を続けていく、と表明した。

憲法審査会の開催と国民投票法案への対応について

 次に今国会で提出される可能性のある国民投票法改正案について触れ、「この内容については私たち国民民主党も賛成しており、立憲民主党も中身については基本的にそう異存はない、と聞いている」と2野党の立場を説明した。その上で、「今、国会対策上、少し野党間に差が出ていると指摘されているが、与党と野党第1党である立憲が合意できるような憲法審査会の運営をしてもらいたいと、われわれはかねがね主張している。そんな中、昨日、国民投票法改正案の趣旨説明が行われなかったことについて、国民民主党として、できるだけコンセンサスの醸成に尽力していることを訴えた。

 しかし「私たちは、最大限与野党合意でと考えているので、強硬に審議入りをするということはあるべきでないと言っている。まずはそこが大前提で、内容について賛成をしているのは事実だが、そこへ与党がどのような運びをしてくるかということによって、その後の対応を考えなければならなくなる可能性もある」と、与党の強引な国会運営をけん制した。

 最後に再び法案内容について触れ、「反対ということはなかなかないのかな、と思っている。今回は、先んじて通った公職選挙法改正案に準じ、国民投票法を改正しよう、という話だ。われわれは公職選挙法改正案にはすでに賛成しているので、齟齬(そご)を来すようなことがあってはいけないと思っている」と語った。