外国人労働者受け入れ制度PT

 国民民主党は30日、「外国人労働者受け入れ制度に関するプロジェクトチーム(PT)」の第5回会議を国会内で開いた。25日の会議で日本労働組合総連合会(連合)の村上陽子総合労働局長から連合の取り組みと考え方をヒアリングしたのに続き、今回は日本経済団体連合会の井上隆常務理事を招き、外国人材の受け入れに向けた経済界の考えを聞いた。

 井上氏は、経団連の立場については、「政府方針は社会生活や産業基盤の支え手確保の課題、ならびに中小事業者が直面する人材不足に対応するもので、これまでの経団連の主張と軌を一にしたもの」と肯定的に評価しながら、新たな制度のあり方については「経済の活性化及びイノベーション推進、生産性向上に向けた取り組みを後退させないこと」と「企業が取り組んできた女性や高齢者などの国内人材活用や処遇改善などの努力に影響を与えないよう十分に配慮をすること」を求めた。その上で、課題としては「対象業種の判断基準の明確化とプロセスの透明性の確保」やこれまでの「外国人技能実習制度等との関係性の整理」などを指摘。また受け入れのペースや中期的な増減、また新たな制度に基づく在留が修了した後の姿など「予見性を踏まえた制度整備と適切な運用」が必要だとした。

 参加議員が「通算10年間働いていると、かなり仕事に熟練した人材になり、帰国させづらくならないか」「安倍政権は70歳までの雇用延長方針も打ち出している。高齢者と外国人労働者が仕事を奪い合うことになるのでは」との懸念を示したのに対し、井上氏は「現場の意見としては優秀な外国人には人材育成も含めて投資するので、長く働いてほしい。日本でしっかり働いて支え手になってほしいのが企業サイドの要望だ」「65歳以上の人材は個人差が出て働き方が多様になる。外国人とのバッティングは国内の高齢者の活用が最優先と考えている。それでも足りないところに今回の制度を充てていく前提だ」などと答えた。また、外国人労働者の社会保険の加入や適用についても、参加議員から課題の指摘が相次いだ。

 自民党が30日の総務会で入管法などの改正案を了承し、閣議決定の前提となる党内手続きを終えた。政府は11月2日に閣議決定し、今国会に法案を提出する方針との報道を受け、党プロジェクトチームも明日以降の会議でもさらに省庁からの説明を求め、取りまとめの議論を加速していく予定だ。