参院で2日、政府提出の「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案」に対する本会議質疑が行われ、国民民主党・新緑風会から田名部匡代議員が質問に立った。
本法律案は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)を締結しこれを実施するため、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律(TPP整備法)について、一部の修正を行うというもの。
田名部議員は、「米国抜きでは意味がないとしながら、米国抜きのTPP11の発効を急ぐという矛盾に対し、納得のいく説明がない」と質問。安倍総理は、「米国がTPPに戻るのであればそれが最善であるという観点からの発言だ。11カ国の人口は5億人、GDPは10兆ドルという大きな経済圏が生まれる。その経済効果はわが国のGDPを8兆円押し上げ、46万人の雇用が見込まれる。アジア太平洋地域に21世紀型のルールが広く共有される意義は大きい。そうしたことから、TPP11の早期発効を目指すことが、米国の経済や雇用にプラスになるとの理解を深め、(米国の参加に向けた)大きな力になると考えるため」と答えた。
田名部議員はまた、「今回のTPP11協定は、米国参加を前提に設定され、セーフガードの発動水準や関税割当の枠数量が変更されていない。そのため、米国以外からの農林水産物の輸入が急増した場合、米国の参加を念頭に設定された輸入枠の範囲内であればその輸入が可能になり、またセーフガード基準も発動されにくいことになる。わが国のような農産物の輸入国によっては著しく不利であり、国益を損なう」と厳しく指摘した。安倍総理は、「TPP11の影響はTPP12の範囲内であり、大綱に基づく対策をしっかり実施することにより、わが国に著しく不利との指摘には当たらない」と答えた。
質問の終わりに田名部議員は、「農林水産業では大きな打撃を受ける可能性がある」と強調した上で、「今進められている農政は、規制改革推進会議が提案するもの。このことがいかに国内農業を、地域を壊していくのか。そのことに大きく不安を抱き懸念を持っている。ここにいる皆さん、地域の、現場の声を代弁していただき、なにとぞ国内の農林水産業がしっかりとこれからも守られるように、全力を尽くしていただきたい」と出席議員に向け語りかけた。