2018年日本青年台湾研修ワークショップ政党・議員研修会
 研修団と呉外交部長との記念撮影
「2018年日本青年台湾研修ワークショップ 政党・議員研修団」が超党派で組織され、中華民国外交部主催、中華民国全国中小企業総会の協力のもと22日~26日の日程で行われた。参加者はそれぞれ若手の地方議員、国会議員秘書、政党職員の計28人(国民民主党からは6人が参加)。
研修団と呉外交部長との記念撮影


 羽田空港にて結団式を行い、一路台湾・台北空港を経て台湾の外交部(日本の外務省にあたる機関)を訪問し、シャエンソ副参事と張淑玲台湾日本関係協会秘書長より歓迎のあいさつを受け、意見交換を行った。 
 2017年は台湾を訪れた日本人旅行客は189万8854人前年比0.17%増、一方、日本を訪れた台湾人は461万5873人、前年比7.46%増で過去最高記録を更新したとのことであった。張秘書長からは「近年は日本から修学旅行で台湾を訪れる学校が増えている。皆さんの自治体でも勧めて欲しい」との要望があった。
 夕食後には台北のシンボルとして街中にそびえ立つ台北101(地上101階、地下5階、高さ509M)の展望台から市内360度を見渡せる夜景を堪能すると共に、経済発展をまのあたりに感じた。

 2日目はまず、台北賓館(台湾の国家招待所:迎賓館)の見学を行った。ここは日本統治時代に完成し、当時は台湾総督の公邸として利用されていた。建物はバロック風であり、日本風の庭園も整備されていた。

 その後は立法院(台湾の国会)、台湾における両岸関係の専門的行政機関である大陸委員会、公式に国交のない台湾との実務関係を処理する機関である日本台湾交流協会を訪れ、それぞれで研修や意見交換を行った。

 最後に再び外交部を訪れ呉外交部長(台湾の外務大臣にあたる)から歓迎の言葉を頂いた。呉外交部長からからは日本と台湾の経済、産業、旅行などの往来、安全保障に至るまで多岐にわたりお話を頂いた。「台湾人にとって一番好きな国は日本であり、今後も良好な関係を続けて行くためにも、若手の政治家に期待する」と述べられた。

国民民主党研修団(台北賓館)

国民民主党研修団(台北賓館)


 3日目は台北から台中まで新幹線で移動。車両は日本の東海道・山陽新幹線と同じ700系をベースに運航されており、外装と掲示されている文字以外は日本の新幹線と同じであった。ここにも日本の誇る先進技術があった。台中市では台湾三大観光地と言われる日月潭を視察した。日月潭は台湾で最も美しい湖であり、最大水深23.5M、湖の周囲は約37KMあり、周囲にはサイクリングロードが整備されており。世界で最も美しいサイクリングロードとして世界中から観光客が押し寄せるそうである。日月潭では台湾で最大級の廟である文武廟、三蔵法師の霊骨が祀られている玄奘寺を見学の後、船で日月潭を移動した。

 日月潭の湖畔には水力発電所がある。これは日本の統治時代に大規模な水力発電所の建築に取り組むが、第一次世界大戦や経済不況による物価上昇、本国である日本での関東大震災の発生などにより、幾度となく工事が中断され、また、マラリア、赤痢などが蔓延し作業員を苦しめた。このような様々な難題を乗り越え着工から15年経ち完成した。

 このダム事業に携わった日本人の松木幹一郎氏は台湾電力の父と尊称されている。ここでも日本の功績を垣間見ることができた。
林市長から記念品を受け取る針貝副団長

林副市長から記念品を受け取る針貝副団長

 4日目の午前は台中市政府を訪問した。台中市は中央政府の管轄を直接受ける直轄市であり人口は約278万人。ここでは林副市長にお迎え頂いた。意見交換では研修団から「今後自治体間でどのような分野での連携が可能か」との問いに対し「台中国際空港は6月から成田便を改日就航し、名古屋、大阪、大分、青森、鳥取からはチャーター便を配置している。消防については人道救助、救助犬の育成、国際的な人材基地の立ち上げも予定している。社会福祉の分野でも少子高齢化についても多くの知恵を頂いた」と人材の往来から社会福祉の分野まで多くのテーマで連携が期待できると感じた。最後に「台中市では11月から来年の4月中頃まで2018台中フローラ世界博覧会を開催する。今日参加している皆さんも、家族、友人と共に訪れて欲しい」と期待を込められ、和やかなうちに意見交換を終えた。午後からは台湾の電子決済装置の最大のサプライヤーであり電子決済、ワイヤレスセンシング、クラウドデータをサービス範囲とする株式会社マイクロプログラムと、「緑光計画」を進める企業を訪ねた。
最も有名な宝物である翠玉白菜


最も有名な宝物である翠玉白菜

 最終日の午前中は国立故宮博物院を視察した。ここはアメリカのメトロポリタン、ロシアのエルミタージュ、フランスのルーブルと並ぶ世界四大博物館にも数えられ、所蔵品は70万点近くあり、その一部である7千点前後が一般公開されている。
 膨大な展示品の中でも最も有名な「翠玉白菜」は翡翠を白菜に見立てそこにキリギリスとバッタが止まっている様子が彫刻されており、緑の葉の部分は素材である石の色を活かしているものであった。限られた時間での見学であったが、歴史の深さと伝統文化を感じることができた。
午後は台北空港に向かい帰国準備を行い、その夜に無事日本へ帰国した。
 今回の研修を通し、参加者それぞれが多くの事を学び取り、また、新たな認識を得る機会であった。私たちひとり一人の力は微力であるが、日台友好の発展に向け努力をしたいと感じた。