階猛衆院議員

 2018年度補正予算を審議する衆院予算委員会で2日、国民民主党から4人の議員が質問に立った。

 トップバッターの階猛議員は「被災者生活再建支援法改正」「安倍総理が主導する憲法改正議論」「消費税増税時の軽減税率の問題点」「財務省文書改ざん問題の報告書」を取り上げ政府の姿勢を追及した。

●被災者生活再建支援法改正

 階:今後起こりうる各種災害で、避難者をすみやかに解消するためには住宅再建に向けた国の支援が必要だ。被災者生活再建支援金の上限を300万円から500万円から引き上げ、半壊世帯にも支援対象を広げる法改正案を野党6党が国会提出している。財源は住宅再建が進むことで仮設住宅維持費用からの振り替えが可能になり、さらに総務省が検討している地方税である法人2税の再配分を財源にすれば、大規模災害時の人口流出による格差拡大を止める効果もある。審議が進むよう、総理が政府与党のトップとして協力を。

 総理:支給対象の拡大は財政負担の問題もあり慎重に検討しなければならない。議員立法の取り扱いは国会の場で議論してほしい。

●憲法改正議論と総理の呼びかけ、9条

 階:総理が憲法議論で国会議員の活動に注文をつけるのは主客転倒だ。発議することは可能だが、その責任があるとはいえず、論理が飛躍している。所信表明演説で呼びかけたくだりは、誤りを認めて撤回すべき。

 総理:国会議員の責任を果たそうというのは国民との議論を深めようという意味で発議の責任ではない。また憲法は総理大臣が政治上の見解を説明し議論を呼びかけることは禁止していない。

 階:それならば被災者支援法の議論の呼びかけ、森友加計問題の真相解明のための安倍夫人や加計理事長の国会招致も呼びかけてほしい。

 総理:後者は国会がお決めになること、前者の議員立法は会派間でお決めになることだ。

 階:まさにご都合主義だ。私たちは国民とともに未来志向で憲法を構想することを党是としている。国民の意思を無視して憲法改正の議論を進めるつもりはない。直近の世論調査で憲法改正が重要だとする人は5.8%しかいない。盛岡が輩出した原敬・元首相の「常に民意の存するところを考察すべし」との言葉を受け取めれば、もっと大事な政策課題をおいて憲法改正を急ぐべきではない。

 総理:他の政策がおろそかになることはない。

 階:今自民党から出されている憲法9条改正案の問題点は1項、2項を維持して追加で「わが国の平和と独立を守り国および国民の安全を保つために必要な自衛の措置を取ることを妨げず」とある。安保法制で認められた限定的な集団的自衛権よりもさらに広いフルスペックの行使も可能になる。自衛隊の任務と権限に変更を生じることはないとの安倍総理の答弁はうそではないか。

 総理:私が自民党総裁として一石を投じた考え方だが、現在の自民党内のイメージ案についてコメントしたことはない。具体的な事柄については答弁を差し控えたい。

 階:極めて重要な答弁だ。自民党総裁である安倍総理の考え方が自民党案に反映されているわけではないということだ。これから憲法議論を進めていく上で、自民党案が提示されることに意味があるのかどうかから問いただしていきたい。

●軽減税率とモラルハザード

 階:低所得者への負担緩和策のはずが、昨今はポイント還元や商品券など、次々と対策が追加されている。このことからしても低所得者対策として機能するか疑問だ。さらに区分経理を事業者に強いるのも大変な負担だ。関係団体から見直しの要求も聞いている。さらにモラルハザードの危険性も指摘しておく。持ち帰りは8%、お店で食べれば10%。これをどう防ぐのか。

 麻生財務相:軽減税率の線引きの問題は、ヨーロッパでスタートしたときに問題があったが、すでに制度として円滑に進んでいる。諸外国の例も参考にしながら、周知広報に対応していく。持ち帰りとイートインの件は、お店の人が言いにくいだろうが、あくまでも購入者の申告に基づく。

 階:全く理解できない、要は言ったもの勝ちということでいいのか。

 麻生:モラルハザードを進言しているわけではない。

 階:モラルハザードといえば、財務省の文書改ざんの報告書も動機や原因の究明がおざなりだ。さらなる調査を委員会からも求め、それに基づく集中審議をしてほしい。