参院法務委員会で7日、入管法改正案の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決した。反対討論に立った桜井充議員は、採決についても理事会で強く反対したことを表明。委員長職権で採決が強行されたことについて、「拒否する道もあったが、われわれの考えを述べる機会を失うことはどうだろうかということで反対の討論をやらせてもらう」などと述べた。

 「外国人労働者は必要だと思っている。一方でこの法律はわが国の在り方を変える大きな法律だ」と桜井議員は述べた。野党は入管法改正案について、審議入りから採決まで20日の日程を確保して審議を行うことが暗黙の了解事項となっている「重要広範議案」とすることを求めたが、政府・与党の強引な委員会運営によって十分な審議時間が得られなかったことを強く問題視し、審議時間が不充分であったことが反対の第一の理由だと語った。

 「外国人労働者と日本の労働者は同等であるべきだと思っているが、今回の法律では必ずしもそうでない」「一番は外国人労働者の方々が労働者として扱われているかもしれないが生活者として扱われているとは思えない。その一番の理由は家族の帯同を認められていないということだ。日本人が海外に出るときに日本人に対して家族の帯同を認めないなどという国があるだろうか。大きな問題だ」と法案の問題点に懸念を表明した。

 また、委員会質疑のなかで3年間で69人の外国人技能実習生が死亡していた事実が明らかになったことにもふれ、「制度に問題があることを(立憲の)有田理事は訴えた。その問題を解決する前に採決に至るざるを得ないような、こういう審議日程を取っていること自体、本当に大きな問題だ」と、政府・与党の横暴に重ねて抗議の声を上げた。

 与党などが法案を強引に可決した後、桜井議員が政府案の懸念点を可能な限り是正しカバーするために与党側と交渉してまとめた付帯決議案の趣旨説明を行い、これも可決された。

 決議案には(1)人材確保が困難な状況にある地域で外国人労働者により不足する人材を確保するための具体的措置について検討を加え、必要な措置を講ずる(2)特定技能外国人が日本人と同等額以上の適正な賃金の支払いを受け、公正な処遇を受けられるよう、関係省令等に適正な規定を設け、必要があると判断された場合には報酬の適正性に関する判断基準等を検討するとともに、特定技能雇用契約の適格性を厳格に審査し、関係機関の緊密な連携の下、受け入れ機関及び登録支援機関に対し賃金の支払状況や支援の実施状況等についての監督を十分に行い、不正行為があったときは厳正に対処する――等の10項目を盛り込んだ(PDFダウンロード参照)。

PDF「参院法務委員会 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する付帯決議(案)桜井充議員」参院法務委員会出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する付帯決議