国民民主党政務調査会長 泉健太

 国民民主党は、臨時国会の重要法案である「外国人労働者受け入れ拡大法案(出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案)」に関し、我が党の対案「再検討要求法」を11月21日の党総務会で了承いたしました。その概要を記載した「国民民主党の考え方」をお届けいたします。

●外国人労働者との共存は必要

 国民民主党は、今後の活力ある日本社会の実現には、外国人労働者が必要であり、その能力が存分に発揮され、国民との協働・共生が地域社会や生活の現場においても推進されていくことが望ましいと考えています。

●外国人労働者の劣悪な実態

 しかし、現在の外国人労働者の劣悪な実態は、看過しがたい状況にあります。

 一つ目は「現行の受け入れ制度の闇」です。約29万人が働く技能実習制度では、受け入れ事業所の7割での労働法令違反や、年間7000人以上の技能実習生が失踪する異常な事態が明らかになり、その失踪者調査における政府データーの不備も問題となっています。また「外国人留学生」も30万人を超え、その多くは「資格外労働」という形でアルバイトに従事しています。これら外国人労働の現場では、不安定な雇用関係の中で、借金、低賃金、長時間労働、ハラスメントなど労働問題が相次いでいるのが実態です。

 二つ目は「共生策無き受け入れ増」です。安倍総理の「移民政策はとらない」という発言とは裏腹に、現在の在留外国人数は264万人。うち外国人労働者数は過去最高の128万人となりました。職場はもちろん、生活・教育の現場における共生施策が十分ではなく、地域社会でのトラブルや課題は増える一方です。

 かつて我が国は、「労働力不足」を理由に日系外国人を呼び寄せました。しかし景気が低迷すると、その多くを解雇し、路頭に迷わせてしまいました。このようなことの改善も不十分なまま、今後5年間だけでも約34万人もの多数の外国人労働者を呼び寄せてよいのでしょうか?

 日本人も外国人も「労働者」はまず「人」として扱われなければなりません。国民民主党は、単に「労働力不足」との理由で、政府法案を成立させることは、日本社会のためにならないと訴えます。

●あまりに拙速、あまりにがらんどう!

 特に今回の政府法案では、外国人労働者の受け入れ業種も、規模も、地域も、国会で決められるようになっていません。

 政府与党は、新制度が始まった際の国内労働者の雇用や賃金への影響、受け入れ分野を定める客観的指標、外国人労働者が被保険者となった際の被扶養者となる家族を含めた医療財政への影響、自治体行政や教育現場への影響、なども明らかにしていません。法案で示されるのは基本方針と仕組みのみ。まさに中身のない「がらんどう」の法案なのです。

●国民民主党の提案「再検討要求法案」

 そこで私たち国民民主党は「再検討要求法案」を策定いたしました。その内容は、政府に今後6か月以内の間に以下8点の重要課題の再検討を行うことを要求するものです。

  1. 「地方の労働人材確保への配慮」
  2. 「客観的かつ合理的な受け入れ上限(産業別・地域別)の設定」
  3. 「適切な外国人労働の待遇を確保するための配慮」
  4. 「在留資格の変更に際しての一時帰国」
  5. 「現行の各種受け入れ制度の実態把握に基づいた抜本的見直し」
  6. 「適切な社会保障制度と教育制度のあり方」
  7. 「家族帯同など人権的な配慮」
  8. 「多文化共生施策の充実」

 この法案を成立させれば、政府は制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じ、来年通常国会に法案を再提出することとなります。これにより外国人労働者受け入れのための国内環境の整備を一層進めることができると考えています。

●世界に選ばれる国、愛される日本へ

 世界経済も労働市場も急速にグローバル化が進んでおり、このような国際競争の時代だからこそ国内環境の整備は極めて重要な意味を持ちます。国内環境が良くなければ、外国人労働者は日本よりも好待遇、好環境の他国へシフトしていくでしょう。

 国民民主党は「つくろう、新しい答え」のもと、日本を「世界に選ばれる国、愛される日本」とするために対案を策定いたしました。皆様ともに訴えてまいりましょう。

以上