前原誠司議員は28日、衆院予算委員会で2019年度補正予算に関する基本的質疑に立ち、7年に及ぶ第2次安倍政権の経済・財政政策の問題点、日本の国際競争力の低下などを中心に安倍総理らに質問した。
前原議員は、「安倍総理は施政方針演説で『公債発行額の減額は8年連続』と言っていたが、補正予算を含めた決算ベースでは8年連続ではない」と指摘した。政府が剰余金の半分以上を借金の返済に充てるという財政上のルールを曲げ、特例法で補正予算と来年度予算の財源としていることを取り上げ、「財政健全化を遅らせている。アベノミクスの効果が出ていないことを隠す『粉飾決算』だ」と批判した。麻生財務大臣は「マーケットのためだ」と認めた。前原議員は安倍総理らに粉飾や改ざんをやめて、財政健全化をどう進めていくかを検討するよう求めた。
続いて総理が施政方針演説で「日本経済はこの7年間で13%成長」と言っていたが、OECDでは安倍政権7年間における日本の成長率は名目・実質とも世界33位で、民主党政権終了時の名目の成長率32位、実質の成長率20位から下落したと説明した。その上で安倍総理に「世界の中で日本はどうなのか」というスタンスで仕事をしてほしいと要請した。
また、現在世界のトップ企業50社のうち日本企業は42位のトヨタ自動車だけ、ユニコーン企業(設立10年未満、未上場、評価額10億ドル以上)442社のうち日本企業は3社だけ(出典:CB
Insights)と説明し、日本の競争力が著しく下がってしまったと懸念を示した。
さらに、日本財団による「18歳の意識調査」で9カ国の学生に「自分で国や社会を変えられると思う」「これから国は良くなると思う」と質問したところ、日本が最下位だったと紹介し、日本の学生たちが将来年金をもらえないのではないかと漠然とした不安を持っていると述べた。
最後に文教・科学技術向けの国家予算が30年間で4000億円しか増えていないと示し、日本の研究開発費および教育機関に対する公的支出の対GDP比(2016年)(出典:OECD「図表で見る教育2019年版」)が最下位であると紹介した。その上で、親の所得によって格差が生じる環境を改善するために「教育の無償化」が重要だと述べ、「日本の人材育成ひいては少子化対策のためにこれこそ憲法改正で検討すべきだ」と安倍総理に長期的に取り組むよう求めた。