衆院本会議で20日、国民民主党をはじめ野党各党が共同提出した安倍内閣不信任決議案が審議され、賛成少数で否決された。採決に先立ち国民民主党・無所属クラブを代表して玉木雄一郎共同代表が賛成の立場から討論した。
玉木共同代表は冒頭、西日本豪雨災害で亡くなられた方々にお悔やみと、被災者の方々にお見舞いを述べたうえで、甚大な被害であることから息の長い支援が必要であると指摘。自らの被災地視察を通じて(1)災害ごみの迅速な処理(2)被災者の住宅の確保(3)中小のため池の総点検・改修――の3点について迅速かつ的確に対応するよう政府に求めた。
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」。イギリスの歴史家の言葉を引用した玉木共同代表は、安倍政権下で露呈した森友問題、加計問題を引き合いに出し、「独裁国家であるような政治の私物化が、21世紀の民主主義国家日本で堂々とまかり通るとは、私は今でも信じられない」と断じた。
一国のトップである総理大臣がこうであるから「鯛は頭から腐る」ということわざの通り、文部科学省幹部による息子の裏口入学、行政府による組織的な情報隠ぺい、公文書改ざんという犯罪行為を列挙し、「公務員がここまで権力者への露骨な忖度(そんたく)、すり寄りに走るというのは、憲政史上例がない」と深刻化する政治腐敗に強い懸念を示した。
今国会で政府が最大の目玉として提出した「働き方改革」法案については、「高プロ」を導入するなど「国民の命をないがしろにしている」と問題視。カジノ法案にはカジノの違法性阻却の条件を満たす納得のいく説明がないなど問題点が多いと疑問を呈した。また、アベノミクスの6年間で国民生活がより厳しくなっていることをデータで示し、「国民の生活をないがしろにしている点では、失敗が明白な安倍内閣の経済・財政運営も問題だ」と追及した。
最後に玉木共同代表は、「国民民主党は、『対決』だけでなく『解決』も、という姿勢で、建設的な政策提言に努めてきたつもりだ。しかし、安倍内閣の目に余る国会軽視、国民生活軽視は、戦後積み上げてきたわが国の民主主義と国民生活の安定を破壊しかねない危険な動きだ。したがって、国民のための政治を実現する最も効果的な解決策は、安倍内閣の退陣である」と述べ、不信任決議案への賛同を求め討論を結んだ。