会場からの意見を真剣に聞く両候補

 国民民主党代表選挙の候補者討論会が31日、長崎市内のホテルで開かれ、津村啓介、玉木雄一郎両候補が聴衆からの質問や意見に答えながら、力を入れる政策や党運営などについて意見を戦わせた。

 討論会は7分間の政見表明に続いて、双方への質問。

 津村候補はポスト・アベノミクスの経済対策を取り上げ、「東京五輪後に景気が大きく落ち込むことを心配している」とした上で、玉木候補がこの選挙戦で提唱している「コドモノミクス」の中で議論を呼んでいる「第3子に1000万円支給」について、「まだ結婚していない人や1人目の子どもではなく第3子を優先するのか」「財源はどうするのか」とただした。

 これに対し玉木候補は「けっして第1子や第2子を軽視するものではない。ただ、第3子をあきらめた夫婦の7割が経済的理由を挙げている」としながら、フランスで第3子以上に20歳までに総額1200万円(円換算)を支給して出生率を改善させたことを例示。「今1年間に生まれる子どもの数は100万人だが、このうち第3子、4子以上は16〜17万人。必要な財源1兆6千億円は消費税増税分や私の主張する『子ども国債』を充てたい」と説明した。

 津村候補は「政治家や政府が人の生き方や家族の持ちかたに理想像をあまり示すべきではない。多様な生き方を応援するのが私たちの党の立ち位置ではないか」と反論し、「3人目ができなくて困っている人よりは、結婚ができなくて困っている方への選択的夫婦別姓のような選択肢や、不妊治療の保険適用の拡大のほうがより国民は求めていると思う」と主張した。

 玉木候補は生き方や家族のあり方の多様性は認めた上で、「今、共働きが増えているのに家計所得の中央値が20年前に比べて120万円落ちている。生涯稼ぐお金の6割から7割が子どもに使われる。国や社会がみんなで育てることに踏み込まないと社会保障もコミュニティも維持できなくなる」と重ねて政策の有用性を重ねて訴えた。

 出席した地方議員や支援者からは、来年の統一地方自治体選や参院選での取り組み、党への注目度の低下や昨年来の党の混乱から一体感を心配する質問や意見が相次いだ。

 これについて津村候補は、「この代表選は私と玉木さんの違いを見つけて分裂させるために戦っているのではない。私たちは政権交代を目指す。野党の中で一番の政策能力を持っているのは国民民主党で、これからは政策をど真ん中に据えて存在感を発揮して頑張る。私と玉木さんがお互いに良いところを引き出し合って、悪いところは補い合って、世間にしっかり示すための14日間だ」として、経済に強い国民民主党、地域に根ざした国民民主党、未来志向の国民民主党を一緒に作っていきたいと力強く決意を表明した。

 玉木候補は、この日の午前に訪問した造船所で聞いた話を紹介。16年前に建造中の大型客船が大きな火災事故を起こしたにもかかわらず、膨大な費用をかけて大規模な修復を行い完璧に仕上げて引き渡したことで、かえって会社の評判が上がったことに、「困難な中をみんなが力を合わせてチームワークで成し遂げていくことは日本人の強さ、それを体現するのが私たち国民民主党だ。ここで私たちが倒れてしまったら日本の民主主義と政治はだめになってしまう」と呼びかけた。

 終了後は、市内中心部の「鉄橋」で街頭演説会を開催。来夏の参院選長崎県選挙区で党が公認を内定している白川鮎美さんもマイクを握り、津村、玉木両候補とともに国民民主党への支持を呼びかけた。

○街頭演説会の動画はこちら→ https://youtu.be/QX9VD7CWntg
○候補者討論会の動画はこちら→ https://youtu.be/I86T8177uiw

鉄橋での街頭演説会。演説する白川鮎美さん(右)と両候補、奥野総一郎・代表選管委員

鉄橋での街頭演説会。演説する白川鮎美さん(右)と両候補、奥野総一郎・代表選管委員