山井和則議員

 衆院予算委員会で26日、2019年度政府予算3案に関する中央公聴会が開かれ、午前の意見には明石順平(弁護士)公述人らに山井和則議員が毎月勤労統計調査の賃金の不正なかさ上げなどについて質問した。

 明石公述人は、賃金がかさ上げされた要因について(1)サンプルの一部入れ替え(2)ベンチマーク更新(3)復元処理――の3点を指摘。それぞれを身長を伸ばす方法に見立てて解説。1番目のサンプル入れ替えは背の高い別人に入れ替えたもの。2番目のベンチマーク更新はシークレットブーツを履かせたもの。3番目の復元処理は頭にシリコンを入れたものと説明した。

 3番目は不正が明らかになったのでさかのぼって修正されたが、1番目と2番目はさかのぼって修正されずに2017年と比較されたとして、「ちょっと背の高い別人に入れ替えてシークレット靴を履かせたままだ。普通はさかのぼって修正するが、それを何故かしていないため賃金が異常に伸びる結果になった」と例えを用いて不正なかさ上げの要因を明らかにした。

賃金の新旧差の要因分解

賃金の新旧差の要因分解

 このようなかさ上げの結果、毎月勤労統計の公表値で2013年から17年までの5年間で1.4%しか伸びなかった名目賃金が18年のわずか1年で1.4%も上昇。これについて「算出方法の異なるものを比較した伸び率は、端的に言ってうその数字だ」「公表値は真実に反するから統計法違反になるのではないか」と疑問を呈した。

公表値における前年比伸び率

公表値における前年比伸び率

 明石公述人の説明を受けて山井議員は、「与野党を越えてこの統計偽装、アベノミクス偽装を解消しなければ、歴史的に大変な責めを今の国会議員そして政府は負うことになる」と述べた。「誰が見ても違う事業所を比べてるから、1.4%は事実上の景気指標、伸び率としては実体を表してない虚偽であることは明らかだが、なぜ性懲りもなく今の政府は公表し続けてそれを撤回しないと考えるか」と質問した。

 明石公述人は、昨年賃金が21年5カ月ぶりの伸びと報道されたことについて「厚労省側から言わないと、そのような数字は出てこない。記者も厚労省側から言われたことをそのまま報道したものと思う。つまり完全にわざと国民をだまそうとしている。これは断じて許されない行為であって、このうその伸び率というのは絶対に撤回していただきたい。撤回したくないのであれば、さかのぼって改訂するかあるいは参考値の伸び率の方を出すべきだ」と述べた。

明石順平(弁護士)公述人

山井議員の質問に答える明石順平(弁護士)公述人