かみなか農楽舎にて

 玉木雄一郎代表は9日、党の「新しい答え」を見つける視察活動の一環として福井県を訪れ、県内の農漁業関連の施設を精力的に見て回った。

■阿納のフグ養殖業―民宿事業と表裏一体で「地産地消」

 午前中訪れたのは、小浜市阿納にあるフグの養殖場。地元の養殖業者の浜本彦幸さんに案内され、沖合にあるフグの養殖場を見学するとともに、養殖場関係者らとも意見交換をした。

 浜本さんによると、阿納のフグ養殖業は、民宿事業とともに発展したという。若狭のフグは、今でこそ全国的に知られたブランドだが、地元業者の養殖するフグのほとんどが地元の民宿向けに出荷されている。つまり文字通り「地産地消」を実践しているという。実際、浜本さんは地元民宿「ひこ荘」の経営者でもある。

 意見交換会では、(1)サバ漁をはじめ、かつて隆盛を誇った小浜市の漁業も衰退しつつあり、漁獲高も平成初頭のピークから半減していること(2)地元漁業では、サバやフグといった魚の養殖に活路を見出そうとしていること(3)ブルーパーク阿納が子どもの食育施設として脚光を浴びつつあること――などに話題が及んだ。

 またかつては阿納の近辺に民宿が多数存在したが、近年はその数も減り、フグ養殖を手掛けた民宿のみ事業が続いていること、養殖事業と表裏一体の関係にある民宿事業へのてこ入れ策について話が及んだ。

ふぐ養殖場(左)と地元の民宿街(右下)

ふぐ養殖場(左)と地元の民宿街(右下)

「若狭ふぐの里」海の宿 ひこ荘(リンク)

■かみなか農楽舎―若者の就農支援

 続いて訪れた若狭町にある(有)かみなか農楽舎では、ここで取り組んでいる若者向けの就農支援事業について話を伺った。同舎は「都市からの若者の就農・定住を促進し、集落を活性化する」ために、福井県若狭町や地元集落などが共同出資して設立した会社だ。全国から集まった若者たちに2年間の研修生活を送ってもらう中で、地元の農業者とのマッチングも行い、就農・定住先を決定する。全国的にもユニークな形の就農事業だ。研修生はこの2年間の研修期間中、月5万円の手当を支給される。

研修生の話に耳を傾ける玉木代表、斉木武志議員ら

研修生の話に耳を傾ける玉木代表、斉木武志議員、山本正雄、糀谷好晃両県議会議員ら

かみなか農楽舎(リンク)

■農業組合法人ファーム熊坂―先進的な農業組合法人

熊坂ファームの皆様と

熊坂ファームの皆様と

 この日訪れたもう一つの農場は、あわら市熊坂にある「農業組合法人ファーム熊坂」。この法人は、農業者の高齢化や農業機械の老朽化などによる個別農家の負担の軽減を図るために26戸の農家が集まって設立した農業組合法人だ。同法人は、共同で大型の乾燥調製施設を建設したり、GPSで直進をアシストする田植え機など最新鋭の農業機械を備えるなど、効率的な営農に成功させつつある。

最新トラクターを試乗する玉木代表

最新トラクターを試乗する玉木代表

 ファーム熊坂が管理する田畑の周囲には、イノシシなどの害獣を追い払うための柵が張り巡らされており、この日は鳥獣被害にも話題が及んだ。

イノシシ被害の大きさに驚く玉木代表

イノシシ被害の大きさに驚く玉木代表

■あわら農楽ファーム―障害者と農業の橋渡し

 この日最後に訪れたのは、あわら市山室にある(有)あわら農楽ファーム。同ファームは、あわら市でお米を中心に麦、大豆、そば、柿、イチゴなどを栽培する農場であると同時に、障害者雇用に積極的な農場として地元では知られている。

 福井県に限らず日本の地方では、農業の人手不足が深刻だ。障害のある人たちが農業と関わることで、障害者の雇用拡大を図れると同時に、地域農業の維持・活性化につながる。あわら農楽ファームが取り組むのは、福祉と農業をつなぐ先進的な事業だ。

あわら農楽ファームのメンバーと

あわら農楽ファームのメンバーと

あわら農楽ファームはいちご園も経営

あわら農楽ファームはいちご園も経営

あわら農楽ファーム(リンク)

■ぶら下がり記者会見

 いちご農園で行われたぶら下がり記者会見

いちご農園で行われたぶら下がり記者会見

<会見要旨>

 今日は、第1次産業の現場を視察させていただいた。

 訪れたふぐの養殖場は民宿も経営しているということで、キーワードは「地産地消」だと感じた。まだまだインバウンドの外国人のお客様はほとんど来ていないということで、そういった新たなお客様を呼び込むことで第1次産業をさらに発展させることができると感じた。

 また拉致問題についてしっかり対応してほしい、との要望をもらった。国民民主党として党を挙げて今も取り組んでいるが、これから米朝首脳会談、場合によっては日朝首脳会談も視野に入れながら、わが党としても拉致問題の解決について具体的な一歩を踏み出せるように、しっかりと取り組んでいきたい。

 農業について一つ印象的だったのは、県外から若者を呼び込んで新規就農のサポートをする、そういった取り組みを行っていること。非常に感銘を受けた。県や町も力を合わせて取り組んでいる。地域に第1次産業を担う若い人たちがいて、初めて活力につながると思う。若者の就農と地域の活性化を組み合わせという考え方は、極めて素晴らしい。

 今いるイチゴ農園を始め、障害者の就労支援と絡めた取り組みというのにも感銘を受けた。その一方で、障害者が農業に就労していくことについて、様々な問題が存在しているとの指摘も受けた。

 今回の視察で学んだ様々な問題点を安倍総理や農水大臣にもぶつけて、一歩でも前へ進むように、党を挙げて取り組んでいきたい。

PDF「小浜市の水産業について」小浜市の水産業について

PDF「かみなか農楽舎」かみなか農楽舎

PDF「農業組合法人ファーム熊坂」農業組合法人ファーム熊坂

PDF「あわら農楽ファーム」あわら農楽ファーム