玉木雄一郎代表記者会見

2019年5月30日(木)13時32分~13時58分
発行/国民民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/phYH3nhcVuI


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○皇位検討委員会を設置 安定的皇位継承に関する議論を本格化

【代表】
 まず冒頭発言、幾つかさせていただきたいと思いますが、一つは、令和という新しい時代になりました。その中で、皇室あるいは皇室制度にも大変注目が集まっておりますが、我が党としてもこれまで皇位の安定的な継承については関心を持ってさまざまな議論をしてきましたが、このたび津村啓介副代表を座長に皇位検討委員会を党内に正式に立ち上げまして、女性天皇等についての議論を本格化させていきたいと思います。
 この場でも何度か申し上げましたが、過去の長い歴史を振り返ったときに、私自身そうですが、女系天皇については現時点では極めて慎重な立場でおりますが、男系の女性天皇、そしてまた女性宮家の議論については、これまでもさまざまな議論が政府の中でも行われた経緯もありますので、特に女性天皇等について議論を具体的に進めていきたい。もっと言えば、皇室典範の改正案の作成も視野に入れながら、党内での議論を深めていきたい。
 皇室の現状を見ますと、安定的な皇位の継承ということをいかに図っていくのかということは喫緊の課題だと思っておりますので、危機感を持ってこの議論を党内で行っていきたいと思っています。
 これがまず1点目です。

○桜田前大臣「最低3人産むように」発言について

【代表】
 二つ目に、桜田前大臣の発言がありました。「最低3人くらい産むように」という発言ですが、自民党の「失言防止マニュアル」というのがあるようですが、あまり効果を発揮していないのかなという印象です。
 人口問題研究所(国立社会保障・人口問題研究所)が出しているデータを見ると、希望する子どもの数を持てない理由として、年代によって違いますが、30代前半なら8割以上が経済的な理由、金銭的理由を挙げています。だから、我々政治に携わる者がやるべきなのは、「3人産め」ということを言うのではなくて、3人でも4人でも望む子どもの数を持てるような環境をきちんと整えていくことが大切だと思いますので、これは国対委員長からも既に発言がありましたが、やはり人権とか、あるいはさまざまな状況にいる方に対する配慮、思いやりを欠いた発言だと言わざるを得ないと思います。
 我が党としては、望む、希望する子どもの数を、さまざまな制約を乗り越えて、持ちたい人が持てるような制度づくりに取り組んでいきたいと思っております。

○経済情勢について

【代表】
 次に、きょう株価がアメリカも日本も下落しております。内需を中心としたファンダメンタルズが堅調だということを政府は言いますが、やはり非常に経済状況、足元では厳しくなってきている気がします。
 特に米中の貿易戦争ということが世界経済に投げかけている影響は無視できないほど大きいと思いますので、やはり今のような経済状況のもとで10月の消費税増税を予定どおりしていいのかどうか。多くの国民、また企業の方々も、非常に懸念を持ち始めていると思います。
 その意味では、速やかに衆参で集中審議を開いて、現状の経済認識、そして消費税増税の環境にあるのかどうか、しっかりと議論をさせていただきたいと思いますので、改めて予算委員会集中審議の開催を求めたいと思います。

○日米通商交渉 共同記者会見での米大統領発言について

【代表】
 もう一つ。トランプ大統領が日本に来られました。さまざまなもてなしが行われて、日米の絆が強いということを内外に発信したことは評価をしております。
 一方で、やはり日米の貿易交渉でありますが、トランプ大統領は会見で安倍総理の発言を遮るように「TPPは関係ない」ということを明言されました。しかし、昨年9月の日米共同声明では、過去の締結した経済連携交渉が最大の譲歩水準だということを両国政府として合意したはずです。TPPにアメリカが入っていないから全くTPPに縛られないというトランプ大統領の先般の発言は、昨年9月の日米共同声明の内容さえ覆す、極めて重大な発言だと思っています。
 去年9月の日米共同声明の「過去の経済連携協定」の中にTPPは含まれていないという解釈なのか。改めてそこは確認が必要になってきますので、いずれにしても、これも予算委員会を開いて真実は明らかにしていただかないと、8月になって初めて日本国民はその内容を知ることになり、参議院選挙が行われる7月には中身がわからない、いわば密約が結ばれている可能性があるとしたら、ゆゆしき問題。1日も早く予算委員会を開いて、こうした中身についても議論をさせていただきたい。「逃げるな」と、ここは申し上げたいと思います。


■質疑

○消費税について

【フリーランス・酒井記者】
 ゲイレポーター、酒井佑人です。消費税が冒頭発言にあったが、消費税による税収が全体の30%を超えており、これは付加価値税の最高税率が25%のスウェーデン、20%のフランスと同じだが、この消費税に依存した税体系をどのようにお考えなのかということと、消費税減税についてお考えをお聞きしたい。

【代表】
 高齢化社会の中で消費税というのは基幹税として重要だという認識は変わりませんが、ただ、私は最近ずっと申し上げているのは、資金循環(統計)を見ると、企業と家計と政府と3セクターに分かれていますが、今、法人税減税もあって企業セクターは極めて資金に余裕があります。政府は、ご存じのとおり真っ赤っか。一方で、通常であれば資金の供給源である家計セクターは豊かな超過貯蓄があるべきなのですが、今、その三つのセクターの中では家計が一番弱っていると思います。
 そういう中で、さらに家計負担を求めていくような税体系が果たしてこれからの持続可能な経済成長にとってベストなのかどうかということについては、経済状況もよく見ながら慎重に見きわめていくべきだと思いますので、特に何が何でも消費税上げろという立場ではありません。
 消費税減税についての質問がありましたが、これも経済状況をよく見ていかなければならないと思います。  ただ、家計が本当に傷むようなことになってきた場合には、さまざまな選択肢を考えていかなければいけないなと思いますが、いずれにせよ、今、日本経済にとって必要な経済政策は「家計第一の経済政策」だと思います。

○衆参候補者擁立・調整について

【共同通信・中田記者】
 参議院選挙等の選挙協力について伺いたい。昨日、(参院1人区)30選挙区の一本化について合意し、なおかつ衆議院選挙の協力についても加速いくことで一致したということだと思う。そちらの相談役でいらっしゃる小沢一郎先生などはかねがね統一名簿の必要性について主張されてきたが、代表は今の時点で統一名簿の実現性と必要性についてどのようにお考えになるか伺いたい。

【代表】
 これも何度も申し上げていますが、一つの考えだと思いますが、相手のある話なので。今、公式で枝野代表などが発言しているところを聞くと、どうも否定的だということですから、今の段階では難しいのではないかと思っています。
 ただ、強力な与党に対して向き合っていくためには、単に候補者を1人に絞るだけではなくて、力を合わせる態勢をどのように築けるのか。有権者に対してわかりやすい形で、そういった野党が力を合わせていることをどのように見せるのかという観点から、さまざまな選択肢をこれからも引き続き検討していかなければならないと思っています。

○衆議院解散の「大義」について

【東京新聞・木谷記者】
 衆院解散の大義について伺いたい。先週、自民党二階幹事長が講演で、消費税を解散の議題にしないほうがいい、憲法も難しいとした上で、「大義は1日あればつくれる」と発言した。現下の政治状況の中で、衆議院を解散して国民に問うべきものがあると玉木代表はお考えか伺いたい。

【代表】
 解散権というのは、憲法上、行政府と立法府の間のある種のチェック・アンド・バランスを担保するための一つの機能だと思います。行政府のトップが、それぞれ何万人、十何万人の方に選ばれた国権の最高機関の議員の首を一瞬にして飛ばせるということについては、やはり解散権を行使する一定の理由は当然必要になってくると思います。
 それは、どうしても国政が滞っていたり、あるいは大きな政策変更があったり、まさに大きなお金をかけて、そして一度正統性を付与された何百人もの国会議員の職をそこで解くということですから、当然、大義というか、解散をするに値する理由は必要だと思いますが、憲法もそういった論点にはしない、あるいは消費税もならないということであれば、一体何の理由でやるのかというのは現時点では明確ではありませんね。
 ですから、ここ数回、具体的な論点を提示されることなく選挙をある種強いられた国民にとっては非常に不幸な状態ではないか。内外にさまざまな問題を抱えている中で、どうしても選挙でしか問えない論点をしっかり問うた上で、国民の皆さんに選択いただくということが大事だと思っております。
 解散権の濫用ということにならないように、憲法上の、あるいは法律上の歯どめということも議論をしていかなければならないと思っています。

○丸山穂高議員の言動問題について

【日本テレビ・右松記者】
 丸山議員発言について伺いたい。きょう議院運営委員会でも外務省並びに内閣府の役人が来て、事情の聴取というか、状況などの確認などをされていた。一方で、丸山議員はここまでなかなか自身の思いを語ることがなく、文書での回答をということできょう依頼をかけた形になるが、ここまでの説明責任などについて代表としてはどのように思うか。今、一議員としてどうあるべきか、投げかける言葉があればお願いしたい。

【代表】
 しっかりと説明されるべきだと思います。
 そういったことを国会の中でもこれまでご発言されていたように記憶していますから、みずからのことについても、正直に、誠実に、明らかにしていくべきだと思います。

○安定的皇位継承に関する議論について(1)

【フジテレビ・空閑記者】
 冒頭で皇室典範改正案についてのお話があったが、今国会で改正案を提出する可能性はあるかどうか伺いたい。

【代表】
 これからの議論によると思いますが、ただ、申し上げたように非常に緊急性があると思います。これは延ばそうと思えばいつまでも延ばせる話なのですが、その中でやはり皇統の安定的な継続性ということが常に危機にさらされているというのはよくないと思いますので、もちろん事が事だけに拙速は許されませんし慎重に進めたいと思いますが、一方で、やはり具体的な結論もしっかり示していかなければならないと思います。現時点では明確なことは申し上げられませんが、議論は加速していきたいと思っています。

○LGBT差別解消法案について

【フリーランス・酒井記者】
 ゲイレポーター、酒井佑人です。LGBT差別解消法案についてだが、社会的障壁を含め当事者が抱える問題は幾つものパターンがあるが、率直に、LGBT差別解消された状態にするために、理解のないような年配者の方々に対してどう理解していただくか、どう説得していくかというのをどうお考えか伺いたい。

【代表】
 年配者に限らず、そういった差別的な、あるいは無意識のうちの、いろいろな差別的な言動ということもあると思いますので、今回、法律がつくられるということも一つの契機に、幅広く理解を広げていくような努力を、我々立法府だけではなく社会全体として取り組んでいかなければならないと思っています。
 どうしても、おっしゃるとおり、少し年配の方にはそういった差別的な意識のある、むしろ意識なく差別をしてしまうような言動があることもあり得るとは思いますので、丁寧な理解と説明を求めていくことが大事だと思います。

○参院選の目標について

【産経新聞・廣池記者】
 参院選の目標議席について伺いたい。以前代表は、現有議席を確保して一つでも多くというふうにおっしゃったと思うが、改めて参院選の目標と、国民民主党としてどう戦うか伺いたい。

【代表】
 とにかく改選の8議席は何とか超えたいと思っています。
 あわせて、選挙を通じて国民民主党の党名や理念や政策、これを全国に広げる大きなきっかけにしていきたいと思っています。

【テレビ朝日・中丸記者】
 関連してだが、安倍政権を、この一強を打破するためということで、野党共闘、1人区での候補者を一本化されているわけだが、野党全体での獲得議席の目標を立てる必要性について、どうお考えか。

【代表】
 それは野党第1党に聞いていただいたほうがいいと思います。我々は我々として、今申し上げた努力を最大限積み重ねていきたいと思っていますが、具体的な話は、これはやはり野党第1党が何かを言う権利があると思いますから。
 我々、もちろん野党全体として1議席でもふやしたいと思いますが、全体としてどうしていくのか。きのうもそうでしたが、野党第1党の立憲民主党さんが各党に呼びかけて、そしてきのうのような調整の場もつくられたわけですので、それはむしろ私よりも枝野代表に聞いていただいたほうが適切かと思います。

【テレビ朝日・中丸記者】
 一義的に野党第1党だということだと思うが、国民民主党から投げかけるという方法もあると思う。党首会談もしくはこれまでの幹事長会談の中でそうした議論というのはあったか伺いたい。

【代表】
 具体的な数値目標のようなものは、今まで出てきているとは承知をしておりません。
 ただ、3分の2をとられている状況ですから、やはりその状況は変えていかないと野党の存在感が示せないと思いますので、当然、枝野代表もそういったことを考えながら準備をされているのだと思います。

○安定的皇位継承に関する議論について(2)

【フリーランス・安積記者】
 皇位継承について伺いたい。今、皇位継承権を持っている男子皇族が少ないということで危機的状況だが、これはこれまでも十分想定できたことではないか。そもそも皇后の長子が皇位継承した例が過去少数派であったことから考えて、スペアというか、第2・第3の皇位継承権を持っている人間をふやさなければいけないというのは、ずっと以前からの問題だったと思う。ただ、それを実際やっていたのかというと、そういうわけではなく、今上陛下、当時の皇太子だけに帝王教育をなしていた。そちらの弊害が今、出てきているのではないかと思う。
 お聞きしたいのは、結局、今の皇室というのは国民とはまた別の存在と考えるのかどうなのか。皇室の品位とかそういったものを尊重するなら、国民一般のレベルとはまた全然違う基準が必要となると思うが、それが必要なのかどうなのか。今いろいろなスキャンダルが出ているが、それは国民と同じレベルで考えるがゆえのスキャンダルだと思う。このあたり、非常に難しい問題だと思うが、玉木代表はどういうふうにお考えか。

【代表】
 大変難しい、深遠な質問だと思います。
 憲法上も、皇室方が国民なのかどうなのかということは、これは学説も多々あります。国民ではない、一般の国民とは違う存在だという説と、一般の国民と同じで特別の法体系のもとにいらっしゃるという、そういう大きく二つ考え方はあると思います。ただ、この皇位の継承に関して言えば、明確な皇室典範におけるルールが決まっているので、そのもとで非常に、正直に言うと、特に戦後ですね、綱渡りのような皇位継承になっているのが現状だと思います。
 ご存じのとおり憲法1条は天皇のことを書いています。憲法1条に書いている天皇について、安定的な皇位の継承ということが現状極めて脆弱な状況にあるということについては、これはやはり国民全体で考えていかなければいけないし、ある意味、お一人の方、あるいは非常に限られた方に、この長く続いてきた皇位の継承という多大なる負担とプレッシャーを与えていることについて、それをどう考えていくのか。
 あるいは、今ご質問されたことに関して言えば、皇室方の人権。まずは国民なのかどうかという議論はありますが、過度な負担を特定の方に強いるということについても、やはり検討していかなければならない時代なのかと思います。
 そういったことも含めて、慎重な議論を党内で積み重ねていきたいと思っています。

○イベントキャラクター「こくみんうさぎ」について

【産経新聞・廣池記者】
 「こくみんうさぎ」だが、非公式(国民運動局キャラクター)ということだが、感想と、公認待ちということだが、どういう活躍を期待するか伺いたい。

【代表】
 公認がとれるように、頑張って活動してもらいたいなと。公認申請、まだもらっていないのですが。
 頑張るそうです。さっきちょっとフラフラしていたので、「働き方改革」の観点から大丈夫かなと。これから暑くなるので、体調に気をつけて頑張ってもらいたいなと。

○山井議員に関する一部報道について

【時事通信・島矢記者】
 一部報道で、山井国対委員長代行が離党を検討されていると報じられているが、代表としては、事実関係と、この件について山井さんと何かお話しされたか伺いたい。

【代表】
 きょうも元気に座っておられましたので、そんなことはないのかなと思っていますが。ぜひ頑張っていただきたいなと思っています。