玉木雄一郎共同代表は2日、鹿児島県を訪れ、野間たけし前衆院議員と姶良郡湧水町、伊佐市で開かれた意見交換会に参加した。霧島連山の噴火に伴う川内川の汚染によって今年の水稲生産の中止という選択をせざるを得なくなるなど厳しい状況に追い込まれている農家や土地改良区役員から話を聞いた。湧水町では川内川を視察した。

 集会であいさつに立った玉木共同代表は野間前衆院議員について、「9万票を超える得票をしながら惜敗してしまったのは残念でならない。地域のことを考えて一生懸命走り回る数少ない政治家の一人」「農業政策にも非常に詳しく、早く国会に戻ってきてほしい」と語った。

 それぞれの集会では町や市の担当者から現状や対策内容に関する説明を受けた。伊佐市では伊佐ブランド米を守るため、「汚染水の影響を受けた米」といった心ない風評被害を回避する意味でも稲作中止を市が決定し農家に要請したとの説明があった。意見交換では「与野党を越えて国としての支援の拡充を」といった意見や代替作物の提案、「こうしたことはまた起こりうる。安心して農作物を栽培できるよう水源の根本的な見直しが必要」との指摘が出された。

 玉木代表は被害にあった現状を打開するための短期的な対応と、今後も起こりうる可能性を見据えた中長期的対応の両方が必要だとしたうえで、(1)まずは水稲を作れなくなった現状に対する所得補償(2)今後のためにパイプライン・ため池といった代替水源の確保――の2点を同時に進めていくことが大事だと指摘。「東京に帰ってさっそく農水省をはじめ関係省庁にしっかり訴えていく。与野党を越えて実現に向けて努力する」と表明した。

 集会参加者からは、「野党がいろんな政党を作っていては政権を取れるわけがない。自民党はばらばらな野党を見て喜んでいる。野党をまとめてひとつの組織にしてもらいたい」といった声も出された。玉木代表は「私もまったく同じ考え。5月7日に国民民主党を立ち上げて代表に就任したのは゜とにかく野党をまとめていきたいから。私のような世代が野党をまとめていかないといけないと思っている。国民民主党の結党はその1歩だと思っていただきたい」「自民党と競い合って国民にとってより良い政治ができるような、緊張感のある政治をつくるためにやっていく。いい意見をいただいたのであらためてその志をしっかり立てて頑張っていく」と意気込んだ。

川内川を視察

野間前衆院議員や地域の皆さんから説明を受ける

野間たけし前衆院議員

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意見交換会で発言する玉木共同代表

ぶら下がり記者会見

 鹿児島市内で開かれた党鹿児島県連との意見交換会後に記者団の取材に応じた玉木共同代表は、「地方組織があるのがわが党の強味」「地域に根差した政党を目指していきたいと思うし、政策も地方を重視する政策をこれからどんどん出していきたい。国民民主党は地方を大切にする政党。土のにおいがする政党だということを訴えていきたい」と述べ、地域を大切にする政党として来年の統一地方自治体選挙に向けて全力を挙げていく考えを表明した。

 農家の人々との意見交換の感想として、「農家の皆さんは不安を抱えている。政府・与党も対策を発表したがまだ浸透していないという印象だ。そして中長期の見通しと将来見通しが立っていないので農家の皆さんの不安が解消されない。この先どうなるのかという不安があることを実感した」と語った。また、安倍政権が農家に対する戸別所得補償制度の廃止を決めていることに言及し、「コメ作りをされている方からはこれから営農継続可能な所得がしっかり確保できるのかという心配の声もいただいた」として、そうした不安解消に向け「戸別所得補償政策をベースにした営農継続が可能な農家の所得をしっかり補償する、後継者が魅力ある産業だと思って参入したくなる農業をつくる政策を打ち出していきたいと思う」と語った。