泉政調会長

 衆院本会議で8日、安倍総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、衆院野党共同会派「立国社」(立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)を代表し、泉健太国民民主党政務調査会長が質問に立った。泉政務調査会長は多様なテーマについて、国民目線、生活者の観点からの提案型質問を行い、安倍総理の見解を問いただした(※全文はPDFダウンロード参照)。

 冒頭、泉政務調査会長は京都アニメーション放火事件に言及し、「亡くなられた方々に心から哀悼の誠を捧げ、被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げます」と、お悔やみの言葉を述べた。

 消費税の軽減税率やポイント還元制度について泉政務調査会長は、国民がもはや「どのカードやアプリが使えるのか、どの店が還元対象か、どのように還元されるのか、還元率は何%か」等がほとんど分からず、「ややこしすぎる」と批判。また決められた期限までに還元対象店となるための申請をしたにもかかわらず、10月1日時点で制度を利用できない事業者が全国で約8万店もあると指摘し、政府の責任をただした。

 さらに、経済情勢に目を向ければ、消費税率引き上げに伴う大きな駆け込み需要も起こらず、消費者マインドは全体として弱いままであると述べた上で、タイミングを誤った増税は、「景気を腰折れさせ、経済活動を停滞させ、逆に税収を減らす可能性すらある」のではないか、と厳しくただした。泉政務調査会長は、まずは家計を温めて国民の消費を増やすべきだとして、「税制も大きく見直して所得再分配を強化し、貧困や格差を解消に向かわせる。特に、老後や子育てなどの暮らしの安心に関わる人の人件費を厚くして人手不足を解消し、将来不安を小さくする。希望する非正規労働者を出来るだけ早く正規雇用に転換しつつ、実質賃金を引き上げる。こういったことこそが、これからの時代の最も効果的な消費拡大策であり経済対策だ」として、国民民主党が従来から主張してきた「介護・保育従事者の処遇改善」また「中小企業における正社員雇用の際の社会保険料負担軽減」など、可処分所得を増やし、消費を回復させる「家計第一」の経済政策の実現を訴えた。

 これらの質問に対して安倍総理は、「制度周知等の徹底に努める」、「対策を講じている」等、具体策に乏しく国民の感覚とはかけ離れた表面的な答弁にとどまった。

 消費税の問題以外のテーマについても、泉政務会長は具体的な政策的対案――(1)「被害想定地域の代替電源・通信の『事前確保マニュアル』の策定」(台風15号対策関連)(2)「検査官と検疫探知犬の体制強化や、持込み禁止肉製品を所持する人物の入国拒否を法的整備」(豚コレラの水際対策)(3)「農業者戸別所得補償制度の復活」(食糧安全保障)(4)「年金の財政検証も行える、新たな国会組織の設置」「対象者すべてに月5000円以上の給付加算」(年金不足対策)(5)「政府の『全世代型社会保障検討会議』に若い世代代表や労働者代表もメンバーに入れる」「全ての国民がかかりつけ医を持ち相談や予防医療を受けられる『日本版家庭医制度』の導入」(社会保障制度改革)(6)「育児休業給付金を賃金と比べ『実質100%』給付に引き上げる」(男性育休取得)(7)「住民の意向や地域の実情を十分踏まえ、各病院が自ら検討する手法を取る」(公立病院の再編問題)(8)「一刻も早い民法の親の懲戒権の見直し」(児童虐待問題)(9)「性犯罪成立要件のあり方の抜本的な見直し」(同意なき性交・性犯罪)(10)「道路交通法等の改正と、罰則強化」(あおり運転)(11)「実態に即した新基準」(過労死防止)(12)「防衛装備品の国内調達割合を増やす」(日米関係)(13)「『黒塗り』だらけの交渉文書の公開」(日米貿易交渉)(14)「日米地位協定の見直し」(地位協定改定)(15)「国民投票におけるCM規制や資金の透明性確保」(憲法改正)(16)「『公文書改ざん防止法案』や開示情報規定を拡大した『情報公開法改正案』の成立(情報公開)――を示しつつ、一連のテーマについて総理を問い質した。

PDF「第200通常国会衆院本会議・泉政務調査会長代表質問(予定稿)」第200通常国会衆院本会議・泉政務調査会長代表質問(予定稿)

代表質問を行う泉健太政務調査会長

代表質問を行う泉健太政務調査会長