障がい児者への性暴力と刑法性犯罪規定の見直し

障がい児者への性暴力と刑法性犯罪規定の見直し


 党政調第一部会(内閣・法務・憲法・外務・防衛)と男女共同参画推進本部は16日、合同会議を開催し、障がい児者への性暴力と刑法性犯罪規定の見直しについて、NPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美理事長、NPO法人ファザーリング・ジャパンの橋謙太メインマンプロジェクトリーダーより、ヒアリングを行った。

 冒頭、玉木雄一郎代表は「国民民主党は、これまでも性暴力の禁止と被害者支援に積極的に取り組んできた。2年前に刑法性犯罪規定が改正され、当時からさまざまな問題点も指摘されてきたが、最近、特に性犯罪について、裁判で厳しい判断が出されており、常識的に考えて、本当にこんなことでいいのかと非常に心を痛めている。被害者救済の観点から、現行刑法に構成要件の面で問題があるのであれば、あらためていかなければいけないし、それが立法府の責任だ。今日はお話を伺って、さらなる法改正の必要性について議論していきたい」とあいさつした。

 中野理事長は、「刑法性犯罪規定改正の時、障害児者への性暴力は論点にもなっていなかった項目であり、完全に抜け落ちている。国でも調査が行われていないため、団体として調査したところ、健常者のおよそ3倍が被害に遭っていることが判明した。大規模な調査が行われている諸外国でも、障害者の方が2~3倍、性暴力に遭いやすいという結果が出ている。そのため諸外国では、障害者に対する性犯罪が法律に規定されており、被害者が障害者であることを知りうる立場を利用した性犯罪は罪を重くする、被害者が障害者であった場合は要件を緩和する――の2パターンがある。障害者が被害に遭うリスクを高く評価しなければいけない」と報告し、「刑法性犯罪規定に、障害児者であることに乗じた性犯罪の創設が必要」だと訴えた。

 橋プロジェクトリーダーは、障害者が犯罪に遭いやすい理由について、「障害の特性として、言葉の裏を読むことが苦手、人との距離感を取りにくい(物理的にも近づきすぎる)、恥ずかしいという概念が弱く、悪いことをされていると思っていないことなどがあり、勘違いされて性犯罪につながるケースもある。また、事件が発生した後、発達障害や知的障害があると、特性として自分の状況を説明することができないため、泣き寝入りをしてしまうことも多い」と説明した。

 出席議員から、性教育のあり方や性交同意年齢の引き上げ、二次被害、調査方法などについて提起され、中野理事長は「さまざまな場面で障害があるから我慢させられる、仕方ないと押さえられることが多く、性暴力についても、仕方ないとされている例が非常に多いのではないか」と危惧の念を表明した。

障がい児者への性暴力と刑法性犯罪規定の見直しについて話を聞いた

障がい児者への性暴力と刑法性犯罪規定の見直しについて話を聞いた

ヒアリングに臨む玉木代表