国民民主党の岡本充功議員は28日、衆院予算委員会で政府提出の2020年度予算案について反対、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党提出の「編成替えを求める動議」(組み替え動議)に賛成の立場から討論を行った。2020年度予算案は、過去最大の102.7兆円もの歳出を計上する一方、極めて楽観的な経済成長率を前提に税収を見積もり、さらに平成30年度決算剰余金を特例的に使ってようやく公債発行を0.1兆円だけ前年度より減っているように見せかけた粉飾予算だと指摘した。
「歳出の中には、現職国会議員が逮捕されるという疑惑の渦中にあるIR事業を進めるためのカジノ管理委員会の経費や、効果が不確かなマイナンバーポイント還元など、首をかしげざるを得ない事業に多額の予算が計上されている。一方で新型コロナウィルス感染症の拡大による影響で経済の冷え込みは必至であるにも関わらず、その対策は予備費で行うという前提になっている。これからの状況を考えれば予備費では対応できないのは明らかであり無責任だ」とし、政府に予算の撤回を求めた。
岡本議員は、医師の立場から、政府による新型コロナウイルス感染症対策が「正確性を欠き、クルーズ船への対応は高齢者が多いことがわかっていながら、下船をさせず長期間、船内に閉じ込めたことが死者を出す原因になった」と断じた。また、最終的な感染確認をしないまま下船させ公共交通機関で帰宅をさせた判断は市中に感染を振りまく結果となったとし、PCR検査体制がいつまでも脆弱であり、どこに感染者がいるかわからない今の公衆衛生政策は今後の感染拡大及び重症者や死亡例の増加につながると懸念を示した。
次に「情報公開は民主主義の基盤だ」とし、安倍政権はこれまでも「桜を見る会」や黒川検事長の定年延長などのさまざまな問題について情報公開に後ろ向きであり、そうした姿勢が国民の不安感を増幅させていると問題視した。
討論の後、組み替え動議は与党等の反対により否決され、2020年度予算案は与党等の賛成により可決された。