国民民主党は21日朝、連合との意見交換会を都内で開いた。国民民主党からは大塚耕平、玉木雄一郎両共同代表、原口一博代表代行、古川元久幹事長、増子輝彦幹事長代行、平野博文総務会長、泉健太国会対策委員長、大島敦選挙対策委員長が、連合からは神津里季生会長、逢見直人、川本淳両会長代行、相原康伸事務局長らが出席した。

 神津会長はあいさつで、「国民民主党が旗揚げをされたことにお祝いを申し上げたい。新しく誕生された国民民主党は、その名の通り国民の期待に応える野党勢力の一つの核となるようご奮闘に期待したい」と述べた。現在の国会の情勢について、「今国会に入り、公文書の改ざん、隠ぺい、セクハラ問題など、『1強政治』の弊害ここに極まれりの状況だ。これら諸問題の真相究明に向けて審議、追及を重ねていただくとともに、国民の生活に重要な関わりを持つさまざまな法案審議を進めていただいていることに敬意を表したい」と語った。働き方改革について神津会長は、「高度プロフェッショナル制度の削除はもとより、連合の思いを随所に取り込んでいただいた国民民主党と立憲民主党の対案を基本とした法案成立を心より望んでいる」と強調した。この意見交換会の意義については、「一般的に政治にかかわる報道には、短期的な政局に偏っていたり、根拠に乏しい内容が少なくない。それだけに、このような場を含めた直接のコミュニケーションは、正確な情報を共有する意味でも極めて重要だ。忌憚(きたん)のない意見交換とますますの連携強化をお願いしたい」と述べた。

 大塚共同代表はあいさつで、「5月7日に国民民主党をスタートして2週間が過ぎた。温かいご指導、ご支援にお礼を申し上げたい」と謝意を示したうえで、「私たちはベンチャー企業として始まったばかりだ。社名も知ってもらっていない。商品もまだ売り出していない。これから広く運動、広報を行うと同時に、政党の生命線である政策、私たちが目指す社会、こういうものを商品として、国民の皆さんにご認識いただけるような努力を続けていきたい」と述べた。国会については、「政権のごう慢さ、霞が関の緩みは極限まで達している。国民の皆さんの生活、未来に関わる法律や制度が短慮に成立していくことがないように全力を尽くす」と力を込めた。

 玉木共同代表は、「私たちは、しっかりとした理念と政策の下、しっかりと歩みを進めていきたい」と抱負を述べた。国会情勢については、「高度プロフェッショナル制度については認められないということで、思いを一つに連携を深め、働く者の立場の法案が成立するよう、われわれも働きかけを強めていきたい」と述べた。また、「私たちは地域・地方を大切にする政党でありたい。地域組織、自治体議員の皆さんが宝だと思っている。幹部で手分けをして、出来るだけ早く全国を回り、地方の県連や地方連合会の皆さんとのコミュニケーションを深めていきたい。来年の統一自治体選、参院選に向けた選挙態勢の早期の構築に万全を期していきたい。そのための連携強化を図っていきたい」との考えを示した。

■大塚、玉木両共同代表・神津連合会長ぶら下がり記者会見

 意見交換会終了後に大塚、玉木両共同代表と神津会長は記者団からの取材に応じた。

 会談を終えての感想について神津会長は、「総務会を設置したということは、政党文化として、決めたことはみんなで守っていくということを強く意識している」「地方組織を大事にしており、1強政治をあるべき方向に持っていくためのうねりを地方から起こしていく、そういう動きが地方にも芽生えている手ごたえを感じた」と述べた。

 大塚共同代表は、「連合の方針を聞かせていただいた。こちらからは、政権のごう慢さ、緩みが極限まで達している状況に、国民の皆さんのために、国民生活を守るためにきちんとした政治をやる、そういう政権を作るためにわれわは全力を尽くしたい、これから政策を訴え、目指す社会を国民の皆さんにご理解いただき、ご支持をいただける形を作り、次の政権交代に向けて全力で努力するということを約束させていただいた」と述べた。

 玉木共同代表は、「1強政治許すまじ、というところでは認識を共有した。その上で後半国会での国会対応や『働き方改革』関連法案に対する対応、これから始まる地方での選挙や参院選に向けた連携をしっかり強化していくという思いを共通のものとした」「わが党は地方組織がしっかりと存在する政党だ。地域での地方連合会との連携にも力を入れていきたい」と述べた。

 「働き方改革」関連法案について、与党側が今週中にも衆院通過を目指していることへの所見を聞かれ、神津会長は、「国民民主党、立憲が出している対案がベースとなるような議論を重ねていただき、より働き方改革にふさわしい内容にしてもらいたい」「高度プロフェッショナル制度は必要ない。むしろ過労死、過労自殺の危険性を増してしまう」と指摘した。

 大塚共同代表は、「裁量労働制を取り下げさせたことは大きな成果だ。残りは高度プロフェッショナル制度。残業時間に上限を設けることはいいことなので、賛成できるところは賛成したいが、今のような法案の出し方は良くない。高度プロフェッショナル制度の部分を分離するよう、終盤国会で(政府に)要求していくことになる」と話した。

 玉木共同代表は、「法案の前提となるデータの2割に不備があった。大丈夫とする8割の方にも不備が見つかり、さらに見つかる可能性がある。一人ひとりの働く者に大きな影響を与える法案をこのまま通していいのか。われわれは高度プロフェッショナル制度の部分は分離をするようにと要求していた。政府にはこの部分の削除をあらためて強く求めていく。われわれの法案に近い形で働き方改革を実現していくことがベストだと思っている」と強調した。