「本来なら国会での議論すべき」と山井国対委員長代行

「本来なら国会での議論すべき」と山井国対委員長代行

 今年8月に複数の中央省庁で障害者雇用者数を水増しして報告していた問題が発覚し、都道府県など地方自治体でも同様の問題が明らかになっている。国民民主党は問題発覚直後から他の野党とともに衆参両院での閉会中審査を求めるとともに、野党合同ヒアリングを8月21日から断続的に開催し、現状の把握と問題点の指摘に努めている。


 28日午前、国会内で第5回の「障害者雇用水増し問題野党合同ヒアリング」が開かれ、国民民主党と立憲民主党から8議員が出席し、障害者雇用を所管する厚生労働省の担当官や14府省庁の人事担当官と、5つの障害者団体を招き、話を聞いた。

 司会を務めた山井和則・党国会対策委員長代行は冒頭「これだけの大問題なら障がい者の方々を参考人に呼んで衆参の厚生労働委員会を開くのが当たり前だ。この野党ヒアリングでしっかりと声を聞き、安定的、継続的に合理的配慮をしながら障害者を雇用する参考にしていただきたい」と求めた。

 前回までの聴取内容を踏まえて、各府省に対しては事前に、障害者雇用の中の障害種別(身体、知的、精神)、有期雇用と無期雇用、正規雇用と非正規雇用それぞれの人数や割合などの実態を示すデータを提出するよう求めていたが、この日の会合では「第三者検証委員会の調査途中」「これまで集計項目となっておらずさらに時間がかかる」などの理由でほとんどのデータが示されなかった。

 浜口誠参院議員は「これだけ時間が経っているのに数字が出てこないのは問題だ」と批判。さらに「今後、法定雇用率達成のために省庁が不足分を一気に雇用すると民間との人材の取り合いが起こる」と懸念を示し、民間事業者の納付金の猶予などの検討や、障害者雇用率についても業種や業態ごとの設定などきめ細かい配慮が必要ではないかと指摘した。出席した障害者団体からも同様の意見があった他、「職場で支援を必要としている障害者への『合理的配慮』がなされているのか、もう一度検証を」「半世紀放置していた問題が1年で本当に解消できるのか。乱暴に進めず、根本の問題にきちんとメスを入れてゆっくりやるべき」などの提案が出された。

 最後に原口一博国会対策委員長が「障害者権利条約の基本理念である『合理的配慮』(reasonable accommodation)が軽視されてきた。われわれの政権の時にも発見できなかった問題でもあり、政治がモニタリングとアドボケーション機能をこれからどう発揮するかが問われている」と発言し、山井委員長代行も「厚生労働省に他省庁をチェックする権限がないと必ず再発する」として、障害者雇用促進法の改正を視野に入れて議論することを示唆し、会議を終えた。