森ゆうこ議員

 参院本会議は27日、AIやビッグデータを活用して実証実験する「丸ごと未来都市」「スーパーシティ」について定める「国家戦略特別区域法の一部改正案」の討論を行い、国民民主党からは森ゆうこ議員が反対の立場で立った。森議員は最先端の技術を活用し、快適な生活を送ることに誰も異論はないと述べつつ、本人の同意なしに個人情報の目的外使用や第三者への提供が可能となる場合があることを問題視した。

 森議員は、20日の参院本会議で自動車を相乗りするサービスのライドシェアの導入について、赤羽国土交通大臣が「安全性が確保できないので認めない」と答弁しているにもかかわらず、他の委員会では内閣府が「ライドシェアが1つの規制改革の要望となり議論することとなる」と答弁していることの矛盾を指摘。「国会の審議をないがしろにするもので到底容認できない」と強調した。

 他にも、住民の合意形成が具体的にどのように図られるのかが法案に明記されていないこと、区域会議の実質的責任者をどのように選ばれるのか明確な規定も答弁もないことを指摘。

 さらに、スーパーシティの旗振り役であった片山前大臣が委員会での質問で、国民のデータが海外の事業者によって域外に持ち出されることがないよう(ローカライゼーション)に要求していたことを取り上げ、「大きな違和感を覚える」と述べた。「日米デジタル貿易協定にはローカライゼーションの義務を課すことを禁止する条項がある」と説明し、「少なくとも米国の巨大IT企業が参入した場合には、協定によりローカライゼーションを主張することはできないのではないか」と迫った。

 最後に森議員は、いま地方創生担当大臣がやるべきことは本法案を成立させることではなく、「地方の財源を確保することである」と強く求めた。

 法案は、賛成多数で可決された。


PDF「国家戦略特別区域法改正案討論原稿」国家戦略特別区域法改正案討論原稿