玉木雄一郎代表は17日、大阪市北区を訪れ、14歳でホームレス支援を始めた川口加奈さんが理事長をつとめる特定非営利活動法人Homedoor(大阪市北区)を視察し意見交換を行った。
Homedoorは、川口理事長が中学2年生の時に初めてホームレスのために釜ヶ崎で炊き出しのボランティアに行った時から思い描いていた「誰もが何度でもやり直せる社会をつくりたい」という理念のもと2010年に設立された。
Homedoorは、職を失い、頼る人がいないホームレス状態にある人のために、(1)届ける(2)選択肢を広げる(3)暮らしを支える(4)働くを支える(5)再出発に寄り添う(6)伝える――の6つのチャレンジに取り組み、「ホームレス状態になりたくないと思ったらならずに済む」という社会をつくることを目指している。具体的には、深夜営業をしている店舗にHomedoorの存在を知ってもらうためにポスターを張ったり、ネット広告をして若い人にも知ってもらう努力や夜回りで直接告知をしている。告知によりHomedoorの存在を知った人がホームレス状態を抜け出すために訪問した際には相談を受け、ケースに応じて生活にめどが立つまでは用意しているシェルターでの暮らしを提供することもしている。月に一度は、食堂を実施することで、食事を確保できるだけではなく、多くの仲間とコミュニケーションがとれる場を設けている。自転車の撤去など行政との連携事業を紹介する就労支援も行っており、再出発に向けてのサポートをすることで、生活保護の増加と自転車の放置問題という社会問題の解消に向けた効果も大きい。ホームレス状態ではない学生、ビジネスパーソン、シニアなどより多くの人に知ってもらうため講演活動も開催している。
支援をするといっても、事務所を訪れる元ホームレスの方々と事務所のスタッフとの関係はざっくばらんで、川口さんも親しみを込めて「おっちゃん」と呼ぶ。行政にはなかなか相談しづらくてもここには毎日のように訪れる人もいるという。
「食べられるということは本当にありがたい」。Homedoorの支援を受けて路上生活を脱した朝倉さんは玉木代表に言った。Homedoorの夜回りの時に、事務局長の松本さんから当時ホームレスだった朝倉さんが弁当を渡されたときのことを思い出して答えた。
シェルター利用者に玉木代表が何が一番困ったかと問うと、「暮らすところがなかったこと」と答えた。今では、シェルター暮らしで冷たい路上に寝て少しの睡眠時間で過ごすことはない。Homedoorはホームレス状態の人に安心を与え、そして仕事に就くことを手伝い、社会に復帰していく支援をしている。まさに「誰もが何度でも、やり直せる社会をつくる」ことを実践している。
27歳の川口理事長が作り上げた仕組みに玉木代表も「本当にすごい」と驚き、エールを送った。