参院予算委員会で16日、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らを参考人を招いて新型コロナウイルス感染症への対処等に関する集中審議が開かれた。国民民主党から伊藤孝恵議員が新型ウイルスの特徴、Go To キャンペーン、エアロゾル感染などについてただした。
1月15日に新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されて以来、半年が経過したことを受け、これまでに判明したウイルスの特徴について説明を求めた。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が答弁に立ち、「症状が出る前から感染するということが分かった」と指摘した上で、「潜伏期の人を含めて、無症状者がどうも多く感染している」と警告を発した。分科会でも政府への提案に無症状者への対策を盛り込む予定であると明かした。
感染者全体の18%を無症状者が占めると言われ、分科会も無症状者対策を重要視しているのに「なぜあえて感染拡大中の首都圏、近畿圏から感染者のいない県に人やウイルスを移動させるキャンペーンを、政府が率先し税金を使って日程を前倒しして行うのか」とGo
To キャンペーンを推進しようとする政府のあり方に疑問を呈した。
伊藤議員は、代替策として地元愛知県で行われている県内観光や宿泊を促進する「LOVEあいちキャンペーン」を紹介。このような事業が愛知のみならず、31道府県で105の観光消費、喚起事業が展開されていると説明し、「こうした各地の県内需要喚起を支援する方が現実的であり、県内だけで足りないというのであれば隣接県との往来等を含めたのマイクロツーリズムという風に後押しする方が現実的ではないか」との考えを示した。
これまで厚生労働省が「認識していない」としてきたエアロゾル感染に関して、WHOが世界32か国の239人の感染症専門家からの指摘を受けて感染経路の1つとして懸念を表明したことから、東京大学先端科学技術研究センターのがん・代謝プロジェクトリーダーの児玉龍彦氏にエアロゾル感染について見解を求めた。児玉氏は「感染の度合いは感染者の多さと免疫不全のような方でスプレッド(拡大)する方がいるか、いないかによって変わる。それが低い状態になるとエアロゾル感染のようなものが必ず起こる」と説明した。
さらに児玉氏は、現在の感染状況を深刻な事態を迎えつつあると指摘し、「厚労省とか文科省とかの省庁だけでは制限しかできないという法律の立て付けになっている。国会で国を挙げてワンストップの対策センターを作って、感染者数を減らす。エピセンター(感染集積地)を制圧する。それを今日、今週からやらないと大変なことになる」と強い警告を発した。
そのほか伊藤議員は、高齢者を自宅介護する場合の休業補償、基礎疾患のある労働者への配慮、豪雨災害等の被災地で支援に入るボランティアの受け入れガイドライン、さらには、学校休校指針の必要性を説いた。