国民民主党・渡辺周副代表
外交・安全保障調査会長 渡辺 周
 「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(平成31年度~ 平成35年度)」が本日閣議決定された。
 我が国を取り巻く安全保障環境はパワーバランスの変化に伴い不安定さを増してお り、我が国の領土・領海・領空を守り抜くため、厳しい財政状況を鑑み、効率的な防 衛力の整備を確実に進めなければならない。また、野田政権の下で米国との協議の対 象のドメインとして追加されたサイバー、宇宙などの領域における能力強化が喫緊の 課題であるという危機感も理解し、今回打ち出された「多次元統合防衛力」は、冷戦 時代の戦略から大きく転換させた民主党政権下の平成23年度の防衛大綱からの「動的防衛力」の流れを継ぐものと受け止める。
 しかしながら、「護衛艦の空母化」「スタンドオフミサイル」という広範囲の攻撃 可能性により専守防衛を逸脱する疑義、5兆円を超える来年度予算にあわせて今年度 二次補正予算にも計上される財政規律なき防衛費増額、24年度比4倍のFMS肥大 化、後年度負担の増加、国内防衛産業への影響など大きな疑念があり、国民への説明 もあまりにも不十分である。
 今回閣議決定された「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」はおおむね10年と いうが、最重要課題ともいえる、隊員の人員不足や精強性の確保、サイバー人材の獲 得などの抜本的な対応は示されず、長期的な視野や戦略も曖昧なものであり、厳しい 財政状況だからこそ必要な、優先順位の指針となる考え方も示されず、計画の戦略性 に乏しい。安倍政権の政権運営と同様、説明不足の傲慢なものであり、国民の血税で あるという意識がなく、効率化、節約の努力も見えない。
 国民民主党は、早急な閉会中審査を求め、予算委員会はじめ、国会において、本大 綱・中期防の問題点を質し、さらなる効率化、再考を求めていく。 
以上