国民民主党JR2島貨物問題ワーキングチーム(WT)及び立憲民主党公共交通のあり方検討WTは29日、JR北海道・JR四国・JR貨物がそれぞれ経営自立を図り、中長期的視点に立った政策を実行していくことが必要不可欠であることから、関連する支援措置についての要望書を国土交通省に提出した。国民民主党からは、JR2島貨物問題WTの泉健太座長、白石洋一事務局長が参加し、御法川信英国土交通副大臣に要望書を手交した。
国鉄分割・民営化からすでに33年が経過し、当時の想定を上回る人口減少・少子高齢化、大都市一極集中・地方過疎化、さらには超低金利状態が生じている。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う移動自粛や「新しい生活様式」への対応など、社会のあり方が大きく変わろうとしている。
このような取り巻く状況が厳しさを増す中で、JR北海道・JR四国・JR貨物は、脆弱な経営基盤のもと、この間、国や地方からの累次に亘る支援を受けつつ懸命に経営を維持しているが、とりわけJR北海道とJR四国は2011年度に策定した2020年度までの「経営自立計画」に基づく経営自立の見通しが立っていない。人材流出も喫緊の課題である。今後対策を怠れば、JR各社の経営はもとより、北海道及び四国における公共交通の崩壊、さらには日本における鉄道貨物輸送の劣化を招来しかねない
今後も地域における持続可能な交通体系を維持するためにも、JR北海道・JR四国・JR貨物がそれぞれ経営自立を図るとともに、経営のあり方と地域における交通体系のあり方とを区分して目指すべき将来像を検討し、助成の仕組みの見直しも含め、中長期的視点に立脚した政策を実行していくことが必要不可欠なことから
1)国鉄債務等処理法改正による期限の延長もしくは新たな法律により支援内容を継続・拡充
2)青函トンネル・本四架橋や鉄道貨物の運行に伴う負担軽減に資する設備投資・大規模修繕などに対する支援
3)経営安定基金の機能維持、税や施設貸付料の減免、国に対する借入金の返済猶予・減免などによる運転資金の確保
4)高速化や貨物の安全対策強化など将来を見据えた取組への支援
5)固定資産税や貸付料・使用料の減免など新型コロナウイルス感染症拡大による影響を鑑みた支援──などを求めた。
要望の後には、長期的視点に立った支援が必要であること、将来展望を示して人材流出を止めなければならないこと、コロナ後の分散型社会を見据えた公共交通のあり方を議論する必要があることなどについて意見交換が行われた。