衆院予算委員会で質問する大西健介議員

 衆院予算委員会で28日、2019年度補正予算の基本的質疑が行われ、共同会派の1番手として大西健介議員が質問に立ち、(1)財投活用による高級ホテル整備(2)カジノ関連ホテルへの財政支援(3)外交青書の北方領土の記述のあり方(4)中国の習近平主席の招へいなどについて安倍総理らの認識をただした。

 今回の補正予算に関して大西議員は、「災害対応が組まれている。これはしっかり行わなければいけないが、悪乗りした予算も含まれている」と指摘。その実例として、昨年12月7日に菅官房長官が視察先の熊本県で財投活用での世界レベルのホテル50カ所新設などと発言した問題を取り上げた。
 「老朽化した設備への投資もままならない。労働力不足で大変苦しんでいる地方の旅館やホテルを見捨てておいて、外資のチェーンホテルに地方開発させようとしていることはおかしいという声が上がっている」と紹介、こうした批判にどう答えるのか。さらに、「カジノ統合型リゾート(IR)の中に世界的高級ホテルを作る場合にも予算を使えるのか」等をただした。
 国土交通大臣は、地方の宿泊施設の現状について「外国人の受入れ環境やバリアフリー化で量的にも質的にも改善をしてくれなければいけない」と述べ、外資系を含む民間のホテル建設計画を財政支援していく旨の考えを示した。IR整備との関連については「現時点ではIR整備の支援を特段目的としたものではない」と答弁した。これに対して大西議員は、「必ずしもIRに特定したものではないという答弁は、裏を返して言えばIRのホテルにも使えるということだ」と懸念を示した。
 北方領土に関する外交青書の記述に関して大西議員は、2009年から2018年まで「北方領土は日本固有の領土あるいは北方四島は日本に帰属する」とあったものが、2019年から北方四島は日本に帰属するという文言が削減されていると指摘。「外交青書の表現を穏便なものに変えたからといってロシア側の態度が柔軟になるというものでもない」と説き、2020年版の外交青書で従来の記述に戻すよう安倍総理に求めた。
 中国の習近平国家主席の招へいに関して大西議員は、訪日もハイレベル協議も歓迎するが、尖閣諸島周辺海域での中国公船による領海侵犯、香港やウイグルでの人権問題がある中で国賓として迎えることに疑問を呈した。総理に対して「国賓として国民が歓迎できる状況にない。中国側がもっと努力すべき」と中国政府に言うべきと提案した。
 大西議員の質問後、共同会派「立国社」からは、小川淳也、川内博、前原誠司、本多平直の各議員が質問に立った。
衆議院予算委員会で総理らをただす大西健介議員

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