玉木雄一郎共同代表は10日、国民民主党の県連組織を立ち上げたばかりの埼玉県を訪れ、浦和駅東口で大野元裕参院議員、小宮山泰子衆院議員、神崎いさお県連幹事長、小柳よしふみさいたま市議らとともに、党の知名度向上のための街頭演説を行った。

 この中で玉木共同代表は、森友・加計学園疑惑に関する安倍総理の国会での説明に、圧倒的多数の国民が納得していなくても、政権の支持率が下げ渋っている現状を取り上げた。その理由として、人生100年時代の経済的な将来不安と、北朝鮮の核ミサイル問題や中国の海洋進出などの外交安全保障上の不安要因など、有権者が内外に強い不安を抱えている状況を挙げ、有権者が守りの姿勢に入っているためではないか、と分析した。ただ、安倍政権の政策の現状を俯瞰(ふかん)して見ると、経済でも外交でも大きな成功を収めているとは言えないと指摘。

 例えば経済に関しては、「一世帯当たりの所得が最も高かったのは、今からちょうど20年前の、1997年だ。その時はまだ専業主婦も多かったが、世帯当たり所得が最も高かった。あれから20年たって、ほとんどが共稼ぎになってきている中で、今、世帯の所得は、平均して13%下がっている。所得が下がっただけではない。今、2人以上の世帯で貯金ゼロの世帯は33%。1人暮らしの世帯で貯蓄ゼロの世帯は、全体の47%を占めている。これで本当に暮らしがよくなったと言えるのか? アベノミクスは成功したと言えるのか?」と疑問を投げかけた。

 また外交面でも、北朝鮮との交渉で、日本の安全保障にとって死活的な重要性を持つ中距離・近距離ミサイルの問題が全く俎上(そじょう)に乗っていないにもかかわらず、約10兆円に近い経済的な負担を強いられる可能性があることに触れた。

 そして最後に「私たち野党が、本当の意味で、皆さんの支持をしっかり得られるためには、安倍政権よりも、アベノミクスよりも、安倍外交よりも、もっと皆さんにとって優れた政策を示すしかない。それが、私たちの結論だ」「申し上げたように、おかしなことはしっかりと追及していく。だが国民が見たいのは、それだけではない。もっとよい暮らしが、どうすれば手に入るのか。どんどん所得は減っていく、年金は減っていく、将来不安は増えていく。それに代わる政策を、誰も見せてくれない。だから私たち、国民民主党はもう一度政党の原点に戻って、政策集団として良い政策を磨き、何よりもこの国、すべての世代に不安が広がっているこの国から、不安を取り除きたい。この国に生まれた人、全ての国民が、尊厳をもって、プライドや誇りをもって生きていける。そんな環境を、私たちが、政策という形でお示ししていきたい」と、国民民主党を政策集団として育てていく決意をあらためて訴えた。

 この後、さいたま市内のホテルに向かい、県連の幹部らと来年の参院選挙などについての情報交換を行った後、熊谷市など埼玉12区を基盤に活動する森田俊和衆院議員の連合後援会の会場を訪れてあいさつを行った。