国民民主党は22日、「外国人労働者受け入れに関するプロジェクトチーム(PT)」の第3回会議を国会内で開催。政府が臨時国会に提出を予定している出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案について、前回まで会議で出された疑問点や質問に対する回答を法務省・厚生労働省・文部科学省の担当者から聴いたが、書面での提出を求めた回答はほとんどが口頭説明に。安倍政権が掲げている来年4月の制度施行までの「工程表」や必要な予算額、さらに、各業種ごとの労働力人口の不足数や、受け入れる外国人労働者の人数や受け入れ業種についても、ほとんど具体的な回答は示されなかった(写真上は具体的な説明を避ける担当官に首をかしげる出席議員ら)。
会議で最も大きな議論になったのは「移民政策の定義」。今年2月20日の経済再生諮問会議で安倍総理が「深刻な人手不足に対応するため、専門的・技術的分野における外国人受け入れの制度のあり方について、制度改正の検討を早急に進める」と表明したことを受け、同月28日に奥野総一郎衆院議員が「外国人労働者と移民に関する質問主意書」を衆院に提出した。これに対する内閣の答弁書(3月9日閣議決定)では、移民政策について「例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」と回答している。
しかし、この日の会議で法務省側はこの点について「ひとつの例示に過ぎない」「例の出所は示せない」と説明を拒んだため、議論は紛糾。会議に出席した奥野議員が「総理が移民政策は採らないと言うなら、政府としてきちんと移民政策とは何かを定義する必要がある。単なる例示で示してはいけない」と指摘。さらに基本的な「移民」の定義についても質問が続いたが、法務省は「ある前提での外国人の人数を答えることはあるが、明確なものはない」などと言葉を濁すばかりで、出席した議員からは「これでは議論の入り口にすら立てない」との声が相次いだ。原口一博国会対策委員長は「中身も規模も予算も分からないのに、総理が4月からと言ってるから法案だけは通せ、あとは閣議決定で決めるでは立法府の軽視も甚だしい」と述べ、津村啓介PT座長も具体的な回答を次回以降の会議で提出するよう各省に再度求めた。