知人が心を込めて織り上げてくれた反物からつくったという秩父銘仙の着物姿で登場した島田総支部長

 「家計第一」全国ツアー@深谷が8日、埼玉県深谷市で開催され、「『家計第一』から生み出す日本の未来―国民民主党の目指す国づくり、地域と家庭づくり」をテーマに、大島敦副代表、泉健太政調会長、島田誠埼玉11区総支部長がパネルディスカッションを行った。

 知人が心を込めて織り上げてくれた反物からつくったという秩父銘仙の着物姿で登場した島田総支部長は冒頭のあいさつで、「国民民主党は、本気で日本をどうにかしようと取り組んでいる集団。自由、共生、未来への責任を基本理念とし、その理念のもと、穏健保守からリベラルまでを包括する、国民が主役の改革中道政党を創るとうたっている。その基本理念に貫かれた政党」だと語った。

■パネルディスカッション

データをもとに解説する泉政調会長

 パネルディスカッションは(1)平成の30年間を振り返り、日本の国づくりで何が大きな課題か(2)地域づくりという視点では何が大きな課題か(3)玉木代表のもとで、国民民主党として、また国政を担う立場で、どうしていきたいと考えているか――との3項目について意見を交わした。

大島副代表

大島副代表

 大島副代表は、平成の30年間について、「ドイツのベルリンの壁が崩壊して以降の、激動の決着がついていない」との見方を示したうえで、「2020年代の10年間で次の秩序に世界が終息してくれればありがたいと思っている」と語った。学生インターンから「リスクをとって上に上がる努力をするより、下にこぼれない努力をする」との考えに立っているという発言があったことにふれ、「この生き方はある意味正しい。これはイノベーション、新しい革新的なビジネスモデルが日本に30年間出ていない、固定した社会であるから、日本の地盤沈下が進んでいることの象徴。やはり新しいビジネスモデルが必要で、政治は次の世界秩序に向けて日本の立ち位置をしっかりすること、人口が減っても社会としてのイノベーションを起こせるような、そういう社会の組み換えが政治の責務だと思っている」と語った。

 玉木雄一郎代表がつくった資料データをモニターに写しながら平成の30年間を振り返った泉政調会長は、実質賃金は長期的に下がり続け、特に年金暮らしの人は厳しい状況にあると解説した。労働分配率については、「内部留保など、企業がもっているものは大きいと言われるが、労働者にはお金がまわっていない状況」だとした。「この20年で世帯収入は22%減少、一人当たりのGDPは世界26位なので世界有数の経済大国などと言える状況ではなくなっている。年収300万円以下の世帯が33%、一人暮らしの半数が貯金ゼロ、この30年間を見た時、介護を人の手にゆだねるなど、世の中が経済化している。一方で孤立化も進んでいる。世の中が経済化した流れは変えられないかもしれないが、孤立化させてしまっている、そして生活の不安をみんなが抱えるような時代になっているところは変えないといけない。ここをどうやって安心をつくっていくかがわれわれの次の課題」だと述べた。

 島田総支部長は教育立国日本ということだったが、対GDPの教育費の公的支出の割合で日本はOECD諸国のなかで最下位や低位数か国のなかにずっと位置している点を問題視し、「これでは有能な人材は生み出すことはでききれない」と指摘。「世界と戦える企業になるためには研究開発費が多い方がいい」とも述べ、日本は対GDP比0.1%にすぎない点も憂慮し、「これでは企業がいくら頑張ろうとしても無理だということになる」などと解説した。島田総支部長は消費税が上がる一方で大企業に対する法人税は下がっていることについても取り上げた。「財務官僚であった玉木代表は国づくりのメカニズムを熟知している。その玉木代表が大企業、株主優先ではなく、家計第一の経済政策を訴えている。働く人、家計を豊かにするための経済政策を打ち出すべきと訴えている。教育と科学技術予算を増やすことを訴えている」と述べ、家計第一、家計を起点とする経済政策が経済の好循環を生んでいくうえで重要であることに言及した。