国民民主党の玉木雄一郎共同代表は30日午後、約1年半ぶりに行われた党首討論(国家国会基本政策委員会合同審査会)に初めて臨み、党のあり方と国会改革、日米関係や日ロ関係について現状打開に向けて政策提案を行った。

 冒頭、国民民主党を結党した思いに触れ「人口減少時代、AI時代。新しい時代に未来を先取りする政策を打ち出すことで、国民の生活や安心、幸せの向上に努めていきたい」と表明。その具体例として、世界に先駆けた自動車運転の完全自動化によって過疎地域の移動困難者をゼロできることや国会改革のビジョンを示した。

 質疑では、トランプ大統領が24日にロス商務長官に対して、米国に輸入される自動車について安全保障上の脅威の有無を調査し、要件が整えば現行の2.5%の自動車関税を最高25%に引き上げる方針を示したことを取り上げた。日本から米国への輸出が約14兆円あり、そのうち自動車関連が4割弱の5兆円あることを示し、「これが実際に行われたら日本経済や世界経済にとっては大打撃だ」「こんな不条理で不公正な貿易ルールは、認められない」とトランプ大統領の方針を問題視。同盟国である日本に対して米国政府からどのような事前通告があったかをただした。

 安倍総理が事前通告の有無について「外交なので詳細についてはお話しできない」などと質問に真正面から答弁しなかったことに対して、鉄鋼とアルミの時も事前通告がなかった点を指摘し「甘く見ない方がいい」と警告した。

 このような米国の方針は、日本の国益に加えて、世界が戦後70年かけて構築してきた自由で開かれた貿易体制を壊すものだと懸念を示し、中国がWTOの紛争解決の手続きに従い、協議をしっかり申し入れたように「日本も言うべきことを言い、やるべきことをやるべきだ」と安倍総理に断固たる姿勢を示すよう迫った。さらに玉木代表は、この米国の方針が日米安全保障条約2条にある「自由な諸制度を強化し、経済的な協力を促進する」という規定に違反しているのではないかと疑問を呈した。安倍総理は「いろいろ考えながらやっている」などとあいまいな答弁しかできなかった。

 続いて日ロ交渉について「共同経済活動ばかりが見えて、領土交渉が全く見えない。領土交渉の根幹は、(ロシア側が)島を返した時に、その島に(日米)安保条約6条に基づく米軍の施設や基地が置かれるのか、置かれないのかだ」と指摘。そのうえで玉木代表は「提案がある」と表明し、「島が返ってきた時、『安保条約6条に基づく施設、基地は置かない』とトランプ大統領から確約を取れば、日ロの交渉は一気に進むと思うが、いかがか」と安倍総理の認識をただした。総理は、領土交渉に関しては「最後の時点に至るまで外に出すわけにはいかない」とその内容を全く明らかにしなかった。

 最後に玉木代表は、現在の領土交渉の進め方に関して「帰ってきた島についてどうするかという本質的な議論がなく、いくら共同経済活動をやったり、信頼関係を醸成しても、本質的な解決にならないと思う。一番最初のその問題についてしっかりと方向性を出さなければ、私は逆に経済的支援の先食い、そこだけ(経済支援)取られてしまうと非常に懸念する。いたずらに経済的メリットを先行して(ロシア側に)渡すべきではない」と警鐘を鳴らした。