国民民主党政務調査会長 足立信也

 本日、政府提出の「働き方改革」関連法が成立した。政府・与党は、働く人や過労死犠牲者のご遺族、野党等の強い反対にもかかわらず、過労死や過重労働による重篤な健康被害を助長する「高度プロフェッショナル制度」の導入を押し通した。国民の命と暮らしに対する懸念を高める暴挙であり、強く抗議する。

 「高度プロフェッショナル制度」については、国会での法案審議を通じ、対象業務の定義の曖昧さ、実労働時間の把握が困難であることなど、数々の重大な問題が改めて浮き彫りとなった。なし崩し的に対象者が拡大し、対象者が過労死しても、労災認定されない危険性が高い。また、同制度のニーズ把握のヒアリングが極めて杜撰であったことが発覚し、働く人のニーズに基づかない制度であることが明確となった。働く人の立場に立っていない安倍政権の「働き方改革」、とりわけ「高度プロフェッショナル制度」は、労働者無視の労働政策である。

 国民民主党は、当初の政府案から裁量労働制の対象業務拡大を削除させたほか、働く人の立場に立った改革を進めるため、インターバル規制の義務付けや裁量労働制の厳格化、パワハラ規制などを訴えた。衆議院に提出した「安心労働社会実現法案」、参議院に提出した「パワハラ規制法案」は国民民主党の主張を法案の形にしたものである。しかし、政府・与党は「安心労働社会実現法案」を採決せず、「パワハラ規制法案」には反対した。政府・与党が働く人を蔑ろにしている証左と言わざるを得ない。

 国民民主党は参議院で、「高度プロフェッショナル制度」の対象者に対する合意内容の1年ごとの確認を指針に規定すること、時間外労働上限の特例を安易に使えないようにする措置を講ずること、パワハラ等の防止対策の検討を行うこと等を政府に求める「47項目に及ぶ付帯決議」を付けた。今後は、付帯決議の内容を踏まえ、政府の対応や制度の運用状況を厳しく注視するとともに、過労死根絶、ワークライフバランス確立等を目的とした真の改革の実現に全力を挙げて取り組んでいく。  

以上

参院厚生労働委員会働き方改革関連法案付帯決議