玉木雄一郎代表

 玉木雄一郎代表は28日、衆院憲法審査会で行われた国民投票法を巡る諸問題についての自由討議で発言した。国民投票法が成立した時に想定されていなかった、SNSが選挙や国民投票に与える影響や有権者の行動変容を目的としたネット広告に対応していかなければならないと危機感を示し、「国民民主党が昨年5月21日に提出した改正案を一緒に審議いただき、成立をはかりたい」と与党を含め各会派に要請した。

 メディアの激変について、「特にSNSが選挙や国民投票に与える影響は無視できない。しかも、大量のデータ分析を駆使しておこなう、行動変容を目的とした広告は極めて効果的。実際、(そうした手法が)2016年の米国大統領選挙『プロジェクト・アラモ』やEU離脱『リーブEU』に活用され、結果にも大きな影響を与えたと言われている」と有権者の投票行動に与える影響に懸念を示した。

 玉木代表は、国民民主党がこうした状況を踏まえ、昨年5月21日に提出した改正案について次のように説明した。

・まず、国民投票広報協議会が行う広報放送を行うことができる政党等については、TVやラジオだけでなく、ネット広告も禁止する。これは、資金の多寡によって出せる広告の量や質に差が出て、国民が多様な意見を公平かつ平等に接する機会を担保するために必要。

・政党以外にはネット広告等を認めるが、1団体5億円の上限規制を設け、資金面から歯止めをかける。

・フェイクニュース(虚偽情報)の流布をしてはならないとの努力義務も課す。

・さらに、国民投票運動を行う団体に対する外国人からの寄付を禁止する。国の最高法規である憲法改正に外国の勢力の影響を排除しなければ、安全保障の問題が生じる可能性もある。

 最後に、「2016年の米国大統領選挙や英国のEU離脱運動にも関わったとされるケンブリッジ・アナリティカの元役員ブリタニー・カイザー氏を憲法審査会に参考人として呼んで話を聞くことを求める。国民投票法改正案採決の前に必ず実現できるよう同僚議員の協力も求める」と佐藤憲法審査会長に申し入れた。

 奥野総一郎・憲法審査会幹事は「これまでも与党案と国民民主党案の並行審議を求めてきた。同僚議員の活発な議論を踏まえ、国民投票法を抜本的に改正し、結果に結びつけてほしい」と述べた。

奥野総一郎・憲法審査会幹事

発言する奥野総一郎・憲法審査会幹事