「ウィンウィンではなく、日本にとっては『完全敗北』」。参院で4日、本会議が開かれ、日米貿易協定(「日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件」「デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件」)の討論・採決が行われた。参院共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」を代表し、反対の立場から討論に立った羽田雄一郎議員は、自動車関連の関税撤廃を勝ち取れなかった点や、農産品をTPP11以上に開放してしまった点などを指摘した。
羽田議員は協定に反対する理由として、(1)自動車・自動車部品の関税撤廃を米国から勝ち取ることができず、今後の交渉でも関税撤廃が確約されていない(2)自動車・自動車部品に対する追加関税の回避について、文書での約束がなく、今後の懸念を払しょくできない(3)米国の関税撤廃率が実際には41%でしかないとの指摘があり、WTO協定違反の可能性がある(4)事実上、TPP11を超える農産品の市場開放を約束してしまった(5)将来の交渉における米国側の「農産品に関する特恵的な待遇」が付属文書に明記された(6)農林水産業への影響試算のやり直しが行われないまま、国内対策・支援が検討されている(7)日米デジタル貿易協定に今後の国内的議論や規制を制約し得る「米国型」ルールが盛り込まれた――などの点を取り上げた。
羽田議員は特に(5)の「米国側の『農産品に関する特恵的な待遇』」について、今後米国との間で再協議が行われ、コメを含む農産品について「『さらなる解放を求められるのではないか』との懸念が日本の農家の間で広がりつつある」と述べ、米国内の動静等も勘案すると、「協定発効から4カ月以内に始まる協議において、米国が農産品のさらなる市場開放を求めてくる可能性が強いのではないか」と指摘した。
また冒頭、羽田議員は安倍総理の「桜を見る会」の問題を取り上げ、「安倍総理は質問に真正面から答えず『逃げ』の答弁に終始し、数々の疑問は残されたままだ」として、一刻も早い予算委員会集中審議の開催を求めた。