玉木雄一郎代表は7日、東京・台東区を訪問し、「多様性を生かしたまちづくり」をテーマに活動している社会的企業「一般社団法人結YUI」が運営する「さんやカフェ」を視察し、運営者の義平真心(よしひら・まごころ)さんと意見交換した。
「さんやカフェ」は、簡易宿泊所が集まる山谷地区が地域住民や海外観光客、元日雇い労働者やホームレス等さまざまな人が同じ場所に暮らしているにもかかわらず、お互いを知らないために、誤解が生まれ距離ができてしまうことを問題視し、住まう人、訪ねる人の「入口」となるようなカフェにすることをコンセプトとしている。
義平さんは、アメリカの大学院で「不利な条件にあるコミュニティのまちづくり(Community Development)」を学び、東京大学在学時には山谷でボランティアをし、問題の深さと同時に地域の魅力に触れたことが山谷のまちづくりをするきっかけになったという。都市デザインをするのにハコモノだけでなく人・社会の仕組みを合わせて考えることが重要だと考えている。
義平さんによると、山谷には現在、観光客が多く訪れ、日雇い労働者の高齢化等があり以前とはイメージが異なってきているという。地域が現状抱える問題、改善のための意見として、(1)ホームレスになってから行く施設の多くが、収容施設的なものが多く、そのために「野宿の権利」を訴える団体がある(2)簡易宿泊所がホームレスの自由や尊厳の回復につながっている面がある(3)山谷はある意味社会問題の先端であり、山谷の社会問題の解決が将来の日本社会における問題解決の糸口になる――等のことが義平さんから示された。
意見交換後には近くの玉姫公園に移動し、公園で生活している人からも話を聞いた。
玉木代表は視察終了後の記者団からの取材に、大事なことは支援を強制するよりも、一人ひとりの状況に寄り添って、自由を確保することだと語った。あわせて、若い人には就労を阻害しない形で、最低限の生活を保障できる仕組みづくりが大切だと考えを示した。