辺野古崎の埋め立て予定地を海上から視察する玉木代表

 玉木雄一郎代表は21日、計2日間の日程で沖縄県を訪れた。名護市辺野古崎にあるアメリカ軍・普天間基地移設のための埋め立て予定地を海上から視察したり、普天間基地のある宜野湾市内で米軍機からの落下物の被害を受けた保育園・小学校からヒアリングするなどした。同視察には渡辺周党安全保障調査会長、藤田幸久党沖縄協議会座長代理らも同行した。

 最初に訪れたキャンプシュワブゲート前では、抗議活動をする人々の前でマイクを握り、あいさつした。「皆さんと直接お目にかかったのは初めてだが、しっかりと沖縄の皆さまの思いを踏まえてわれわれも一緒に頑張っていきたい」と語り、聴衆から歓迎を受けた。

あいさつする玉木代表とキャンプシュワブ前の仮設テントで抗議活動をする人々

あいさつする玉木代表とキャンプシュワブ前の仮設テントで抗議活動をする人々

 続いて汀間​(ていま)漁港では、4月に実施される衆院沖縄3区補欠選挙に立候補予定の屋良朝博氏と握手を交わし、そのまま屋良氏​に見送られながら、埋め立て工事が進む辺野古崎沖の基地建設予定地へとボートで向かった。

屋良朝博氏と握手を交わす玉木代表ら

屋良朝博氏と握手を交わす玉木代表ら

 海上では、カヌーで抗議活動を行う人々とそれを阻止しようとする海上保安庁の船などの様子を視察する一方で、グラスボート内では、埋め立て工事によりサンゴ礁など生態系が影響を被る可能性などについて、専門家からレクチャーを受けた。

埋め立て工事の現場(手前は抗議活動をするカヌー)

抗議活動をするカヌー(手前)とこれを阻止する海上保安庁の船

サンゴ礁の植生についてレクチャーを受ける玉木代表

サンゴ礁の植生についてレクチャーを受ける玉木代表ら

 その後、記者団とのぶら下がり記者会見の中で「軟弱地盤の問題は、辺野古基地建設のアキレス腱になると思う。政治的立場を超えて、本当に軟弱地盤のもとで、予定された基地建設ができるのか。専門家も入れた第三者がゼロベースで見直しをすべきだ。基地全体として完成して初めて意味があるので、埋め立てやすいところから埋め立てても意味がない。軟弱地盤についての検証を速やかに行い、基地建設が本当にできるかどうかをまず確定すべきだ。それまでは、今行っている土砂の投入は、即刻中止をしていったん凍結すべきだ」と語った。

記者団の取材に答える玉木代表

記者団の取材に答える玉木代表ら

 名護市豊原地区にある久辺郵便局付近では、辺野古新基地建設に伴って発生する建物の「高さ制限」の問題について視察した。これは米国防総省の統一基準に基づいて新基地を建設した場合、基地周辺の多くの既存、ないしは建設中の建物が、この「高さ制限」の基準に引っかかってしまうという問題。玉木代表は「撤去や移転を余儀なくされる人も出てくるだろう。こういったことを隠しながら基地建設を進めてきた政府側の対応についても厳しく問われることになると思う」と語った。

高さ制限について説明を受ける玉木代表ら

久辺郵便局付近で高さ制限について説明を受ける玉木代表ら

 また名護市安和にある琉球セメント屋部工場では、埋め立て工事に使う土砂を運び出している桟橋を視察した。

琉球セメント屋部工場にある桟橋

琉球セメント屋部工場にある桟橋

 その後、宜野湾市内にバスで移動し、米軍機の部品カバー落下の被害を受けた宜野湾市野嵩の普天間バプテスト教会付属緑ヶ丘保育園と、同様の被害を受けた宜野湾市立普天間第二幼稚園・小学校を訪れ、​それぞれ​被害状況​などについて説明を受けた。

普天間緑ヶ丘保育園で、神谷園長と園児の母親らに米軍機の飛行状況などについて説明を受けた

普天間緑ヶ丘保育園で、神谷園長と園児の母親らに米軍機の飛行状況などについて説明を受けた

普天間第二小学校で説明を受ける視察団と落下物をよけるために校庭に設置された構造物

普天間第二小学校で校長から説明を受ける視察団。下は落下物をよけるために校庭に設置された構造物

 玉木代表は同行した記者団らに「お話を伺ったお母さん方の『沖縄の子どもたちの命と本土の子どもたちの命に差があるのか』という言葉が胸に突き刺さった。子どもの健やかな育ちを望むのは全ての親の共通の願いだ。米軍に自分たちが申し入れをしても責任を否定し、答えがない。日本の政府に申し入れをしても、自分たちの言葉を信じてもらえない。こうした不条理なことを続けてはならず、問題の根っこにある日米地位協定の問題の解決を急がなければならないと思うので、1月末から始まる通常国会では沖縄の子どもたちやお母さん、人々が置かれている現状をしっかりと訴えていきたい」と語った。

 この後、玉木代表らは那覇市内に戻り、金秀(かねひで)グループの呉屋守将(ごや・もりまさ)会長らと面談するなどした後、この日の日程を終えた。