玉木雄一郎共同代表は3、4日の2日間の日程で山形県を訪問。3日、山形市内で開かれた党山形県連設立大会で自治体議員選挙や参院選挙について「山形県では社民党や連合の協力をいただいて3団体の枠組みがしっかり機能している。野党はできるだけ協調しながらまとまって、地域は一つということでやってほしい」と求め、党本部としても地域の意思決定を最大限尊重しながらサポートしていく考えを表明した。4日は朝から県農協中央会を訪問し、「土の香りがする政治を進めたい」と常々語り農政に詳しい玉木共同代表ならではの突っ込んだ議論を展開。東根市ではサクランボ園「天香園」を近藤洋介前衆院議員とともに視察した。
山形県連設立大会
県連設立大会には党員・サポーターなど関係者約100人が参加し、衆院選挙以降から国民民主党としてスタートするまでの経過報告がなされたあと、規約改正が承認され、県連役員人事が了承された。県連代表に青柳安展県議、幹事長に沖津一博寒河江市議、幹事長代理に村山隆中山町議がそれぞれ就任した。
県連代表としてあいさつした青柳県議は「重責を担うことについて葛藤したが、お集まりの皆さんが作り上げてきた政治運動が道半ばで途絶えてしまうことに強い危機感を抱き」その思いから就任した旨を語り、「その任に応えられるよう、山形県連の仲間の皆さんと使命感をもって先頭に立って責任をまっとうしていく。地域のために共生社会の実現を目指し、困難や漂流する政治状況を打倒する野党の矜持と政権交代に向けた選択肢を集結する柱として身を粉にして県連を引っ張っていく」「自民党に代わる穏健な中道政党である国民民主党には大きな役割があると信じている」と、決意を語った。
来賓としてあいさつに立った玉木代表は冒頭、昨年10月の衆院選挙以降の展開について「地域や応援してくださる皆さまに多大なる混乱と困惑を与えてしまった」と謝罪したうえで「これからどうやって野党を立て直していくのかが重要」だと訴えた。安倍1強政治が続くなか、「権力のおごりと慢心が極限に達している政権だと言わざるを得ない。ささやかな幸せのために毎日頑張る多くの国民の皆さんの税金を本当に国民の皆さんのために使っているのか疑念を感じる」と述べ、「だからこそ野党がしっかり大きな固まりになって安倍政権に対峙していかないといけない。壊れてしまった野党の体制が回復するのは簡単ではないが、政治は希望を持ちながら一つ一つやっていかなければ希望を手にすることはできない。そのために国民民主党はスタートを切った」と語った。
「新しい国民民主党ではとにかく地方を大事にしたい」と玉木共同代表は力を込め、党本部運営でも地域の声を反映させる形をしっかり行っていくと表明するとともに、来年の自治体議員選挙、参院選挙の対応について「山形県では社民党や連合の協力をいただいて3団体の枠組みがしっかり機能している。野党はできるだけ協調しながらまとまって、地域はひとつということでやっていただきたい。党本部としても地域の声、意思決定を最大限尊重しながらサポートさせていただく」と述べた。「いつの日か政権をもう一度私たちはつかむのだという矜持を持ちながら頑張っていく」と表明した。
来賓には山形県選出の舟山康江参院議員をはじめ、連合山形の小口裕之会長代行、交通労連山形県支部の水戸吉一委員長、情報労連山形県協議会の丹野忍議長、電機連合山形地域協議会の井上雄吾議長、UAゼンセン山形県支部の角谷俊一支部長、JAM南東北山形県連合会の金子浩会長、山形県東北電力総連の伊藤幹男会長、JP労組山形連絡協議会の伊藤学議長、山形県民社協会の小野寺健会長らが出席した。
山形県農協中央会を訪問
サクランボ園「天香園」を視察
ぶら下がり記者会見
視察後に玉木共同代表は記者団の求めに応じてコメントし、「丁寧に、愛情込めて生産されている現場に感動した。伝統を大切にしながら、また新しい品種にも挑戦され、付加価値の高いサクランボを提供していく心意気に心を打たれた。1粒1粒に愛情を込めて丁寧に作られていることが分かった。山形には地域それぞれの魅力と強さがあって、こういった地域の魅力や強さをさらに応援していくことが大事だと思った」と視察の感想を語った。
そのうえで、東京一極集中ではだめで、それぞれの地域・地方の宝を発掘し磨いていく政策が重要だとの認識を示し、「わが党としてもそれをしっかりと進めていく。現地を訪ね、全国を回り、しっかりと目に焼き付けながらこれからの政策に生かしていく」と、現場主義に基づく政策作りに力を注ぐと抱負を述べた。
国民民主党が設置した「未来先取り調査会」(ABC調査会)に、今回の視察をどう生かしていくか問われ、「私たちは未来先取り政党でありたいと思っている。ABC調査会は、これから日本社会に起こることを先取りして取り組んでいく」と述べ、そのなかで人口減少や地域の過疎化の問題などと向き合っていかなければならないとの認識を示した。「ただ単に暗い未来や、マイナスととらえるのではなく、例えば最新のテクノロジーも出てきているので、工夫すれば地域は仮に人口が今よりも減っても豊かさや幸せは減らない地域や社会を作ることは十分に可能だと思っている。そういった地域独自の取り組み、また多様な地域をつくっていくための、応援できる政策集を練り上げていきたい」として、参院選挙や衆院選挙等で打ち出す国民民主党らしい未来先取り政策を調査会でまとめ上げて発表していく考えを語った。
サクランボ園視察はどういう点を政策に生かすことになるかについては「大量生産して安く提供するのではなく、一つひとつの付加価値を高くする、特徴をいかに出していくのかという事が大事だ」という点を、視察を通じて再確認したことに言及。「これまでの日本社会は大量生産大量消費が前提になっていたが、もっと一つ一つの価値を高めて消費者に届けていくことが大事。大量生産大量消費の時代の先にある、新しいモノづくりや1次産業を応援するさまざまな制度やしくみや技術といったものを整理して体系的に発表していく」と、今後の展開を説明した。
自民党が提出した参院の選挙制度改革法案についての見解を問われ「これまで何度も申し上げているが自民党の自民党による自民党のためだけの法案だと言わざるを得ない。そもそも抜本改革をせよというのが当初の法律が求める要請だったが、1票の格差の是正にあわせて人数を増やすということが本当に果たして理解が得られるのかどうか」と語った。