森本真治参院議員

 参院で11日、2020年度の地方財政計画、地方税法等改正案、地方交付税法等改正案の本会議趣旨説明と質疑があり、国民民主党の森本真治議員が共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」を代表して質問に立った。

 地方財政計画は、人づくり革命の実現、地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策などへの対応、社会保障関係費の増加分の反映、震災復興特別交付税の確保などを計画。地方税法等改正案は、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し、発電事業等及び小売電気事業等に係る法人事業税の課税方式の見直し、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うというもの。地方交付税等改正案は、2019年度に発生した災害等及び東日本大震災に係る復興事業等の実施のための特別の財政需要に対応するため、同年度分の地方交付税の総額について加算措置等を講じるというもの。

 森本議員は冒頭、政府が2月13日に決定した新型コロナウイルス感染症への緊急対応策に関して、有症患者が入院することができる病床整備や自治体の相談窓口設置等への補助に係る地方負担に対し、国が8割を基本とする特別交付税措置を講じる点について質問した。現下の感染状況を踏まえ「今年度に引き続き、4月からの新年度においても切れ目なく講じていく必要がある」と指摘。「2020年度の特別交付税の速やかな交付とともに、同年度特別交付税総額の大幅な増額措置も必要だ」と総務大臣に提案した。

 新型コロナウイルスの感染拡大が雇用に深刻な影響を与えている事態を受けて政府が、雇用調整助成金の特例措置の拡大をおこなうとしたものの、緊急事態宣言を発出している北海道とそれ以外の地域で異なる扱いをするという方針に関してただした。森本議員は、全国各地で事業活動の縮小を余儀なくされている状況では、「早め早めで対策をとる必要があり、北海道だけを先行することなく、全国一斉に同等の特例措置の拡大を進めるべき」と厚労大臣に措置の拡充を求めた。

 また、学校の一斉休校により、給食がなくなっている問題に関しては、「特に、ひとり親家庭及び生活困窮者世帯において影響がある」と懸念を示し、「休校中であっても、希望者には給食を提供する仕組みが検討できないか」と文科大臣に検討を求めた。

 2020年度地方財政計画で地方税が過去最高の40兆9,366億円、地方交付税が対前年度4,073億円増の16兆5,882億円を見込んでいることに関して森本議員は、消費税増税の悪影響で2019年10月~12月期の実質GDP成長率が年率換算でマイナス7.1%に落ち込んだことに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響も深刻な懸念があると指摘。「とても地方税や地方交付税の原資となる国税の増収が見込まれる状況とは思えない。地方税と地方交付税は本当に増加し、一般財源総額が確保されると言い切れるのか」と総理の認識をただした。

 官製ワーキングプアと呼ばれる非正規公務員問題に対応するため、地方団体の非常勤職員への期末手当の支給を可能にするために創設された「会計年度任用職員制度」の2020年度予算が1,738億円とされている点についてただした。総務省実施の調査では、1,788の地方団体中、臨時・非常勤職員の給与水準を固めていない団体が547ある点を指摘し、「これだけの自治体で給与水準や勤務労働条件が確定していない中、果たして、必要な財源を確保したと言えるのか」と予算規模に疑問を呈した。また、「期末手当の支給に加え、昇給制度の導入や退職金の支給、給料や報酬の基本額の改善も必要」ではないかと総務大臣に提案した。