定例会見で記者団の質問に答える玉木代表

 玉木雄一郎代表は6日、定例記者会見を国会内で開いた。

 冒頭、舞台を参院に移した予算委員会での補正予算審議について「衆院もそうだったが、参院でもあいかわらずまともに答えないし、答えられないということで、たびたび審議がストップしている。このような姿を見て、そもそも政府は本当に事案の深刻さが分かっているのか、全容解明する気があるのか疑わしく感じた」と語った。

 統計不正問題国会論戦の中で、実質賃金よりもむしろ「総雇用者所得」に目を向けるべきだとする安倍総理の発言について意見を求められると、玉木代表は「ごまかし以外の何物でもない」と即答。「実質賃金について話しているのに、総雇用者所得について長々とお話しいただくのは止めにしてもらいたい。都合の良いところだけつまみ食いをする、あるいは都合の良い手法に替えていくことが問題となっている訳で、まさにこの統計不正問題を招いた安倍政権の体質を、あの総理答弁が表している」「『まともに答えない』『都合の良いことを延々しゃべる』。こういうことを改めないと、統計不正の問題なんか治らない」と安倍総理の答弁内容や政権の体質を批判した。

 続けて「総雇用者所得とは、一人あたり賃金(現金給与総額)に雇用者数を掛けた所得の合計を表している訳で、この間、総雇用者所得が増えているということは、安倍総理の指摘通り、雇用者の総数が増えているからだと思う。他方、そういう状況下で実質賃金が下がっているということは何を意味しているのか? 1人ひとりの稼ぎは少なくなっているということだ」「さらに言うならば、増えた雇用者200万人の中の多くは高齢者。高齢者の就労が増えている。つまり今の状況は、低所得で働かざるを得ない高齢者が増えている、ということをまさに現わしている」と指摘した。

 「高齢者が働く理由の一番に上がるのが『生活の糧として働かざるを得ない』というもの。退職をして、人生100年だと言われて、老後の生活が長い中で年金が少ない。比較的低い賃金の中でたくさんの高齢者が働かざるを得ない状況を、総理がまさに自分の口で語っているのではないか」と、アベノミクスの成果の証として総雇用者所得の増加を挙げた安倍総理の答弁をやゆした。

 参院予算委員会で足立議員から幼児虐待に関する様々な問題提起があったことも玉木代表は取り上げた。国民民主党としては「児童虐待防止法案」を提出しているとして、(1)児童福祉士の人員拡充(2)児童相談所の管轄が変わった時の情報共有(3)虐待をする親が強い態度に出てくるケースへの対応などについて、引き続き力を入れて取り組んでいきたいと説明した。

 北方領土返還交渉に関しては、今まで与野党で当たり前のように使っていた「わが国固有の領土」という言葉が使われなくなってきており、代わりに「主権を有する島々」という弱々しい表現になってしまっている、と指摘。「ロシアから言われているのか。交渉がどんどん不利な方向に行っているのではないか。後退している印象だ」と懸念を表明した。