玉木雄一郎代表

 衆院予算委員会で25日、集中審議が開かれ国民民主党の第1番手として玉木雄一郎代表が質問に立ち、(1)毎月勤労統計問題(2)高齢者の貧困(3)軽減税率(4)日ロ平和交渉――などについて安倍総理らにただした。

 毎月勤労統計の改善を検討した厚生労働省の専門家会議で、部分入れ替え方式が現場の事務負担、予算や人員配置などで問題があることから総入れ替え方式を継続すると取りまとめたにもかかわらず、総理官邸への報告後に部分入れ替え方式に突如変更された点についてただした。「現場の事務負担を解消し、(専門家が)懸念として挙げた管理システムの更新、都道府県の人員体制、予算措置の強化をきちんと対応した上で部分入れ替え方式に変えたのか」と質問。それに対して厚生労働省の藤沢政策統括官が答弁に立ったが、質問通告がなかったとして答弁を避けた。

 アベノミクスの実質賃金への影響について玉木代表は、6年間のアベノミクスのうち実質賃金が対前年比でプラスなのが2016年の1年だけで、それ以外の年が全てマイナスだと指摘。この背景に関してアベノミクスが実質賃金と実質金利を引き下げて企業に業績を上げさせるよう促したからだと分析。それは同時に家計の負担で企業業績を上げているからだが、「家計の負担の上に成り立つ企業の繁栄というのは長続きしない」と説き、「働く人が将来の展望と安心感を持っていけるような経済政策に今こそ変えて行くべき」と提案した。

 高齢者で貧困層が増えているにもかかわらず、それに対応する政策が安倍政権に手薄すぎるとも指摘。「少し税の投入を増やしてでも年金、特に基礎年金の最低保障機能を高めていくべきだ。高齢者向けのベーシックインカムのような制度を作っていかないと生活保護を受ける高齢者の数は激増する」「年金制度の中で40年掛けたら将来が安心できるような最低限の尊厳ある生活を保障するような年金額をどうやって確保するのかという議論を与野党上げてやるべきだ」と提案した。

質疑を終えて

 衆院予算委員会での論戦を終えて記者団の取材に応じた玉木代表は、次のように発言した。

 統計不正問題については「聞くたびに政府の答弁が変わる。例えば官邸の関与について、根本大臣は2月19日の記者会見では全くないと言ったが、22日のわが党の後藤議員の質問には、何やらあやふやなことを言うし、今日も何度か聞き返したが、みんな言ってることが少しずつ違う。非常に不透明極まりない。総理は専門家の方にしっかり議論をしていただいた結果だと言うが、その専門家の方に議論していただいた結果が急遽変わると。しかもそれがメールで。政府側からの十分な説明責任果たされたとは思えないので、引き続き追及し、実態解明を行っていきたい」と答えた。

 また経済政策についての論戦について水を向けられると「別に安倍政権と民主党政権のどっちが成功したかではない。長いこの平成という時代が終わろうとする中で、これまでどういう経済政策をしてそれが国民生活に一体どういう効果や影響を与えたのか。そういうことを正面から議論したいと思って『どちらがいいとか悪いとかってことをやらずにやりましょう』と言ったのに、またそういう民主党政権がどうだという話しかしない」「一言で言えば企業重視の政策から、家計重視の政策に大きくかじを切る必要があると思っている。具体的には、特に高齢化が進む中で、高齢者の貧困の現状であるとか。あるいはその中で導入されようとしている消費税の、むしろ高所得者を非常に優遇し、低所得者には厳しいという、逆進性の問題。生活に身近なテーマを取り上げ、国民の皆さんに分かりやすくお伝えしようということで論戦に入ったが、その意味では、正面から受け止めてもらえず、いつものようなはぐらかしで非常に残念」と語った。