衆院予算委員会で4日、新年度予算に関する基本的質疑が行われ、国民民主党の前原誠司議員が共同会派の9番手として質問に立った。2020年度から新たに実施される授業料減免、給付型奨学金、無利子奨学金の貸与基準の緩和を柱とする高等教育の修学支援制度に関して、「大賛成だ」と表明した上で、さらに踏み込んだ2つの提案を行った。
1つ目として、「過去に奨学金をもらった学生や巨額の奨学金返済が負担になっている社会人まで授業料減免や給付型奨学金をさかのぼって適用してもらいたい」と提案した。新しい制度が始まりその恩恵に預かれる学生がいる一方で、これまでの制度に沿った返済をしなければいけない学生や社会人が存在することから、両者の間で不公平が出てくることを問題視した。
2つ目として、新修学支援制度の過去への遡及を実現するための財源について税制改革を提案した。高所得者層ほど所得に占める株式等の譲渡所得の割合が高いことや、金融所得の多くは分離課税の対象になっていること等により、所得が1億円を超える高所得者層で所得税の負担率が低下していると指摘し、「総合課税化か、少なくとも金融所得課税の税率を見直すべき」と提案した。
提案の背景に関しては、高等教育機関の学生の2.7人に1人が日本学生支援機構からの奨学金制度を利用し、平均で約310万円の借金を背負って社会に出ている状態が「晩婚化や少子化などの日本の根本問題につながっている」と指摘した。そのほか前原議員は、東京一極集中問題、地方創生の課題、新型肺炎の国内外経済への影響――などについて質問した。