建築物省エネ法改正案について質問する小宮山泰子議員

建築物省エネ法改正案について質問する小宮山泰子議員

 衆院本会議が2日午後開かれ、国民民主党の小宮山泰子議員は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案」について、関係大臣に質問した。

 本法案は建築物のエネルギー消費性能の一層の向上を図るため、建築士に対し小規模建築物のエネルギー消費性能に係る評価及びその結果の建築主への説明を義務付けるとともに、建築物エネルギー消費性能基準への適合義務等の対象となる特定建築物の範囲の拡大、認定建築物エネルギー消費性能向上計画に係る建築物の容積率の特例の拡充等の措置を講ずるもの。

 小宮山議員は冒頭、厚生労働省による毎月勤労統計の調査不正の判明後、政府が重要と位置づける基幹統計に関する総務省の点検の結果、国土交通省では建設工事統計の2017年度の施工高について、15.2兆円から13.6兆円へと1.6兆円も下方修正されており、再発防止が問われていることを踏まえた上で、石井国交大臣に、審議に当たり、あらためて統計・データの重要性と今後の再発防止に対する決意を確認した。

 2015年、京都議定書に代わる新たな温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みとして「パリ協定」が採択されて「地球温暖化対策計画」が策定され、温室効果ガス排出量の約3割を占める住宅・建築物分野については、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度との比較で約4割削減することが求められており、戸建て住宅、マンション、オフィスビルなど、建築物の規模や用途・特性に応じて省エネ対策を進めることが喫緊の課題になると、現状認識を示した。一方で、小宮山議員は「中小・小規模事業者からは、制度見直しに、技術面あるいは資金面で十分対応できるか不安だ。個人宅にお住まいの方からは、費用がかかり厳しいという声も耳にする」と述べた上で、石井大臣に省エネ対策に関する制度設計や運用に当たっての政府の検討や準備は十分なものか認識をただした。

 ポーランドで開催されたCOP24(2018年12月に開かれた国連気候変動枠組条約  第24回締約国会議)で、原田環境大臣が日本のパリ協定におけるCO2削減活動が進んでいるとした上で、車両、住宅、非住宅のビルを示して脱炭素化のためESG(環境・社会・ガバナンス)投資を主流化していくと表明したことについて、小宮山議員は、日本の住宅省エネ基準は、昭和50年代のオイルショックに端を発しており、後の法改正後も、旧態然とした基準にとどまるとの指摘もあるとした上で、住宅の省エネ基準の完全義務化を行わなかったことが、今後の気候変動対策にどのように影響していくと考えるか、原田大臣に見解をただした。

 省エネ基準への適合について、義務の対象を拡大することで、対象建築物の数は、年間約  3千棟から約1万7千棟と6倍近くに増加。小宮山議員は行政コストの増大について懸念を示した。また、「省エネ住宅として、気密性ばかりを追及するのではなく、風通しのよい日本の住宅建築の良さを失わないことも大切にしていただきたい。植栽や緑化も有効な手段だ」と求めた。さらに、省エネ住宅普及に有効なエネルギーパス(EU全土で義務化されている「家の燃費」を表示する証明書)の導入について、石井大臣の所見を聞いた。

 最後に、「住宅・建築物分野の省エネ対策を進めることは、喫緊の問題だが、運用面での課題も数多くあり、不安視する声も少なくない。政府には、特に、現場の関係者の声によく耳を傾けながら、運用面について不断の検討を行うことを強く求める」と質問を結んだ。

PDF「小宮山泰子議員衆院本会議建築物省エネ法改正案質問予定稿」小宮山泰子議員衆院本会議建築物省エネ法改正案質問予定稿

衆院本会議場の様子

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