泉健太政務調査会長
統一自治体選政策概要

 泉健太政務調査会長が15日、統一自治体選挙に向けた党の政策の概要を記者団に説明(ブリーフィング)した。

 冒頭、泉政務調査会長は「国民民主党は自治体議員候補者も多数おり、その仲間と共に戦うという意味で、全国に政策の素材集を提供した。昨年12月28日に第1弾、3月11日に第2弾を各地域の自治体議員に届けた。今日はその概要を説明したい」とブリーフィングの趣旨を説明した。

 今の自民党の地方自治体政策について、「『地方創生』とはいうものの、実際には中央依存の体質がまた元に戻っている思うし、何より人口の流入、首都圏そして都市部への流入が全く止まっていないということにおいて、安倍政権の地方創生は実っていない」と指摘。国民民主党は「地域に人が定着をして、そしてその暮らしあるいは伝統がしっかりと守られる――地域が光る、そんな日本社会を作っていきたい」と述べた。

 より具体的には(1)子ども(2)医療・介護(3)農業(4)中小企業、そして(5)地域主権と、この5本柱で国民主党は新しい答えを提案していきたいと考えている、と説明した(詳細は、下の「説明の要旨」を参照)。

 記者から政策素材集の位置づけについて聞かれると「演説の素材なので、あえて公開はしていない」と断った上で「わが党が国会の中で取り組んだ、地域に関わる政策を全国にあまねく発信し、そして他地域での素晴らしい取り組みを全国の仲間たちと共有するという意味で、素材集を作らせていただいた。国民民主党に所属する方々(推薦候補も含め)は基本的には、この素材集と政策的には合致していると考えている」「現時点では、例えば都道府県ごとにマニフェストというようなものが作られているという認識はしていない。各地域ごとというよりも、各地域で政策をまとめて訴えているところもあれば、各候補者ごとに訴えているというところもある」と説明した。

 最後に泉政務会長は「地方自治体選挙で投票していただくということだけを目的にするのではなくて、やはり候補者がこの政策をもって対話をし、その対話の中から次の参院選挙政策もまた見出していけるような、そんな対話を重視した選挙戦にしていきたい」と述べた。

<記者への説明の要旨>

1.子ども政策

 子ども政策については、まず児童虐待の防止に向けた連携の強化ということをしっかり訴えていきたい。同様に体罰の禁止。虐待世帯が引っ越しをした場合、児童相談所のみならず自治体間でも、また警察機関も含めて情報の共有をしてもらう。連携をしっかり強化してもらうことを訴えていく。

 自民党政権は3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化を訴えているが、われわれはかねてから無償化よりも「待機児童の解消」(全入化)が先だと言ってきた。

 熱中症対策を含めた学校事故の防止や通学路の安全確保。副読本や、体操着、柔道着、あるいは塾の費用などさまざまな民間教育費の控除も党税調が提言している。民間教育控除についても、その実現を目指す。

 自民党政権は大変残念だが、いまだに未婚の親についての寡婦控除を認めていない。未婚の親への適用拡大を進めていく。

2.医療・介護

 介護事業者は他業種に比べると、平均賃金が月額10万円程度低いと言われている。この介護事業者の待遇を改善する。かかりつけ医や訪問看護などの医療と介護の連携を強化推進する。地域包括ケアの推進ということも含め、医療と介護の切れ目のない支援を行っていく。

3.農業

 農業については、従来から戸別所得補償制度を復活させるべきだと訴えてきた。農業の戸別所得補償制度をさらにバージョンアップし、ギャップ(GAP:Good Agricultural Practice、農業生産工程管理)、食品安全や農地の多面的機能の維持などの取り組みを進める農家への加算を行っていく。

4.中小企業政策

 中小企業が労働者を新規採用したくても、社会保険料負担がなかなか大変だということで、二の足を踏むケースもあると聞く。地域の中小企業で新規労働者を採用した場合には、社会保険料の負担軽減を行う。

5.地方主権

 民主党政権時代に採用した一括交付金制度から打って変わり、今の自民党政権では中央が承認したものでなければ補助金が下りないという、かなり縛りのきついものになってきている。あらためて自治体の創意工夫が生かされるような一括交付金の復活を訴えていく。

 また外国人労働者がこれから地域で共生していくようになっていくという意味で、地域での多文化共生の推進を訴えていく。

 農作物もそうだが、電力や交通などの「地産地消」を進めていくために、電力についても分散化、地域自立化を図っていく(スマートコミュニティの普及)。交通についても、例えばデマンドタクシー(※)など、地域オリジナルの交通のあり方によって、地域の中での域内移動を深めていく。

 自然災害が多発するなかで、この災害が起きた時の「災害損失控除」を雑損控除にプラスして認めることを党税調で提言している。災害に遇っても、あらためて同じ地域で引き続き生活できるようにという趣旨だ。また地域での災害を助け支える意味で「ボランティア控除」も提唱している。

(※)参照:https://www.city.kimitsu.lg.jp/soshiki/7/96.html

地域経済と地域社会の「新しい答え。」

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