勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリング

 国民民主党をはじめ野党5党1会派は30日、第10回「勤労統計不正『賃金偽装』野党合同ヒアリング」を国会内で開いた。特に偽装が疑われている2018年の実質賃金伸び率問題を中心に労働法制を専門とする明石順平弁護士と関係府省から説明を受けた。

 冒頭、原口一博国対委員長があいさつに立ち、「厚労省の調査はどうなっているのか。調査そのものが泥沼の様相を呈している」「実質賃金が上がっていたのか、下がっていたのか。そのことさえ、このヒアリングで明らかにならない」と指摘し、問題解決に向け誠実に対応するよう各府省の出席者に求めた。

 厚生労働省が3.3%と公表してきた2018年6月の前年同月比実質賃金伸び率について明石弁護士は、「2018年1月から賃金の計算方法が変わった。2017年と2018年で算出方法が違うにもかかわらず、そのまま比較して伸び率を公表している。別人の身長を比較して身長が伸びたと言っている状態だ」と政府統計の公表値に疑問を呈した。一方、政府が参考値として示した1.4%については、2017年と2018年で共通する事業所を比較したものであり実態に近いとの見解を示した。

 参考値を基にして実質賃金伸び率を試算(下図参照)した明石弁護士は、「2017年1月から11月で実質賃金で伸び率がプラスになったのは6月の0.6%の1回しかない。それ以外は11月がとんとんで後の月はマイナスだった。つまり11カ月中9カ月がマイナスだった。平均を出すとマイナス0.5というさんたんたる結果だ」と報告した。この結果について厚生労働省の担当者は、概ね正しいとの認識を示した。

公表値・参考値実質賃金伸び率比較

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名目賃金・消費者物価指数・実質賃金

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