和歌山県連結成大会の模様

 玉木雄一郎共同代表は14日、和歌山県を訪れ、国民民主党和歌山県連の結成大会に参加した。

 岸本周平県連代表はあいさつで、「なんでもかんでも与党が悪いというつもりはないが、あまりにも与党が強すぎて、野党が弱い。国会は『こんな身勝手をしてよいのか』と歯がゆい状況だ」と現在の国会の状況を説明し、例として「働き方改革」や「IR(カジノ導入)法案」などを取り上げた。「例えば、働き方改革関連法案。中身がひどい。何時間働いたのか、把握しなくてもいい。そうすると、何時間働いたのか分からないので過労死認定されない」「カジノ法案が今、強行採決されようとしている。これも賛成・反対の方がいても当然いいと思うが、国会で審議がろくにされていない」などと述べ、1強体制の暴走を食い止める重要性を説いた。

結成大会で挨拶する岸本周平県連代表

結成大会で挨拶する岸本周平県連代表

 大会ではその後、執行部から提案された役員や活動方針、規約・規則、予算を承認した。県連代表に岸本周平衆院議員(第1区総支部長兼任)、幹事長に浦口高典県議、副幹事長に永野裕久和歌山市議、事務局長に〆木佳明元和歌山市議が選任された。「生活者目線で国民・県民にとって温かい政治の実現に向けて取り組む」ことを活動方針とした。第2区、第3区における衆院議員候補の選定、総支部の立ち上げを早急に行うことなども盛り込んだ。

玉木共同代表の講演会

 結成大会の終了後、玉木雄一郎共同代表が「国民民主党のこれから」と題して、講演を行った。

 この中で玉木共同代表は、今、日本が人生100年時代を迎えつつあると述べ、こうした時代に人々の消費を増やし、経済を活性化するには、老後の安心をしっかり作り上げることが大事だと主張した。「より具体的には、年金・医療・介護の仕組みを変えることだが、今の仕組みは、昭和30~60年代に作られた。若い人がたくさんいて高齢者が少ししかいない当時を前提に作られたもので、もう持たなくなってきている。こうなるのは30年も前から分かっていたことだが、この本当の意味での改革に手をつけずに、団塊世代が大量退職する2020年代を前にして、右往左往する事態となっている」と現状を分析。

 その上で、「単身の高齢者が生きていくためには、月に約7万円が必要であると積算されている。その生きるために最低限必要な7万円を保障する最低保障年金を提唱したい。今、国民年金を満額もらっても月6.4万円だ。夫婦2人そろって健康でいればなんとかやっていけるかもしれないが、病気をしたり、介護が必要になると、途端にしんどくなる。また今の受給者はまだいいが、若い人がもらう時にはもっと減っているだろう。今でも国民年金給付額のうち半分は、約12兆円相当の税金で賄っており、これを倍にすれば全額税金の最低保障年金ができる」と、老後の安心を生み出すためにより大胆な政策を打ち出す必要性を訴えた。

 また2009年の民主党は、3つの所得政策で政権を取った、と分析。「当時の『子ども手当』のように、子どもを持ったら経済的に不利になることがないよう、ある種の所得補償を行うことを提唱したい。とくにお金を理由に第2子、第3子をあきらめることがないような手立てを講じることが大事だと思っている。そのために少し大胆な方法を考えていて、第2子、第3子が生まれるたびに手当を加算していくべきだと思っている。例えば、第3子が生まれたら1千万円をプレゼントする、とか。賛否両論あると思うが、あえて提案したい」と自身のアイディアを説明した。

 こうした政策づくりについて玉木共同代表は、「固い板に開かない穴を穿っていく。国民生活の向上、よりよい未来を信じて穴を穿っていく、というのが政治のあり方なのだと思う」と述べた。

講演する玉木共同代表

講演する玉木共同代表

 県連の結成パーティーでは、和歌山市長選に立候補を予定している現職の尾花正啓氏に対し、岸本県連代表が党和歌山県連として正式に推薦状を手渡した。

和歌山市長選に立候補を予定している尾花正啓氏と岸本県連代表

和歌山市長選に立候補を予定している尾花正啓氏に推薦状を手渡す岸本県連代表

大会終了後の記者会見

 党として新しい政策に積極的に取り組む際に、有権者を巻き込むような形での政策立案というものは考えているかという質問に、玉木共同代表は「私自身、全国を遊説などで回る時、農業や農協関係者から直接ヒアリングをしている。また今、党として全国キャラバンのようなものも企画している。わが党として農林水産政策にも力を入れていきたい。代表が率先して全国の声を聴いて、それを党の政策に反映していきたい」と述べた。

 通常国会終盤での安倍政権への対応については、「内閣不信任決議案に値することは他の内閣と比べて限りなくあると思うが、そこは災害対策・対応といったものも踏まえて、今後どのような形で対応するか、総合的に判断していきたい」と述べた。

記者会見の模様

記者会見の模様

JAわかやま視察(農政懇談会)

 大会終了後、玉木共同代表らは「JAわかやま」本店を訪れ、同組合の農業への取り組み全般についての説明を受けるとともに、生産者の方々とも意見交換を行った。

 玉木共同代表は「私の祖父は組合長をやっていたし、父は香川県経済連の畜産部長をやっていた。JA一家で育ち、農業新聞は小学4年生から読んでいた。土も触ったこともない人たちが農業改革を論じていたり、農業政策の失敗を全てJAグループに押し付けようとする風潮には、強い違和感を覚えている。協同組合の理念をもう一度大切にしなければならない時代に来ているのではないか」とあいさつ。

 JAわかやまの役員からは、農業者の所得向上のための自己改革に取り組んでいることや、(1)収益性の高い業務用野菜や安定収益を見込める契約野菜栽培の拡大への取り組み(2)量販店との契約的取引による新たな販売ルートの開拓(3)都市農業振興のため和歌山大学と連携した「農業体験農園」の開園――など、昨年度の取り組み内容などについての説明があった。

 同懇談会には、他に岸本周平衆院議員、浦口高典和歌山県会議員、永野裕久和歌山市会議員らが出席した。

JAわかやまとの農政懇談会

JAわかやまとの農政懇談会