衆院予算委で総理らをただす玉木雄一郎代表

 衆院予算委員会で18日、集中審議が開かれ国民民主党の第1番手として玉木雄一郎代表が質問に立ち、(1)ノーベル平和賞へのトランプ大統領推薦(2)政府統計(3)骨髄バンクのドナー支援――などについて安倍総理らにただした。

 玉木代表は冒頭、安倍総理がノーベル平和賞にトランプ大統領を推薦との報道を受けて、事実関係や推薦した場合の理由を確認した。それに対して総理は、「トランプ大統領は北朝鮮の核ミサイル問題の解決に向けて果断に対応しており、そのリーダーシップを高く評価をしている」などとトランプ氏を評価。ただし、事実関係については、ノーベル委員会がノーベル平和賞の推薦者と被推薦者を50年間公表しないことを理由にしてコメントを控えた。その一方で「事実ではないと申し上げているのではない」と表明し推薦の可能性を否定しなかった。

 毎月勤労統計の対象中規模事業所に関して2015年1月時点で「全部入れ替え方式」だったものが、2018年1月に「部分入れ替え方式」に変更されていく過程での総理官邸や経済財政諮問会議の関与事例を玉木代表は示し、「まさに官邸主導、政治主導で厚生労働省や統計委員会の議論さえ押し切る形で自分たちに都合のいい統計手法に変更していく流れが作られたのではないか。アベノミクスの成功を演出するための統計改革という名を借りた恣意的な統計の操作を官邸主導でやったのではないか」と安倍総理らの関与を追及した。これに対して総理は、「毎勤統計の調査方法の見直しは統計委員会をはじめとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたもの」と述べ、自らの指示を認めなかった。

毎月勤労統計パネル1
毎月勤労統計パネル2

 財務省が取りまとめている法人季報で労働分配率が下がり続けている実態を示し、「実質賃金が伸びないから消費が伸びない。これがアベノミクス最大の弱点だ」と玉木代表は指摘。「これに手だてを打たないと賃金が上がらない。総理も目指す本当の意味でのデフレ解消にならない。実質賃金をどう上げるか。これが経済政策の一番の根幹だ。私たちは家計ファーストの経済政策を進めていきたい。総理は労働分配率が下がっていることをどのように考えているか」とただした。総理は可処分所得を上げるために賃上げを促すような税制を推奨しているなどと答弁した。

 玉木代表はまた、国民民主党も取り組んでいる骨髄バンクのドナー支援に関して3つの政策提案を行った。全国の437自治体が導入しているドナー助成制度に関して「どこに住んでいてもドナーが骨髄を提供しやすくなるよう各市町村に任せるのではなくて、ドナーの助成制度を国の助成制度として新たに再編し直すべきではないか」と提案。そのほかドナーが病院で移植する際に休暇として認める「ドナー休暇制度を各企業でも導入することを支援してはどうか」、さらには、49万人いるドナー登録者のうち6万人と連絡がつかない現状を指摘し、SNSなどの新しい連絡手段を追加するよう提案した。

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質疑を終えて

 質疑終了後に記者団の取材に応じた玉木代表は、毎月勤労統計問題に関して総理秘書官や経済財政諮問会議が主導し、従来の全数入れ替えを部分入れ替えにし、少しでも(賃金)下落率が小さくなるような統計手法を採用する方向に大きく流れていったという新たな証拠が出てきたと指摘。今後の審議に向けて「さらに官邸の関与、官邸主導、政治主導で進めてきた『統計改革』という名を借りた統計の操作という疑念が払拭されないので、引き続き同僚議員とともに厳しく追及していく」と語った。

記者団の取材に応じる玉木代表

記者団の取材に応じる玉木代表